第131話 嵐のごとく Ⅶ ⑫

【運営side】


「ばっ バカな !

 1万の軍勢を、2パーティだけでほぼ全滅だと!

 チートだ、チートに決まっている !

 A子くん、直ぐに調べてくれ ! 」


 カタ カタ カタ カタ カタ カタ カタ



「チーフ、チートやズル、違法行為は発見出来ません !

 持っている武器もプレイヤーたちもチートをしていないことを、オモイカネスーパーコンピューターが保証しています 」


「だったら、アノ武器は何なんだ !

 あんな神話級の武器なんて実装していないぞ !

 エクスカリバーもデュランダルもレアイベントの賞品として用意しているが、知らない武器まであるじゃないか! 」


 俺は開発スタッフを見るが、誰も怪しい処が無い。

 てっきり、また誰かがヤラカシタのだと思ったのだが……

 開発スタッフ全員が困惑していた。

 演技か、演技なのか、尚も疑っていると


「チーフ、詳細が判明しました !

 プレイヤーネーム『サナダ』リアルネーム、大江戸 巧

 職業、超級錬金術師 及び 超級鍛冶師が創造したようです」


 いやいや、いくら超級でも神話の武器までは創れ無いだろう !


「そうか、神殿だ !

 神殿で鍛冶神ヘパイストスに祈れば、超級錬金術師と超級鍛冶師ならを神託で知ることが出来る設定に成っているんですよ! 」


 開発スタッフのT也が言い出した。


「おい、俺は そんなに許可を出した覚えが無いぞ!

 まさか、また勝手に設定したのか ? 」


 せっかく、正月で若い奴らに人生の厳しさを教えてやろうとしたのに台無しじゃないか !


「違います、オモイカネスーパーコンピューターの判断ですよ !

 部長が、自動でイベントや武器などを作成するように、オモイカネにゆだねたのを忘れたんですか ? 」


 そうだ、あのハゲ部長が『スタッフの仕事の軽減』をすると言い出して、オモイカネに任せたんだった。

 お陰で、年末年始のデスマーチが終わったら、順番に連休が取れると有って、スタッフ全員が賛成したんだった。

 しかも不定期だが、にも成ったから、深く考え無かったのが裏目に出てしまった !



「 たっ 大変です !

 第三魔王テトロドトキシンが、アメリカ・レイドチームに倒されてしまいました ! 」


「 ナントォー ! アノ魔王には保険として、 もう一体 第三魔王テトロドトキシンmark Ⅱ を用意したのにか !」


 嫌な予感がしたから難易度を爆上げする為にボスを一体増やしたのにか !


 タコ型ボスモンスターの第三魔王テトロドトキシン

 それを疲弊しながら倒した時に現れる、虎河豚トラフグ型モンスター第三魔王テトロドトキシンmark Ⅱ

 これで、絶望を味わって貰い、世の中の厳しさを教えてやるつもりが……


「 虎河豚モンスターの第三魔王テトロドトキシンmark Ⅱは、時間内に徐毒じょどくしてからで無いとプレイヤーが毒で継続ダメージが続きHpが『0』に成ってゲームオーバーに成るハズだろう !」


「それが、アメリカチームに助っ人が居たようで……

 虎河豚モンスターは、アッ と云う間に解体されてしまいました !」


「助っ人だと! まさか、また『大江戸家か潮来家か ? 』 」


「違います、プレイヤーネーム 『ルシアン』 リアルネーム茨城 恭介、ゲームでの職業は『スーパー料理人』リアルの職業は『主夫』です ! 」


 クソゥ、何てこった !


「チーフ、こちらも趙高ちょう こうが倒されてしまいました !」


 そんな、バカな !

 アンデッドは、趙高を倒さない限り永遠にリポップし続ける設定に成っているのにか !


「プレイヤーネーム『ギレン』リアルネーム、ロッキー=アスガルド、職業『暗殺者アサシン』が魔短剣ルール・ブレイカーで暗殺したようです ! 」


 新年そうそう2連敗だと !

 世間の厳しさを教えるハズが逆に教えられてしまった !


 …………初詣に行って厄落としでもしよう……

 次こそは、絶対に勝つ !

 せいぜい、今のうちに喜んでいろよ、若者たちよ !







 ※ 茨城恭介は、私のデビュー作『茨城くん と恋する乙女たち』の主人公です。


 ちなみにモデルは『私』だったりします……テヘッ🤓

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