第129話 嵐のごとく Ⅶ ⑩

【嵐side】


「プンプン、激おこプンプン丸なんだからね古くてスミマセン

 本当に失礼しちゃうんだから、プンプン ! 」


 アゲハ蝶子は、いまだに怒っている。

 激情家な処は、アフロディーテの時のマンマだな。


 列車は置いて来たので、徒歩で精霊国に向かっている。


 陽野芽ひのめ星奈せな流星ペガサスユニユニコーンに乗せて貰いご満悦だ。

 精霊国と云うからには精霊が居るのだろう。

 かつては地上にも精霊が居たが、人間の文明が進むに連れて住みづらく成り、今や天界の一部に保護されているだけだ。

 云わば絶滅危惧種みたいなもので、当時 興味の無かった俺は精霊を見たことが無い。

 だから、人間が創造した精霊に会うのが楽しみなんだよな……と顔に出ていたのか、ベルに


「 何か誤解をしているようだから言うけど、精霊国に住んでいるのはでは無く、精霊とヒト族の契約で進化したが住んで居るんだよ」


「何だって !

 それじゃあ、サラマンダーとかノームとかシルフとかウンディーネは ? 」


 ベルは呆れたように、


「随分詳しいね、嵐は。

 居るには居るけど、人前には滅多に姿を現さないよ !」


 詳しい話をベルに聞いた処、遥か昔に遠い遠い大国からと云う男が若い男女を引き連れて、の秘密を調べに不死山に来たのが始まりなんだとか。

 そして、精霊に気に入られ契約者と成った者が、徐福と連れて来られた若い男女なんだよ。

 精霊の力を使えば使う程に精霊化していくから、自然とヒト族のことわりから離脱して精霊に近い存在に成るのさ。

 その結果、不老不死とまでは いかないけど、ハイエルフ並みに長い間 若さを保って長生き出来る用に成るんだよ 」


 おおー ! つまり徐福は、ほぼ不老不死の秘密を知った訳だな。

 まてよ……


「 徐福は、今でも精霊国に居るのか ?」


「徐福は、複数の精霊と契約したらしくて、精霊国のおさに成ったと聞いたから居るんじゃ無いかなぁ~ 」


 うわぁ、秦の始皇帝が知ったら悔しがるだろうなぁ~

 と、言ってもゲームの設定だから関係無いか。



「別にワシは悔しがってなど無いぞ !

 儂が悔しいのは、趙高ちょう こうなぞを信じたばかりに暗殺された上に死んだ後も趙高に操られたことだけだ ! 」


 ……ゴーストか !


「儂の名は、嬴政えいせい

 人は、始皇帝と呼ぶ。

 晩年に儂が愚かなまつりごとをしたのは、全て儂の死後に妖術師ネクロマンサーである趙高の仕業である。

 当然、徐福なる者に不老不死の秘密を探るみことのりを出したのも趙高が望んだことなのだ」


 …………これは、もしやレア・イベントか ?


「 今、精霊国に危機が訪れようとしている。

 死者の国、死国より黄泉よみがえる為に趙高が精霊国に死者の軍団で攻め込もうとしているのだ !

 頼む、趙高の野望を止めて欲しい !

 儂は、人々の平穏を望んでいるのだ。

 儂の意識は間もなく消えて、再び趙高に操られた傀儡くぐつと成るだろう。

 儂に構わず、まとめて退治してはくれまいか ? 」



〖 お正月イベント、『悪夢、再び ! 』

 イベントに参加しますか ? Yes/No 〗


 妹たちや仲間を見ると、皆が目をキラキラさせている。

 ワクワクが止まらないぜ !


 当然、俺は『Yes』のボタンを押した。


 …………ところで、趙高って誰 ?


 あらためて、明日菜アテナ英里香エリスに聞いた俺だった。

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