第128話 嵐のごとく Ⅶ ⑨
【嵐side】
ログインすると、さっそくベルが
「やっと来た ! 嵐が帰って来るのを、今か、今かと待ち遠しかったよ !」
少しゲンナリした顔をしている。
「……何か、あったのか ? 」
俺の質問にベルが怒りながら、
「有ったなんてもんじゃ無かったよ !
あのエロフの王様が、ボクにまで
逃げ回るのに疲れたから、休ませて貰うよ 」
と、言いながら俺の
俺は空気が読める漢だからな !
宿舎代わりに宛がわれた部屋から出ると、
「おおー、
長旅で疲れていたようで、ぐっすり寝ておられたようだから 心配していたのだ。
……ところで妹御は、まだ寝ているのであろうか ?」
「だ・れ・が・義兄上だ !
妹たちも仲間もスケベドゥイルと、そういう仲には成って無いだろうが !」
「『嫌よ、嫌よも好きのウチ』とヒト族の格言があると聞く、だから妹御が我に気を寄せるのも時間の問題なのである !
このスケベドゥイル、エルフ随一の良き男 !
惚れぬ
我は、エルフもヒト族も差別などしないから、安心して妹御を任せて欲しい、義兄上 !」
まったく、何処から来るんだ この自信は !
ガチャリ
部屋から
「おおー、アリア、エデン、リアス、待ちわびたぞ !
もちろん、他の客人も待っておったぞ !」
やはり、妹たち三女神が本命か。
他の女子メンバーも可愛いが、身びいきかも知れないが元女神だけあり極上美少女だからな、
嫌悪感からか、女の子達がプルプルと震えている。
帰り道もエルフの国を通過するんだから、我慢してくれよ !
しかし、俺の願いは……
ツカツカとスケベドゥイルの前に
「確かに、あの三人は美少女だけど、この超絶極上美少女の蝶子ちゃん を無視するなんて許せない ! 」
スケベドゥイルに食って掛かる蝶子。
頼むから手を出すなよ。
「う~む、何と云うか、貴公にはだな、本能で危険を感じるのだよ…………そう、
可哀草ってなんだろう ?
俺達が疑問に思っていたのが顔に出ていたのか、スケベドゥイルが説明してくれた。
「可哀草と云うのは、この辺りに生えている植物型モンスターで、見た目は
バキッ !
蝶子の
バタッ !
泡を吹き、白眼を向いて倒れてしまった。
エルフの女性衛兵たちが、こちらを
あちゃー、これは捕まるか国外追放に成ってしまうのか !
そう覚悟していたら、隊長らしい女性エルフが出て来て、
「申し訳ありません !
このセクハラ爺には、私達も手を焼いていましたので助かりました。
客人には、ご迷惑をかけ申し訳ありませんでした。
ここは上手く誤魔化しますので、早めに出発して頂くと助かります」
隊長の申し出を受けて、直ぐに俺達は出発することにした。
今回、誰も蝶子を責めなかったのは、皆 相当 スケベドゥイルにイラついていたからなんだろうなぁ。
しかし、スケベドゥイルも一応、王なのに誰からも同情されないのは憐れだったな。
俺達はエルフの国を出国して、一路『精霊国』に向かった。
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