第125話 嵐のごとく Ⅶ ⑥

【嵐side】


 スピードを落としたら、揺れは大部マシに成った。

 それでも早いスピードの為に途中で襲って来たゴブリンやオークを無視して突き進んだ。


 当然、徒歩のプレイヤーや乗り合い馬車も追い越したんだが、皆が驚いているようだったな。


 列車の中では会議をしていた……妹たちが。

 俺や巧、ロッキーは列車の前や屋根に乗り、回りを警戒していた。

 ゴブリンやオーク程度ならブツカッても大丈夫な造りに成っているが、初めての新エリアだから 何があるか判らないからだ。

 既に新エリアに入っているハズなのに、あまり変わらない処が怪しい !


「 おい、何か飛んで来たぞ ! 」


 盗賊から暗殺者アサシンに転職したギレンロッキーの言葉に進行方向から見て 2時の方向を見るとコチラに向かって飛んで来るモンスターが居るようだ。


 ビシッ ビシッ ビシッ ビシッ


 デューク《マーダーバニー 》のアーマライトM16 が火をふいた。


 落下するモンスターが4体……全弾命中かよ !

 デュークがモンスターを倒した事で飛んで来るモンスターの正体が判明した。


 グリフォンだ !


 ファンタジーでお馴染みの強敵モンスター


 残りは 2体、何とかなるか ?



 ガッコーン !


 魔石列車にが衝突したのか衝撃が伝わった !


 列車の前に巨大なモンスターが1体居て列車を止めようとしている。


 列車の中からアリア明日菜リアスパラスが飛び出してきた。


「ベヒモスよ ! 皆、戦闘準備をして、位置について !」


 アリア明日菜の号令に女子チームが従っているから大丈夫そうだな。

 なら、コッチはコッチで頑張らないと兄の立場に関わるからな !


「ヤーイ、ヤーイ、お前達の母ちゃん、で~べそスキル『挑発』!」


 気のせいか、グリフォン達の顔に青筋が在るように見える。

 グリフォンのヘイトが俺に向いたようだ。

 ダークネスの大盾を構えると、グリフォンが体当たりをしてきた。


 それをシールドバッシュで跳ね返した処をドンチャンどん兵衛キツネが卍固め?をしていた。

 もう一匹もサナダギレンロッキーが足止めしている間にデュークマーダーバニーが、S&W M36チーフスペシャルハンドガンでグリフォンの頭を撃ち抜き止めを射した。


 一方、アリア明日菜たちに助太刀する為、列車の前を見ると、上半身を吹き飛ばされたベヒモスが、ポリゴンに成り爆散した処だった。

 近距離からエデン英里香のヘカートⅡの餌食に成ったようだな。


 一通りモンスターを倒したので再出発したが、ベヒモスに受けた衝撃のせいで、今一スピードが乗らない。


 そのせいか、後ろから飛んで来るモンスターに追い付かれそうだ。

 流石、新エリア! ゆっくりのんびり旅とはいかないようだぜ !


 真っ直ぐ飛んで来るモンスターを、ヘカートⅡのスコープから見ていたエデン英里香が、


「ガーゴイルね、 カタマって飛んでいるから 丁度良い的だわ 」


 そう言いながら、デュークマーダーバニーと一緒に撃ち落としている。


 楽といえば楽なんだが、ファンタジーゲームなんだから、血湧き肉躍る戦闘を期待していたんだけどなぁ~。


 結局、ガーゴイルはコチラに追い付く前に 全て撃ち落とされた。


 そして夕方になり、 日が沈む頃には『帰らずの森』が見えてきた。


 エルフの国、神聖国シンソレーン


 やはりエルフは、排他的なんだろうなぁ~

 高圧的と云う情報から『自分たちが選ばれた種族』だと勘違いしていそうだ。


 地味に人種差別主義者、白人至上主義者に対する嫌味もあるんだろうな。



 ♟♞♝♜♚♛



 帰らずの森に着くと、直ぐに門番らしいエルフが森から出てきた。

 弓を引いている奴らも居るから歓迎は、していないんだろう。


 アリア明日菜エデン英里香が前に出て行きエルフの門番と交渉している。

 俺達より前に入国したプレイヤーがいるから、大丈夫だと思うが……意外と明日菜まアテナは、気が短いから心配ではある。

 英里香エリスが、ストッパーに成ってくれれば良いが……


 ……結果、短期滞在を条件に入国することが出来た。

 滞在中、何事も無ければ良いんだが……

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