第120話 大掃除、そして……

【嵐side】


 今日は朝から大掃除をしている。

 と、云っても普段から母ちゃんたちが綺麗にしているから、そんなにやることは無いんだが…………寒い !

 俺は外で掃き掃除をしているんだが、思ったより沢山の枯れ葉があり なかなか進まない。


 妹たちは、オウミヤスーパーに食料や正月飾りを買いに行っている。

 由利凛や恵利凛は家の中で母ちゃん達の手伝い、巧は障子の張り替えやエアコンのフィルター掃除。


 あ~、こういう時は ウチの猫たちが羨ましく成る。

 今頃は、暖かい部屋で寝ているんだろうなぁ~。


 ブッエックション !


 うぅ~、くしゃみが出てしまったぜ。

 適当に終わらせて、暖かいコーヒーでも飲もう。



 ♟♞♝♜♛♚


 俺は違いの判るおとこ

 寒い冬には、熱いコーヒーが旨いぜ !

 ブラックは苦いからミルクと砂糖は入れるけど……


「お兄ちゃん、今日のお昼御飯は『崑崙こんろん飯店』から出前が来るのじゃ!

 だから間食は しない方が良いと思うよ !」


 コーヒーのお供に詰まんでいた、アポロンチョコを元の位置に戻した。


「妾は、ちょっと凪の様子を見てくるから、大人しく待っていて欲しいのじゃ !」


 なんだかんだ言いながらも面倒見が良いよな、由利凛の奴。


 凪は本気で由利凛に惚れているのか、冬休みは大江戸家に泊まり、早朝の寒稽古にも参加している。

 運動不足を絵に描いたような癖に意外と頑張る者だから今日は、とうとうヘバッてしまった。

 まあ、筋肉痛もあるのだろうがな。

 一方、『テル』こと世野中よのなか 舐芽輝なめてるは、筋肉痛にも滅気ずに妹たちの荷物持ちについて行った。

 変な奴だが根性あるよな…………それが、イコール 妹たちの好感度が上がるかは微妙な処ではあるんだがな。



「コケッー ! コッ コッ コケッー!」


 突然、ニワトリの叫び声が庭から聞こえた。

 ウチは、ニワトリを飼って居ないから、近所から遠征に来たのか?

 庭に行ってみると ニワトリが猫たちに追い回されていた。

 普通、逆だと思うんだが ウチの猫たちは武闘派なのか?


 それより、あのニワトリは……


 ニワトリは、俺に気が付くと 一目散に俺目掛けて逃げて来た。

 飛び上がり、俺の頭の上に避難するつもりか?

 バカヤロー、そんなカギツメなんかで頭の上に止まられたら痛いわ、血だらけに成るじゃないか!

 咄嗟とっさに腕で頭を庇ったら、その腕に止まった。

 掃除していた時に着ていたジャンパーを脱がなくて良かったぜ!


 俺の腕に止まったニワトリを威嚇いかくし続ける猫たちに対して、


「悪いな、

 俺に免じて見逃してくれると嬉しいんだが……」


 やがて、猫たちはバラバラに移動して行った。

 番犬ならぬ番猫かよ !


「外が騒がしいと思ったら、どうしたの そのニワトリ?」


 母ちゃんが、台所から出て来て不思議そうに質問してきた。


「何処かのニワトリか知らないが、ウチに迷い込んだようで 猫たちに追い回されていたのを保護したんだ。

 一応、ご近所さんに聞いてくるから、見付からなかったらウチで飼って良いか、母ちゃん?」


「それは良いと思うけど、ご近所さんに行くなら出前の御飯を食べてからにしないと、アンタが帰って来る頃には、無くなっているよ」


 流石、母ちゃんは俺の味方だな。

 うっかり出かけたら、食いはぐれる処だったぜ。

 遠慮なんてしないからな、ウチの妹は。


 ところで……


「何しに来たんだ、?」


 俺の質問に目をらしたニワトリヘルメス

 ハァ~、助け無い方が良かった気がしてきた。






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