第117話 嵐のごとく Ⅶ ①

【嵐side】


 まったく、酷い目にあったぜ !

 アレから母ちゃん達の誤解を解くのが大変だったんだからな !

 本当にアフロディーテの奴は人間に成っても油断出来ないな !


 まあ良い、今日のクリスマスイベントが楽しみなのは本当だ。


「ゲームとは云え、に会えるのは楽しみだよな !」


 俺の独り言にベルが反応した。


「サンタクロース ? 何、それ?」


 妖精には『クリスマス』が解らないようだな。


「今日は『クリスマス』

 とある神の愛し子を祝う日…………だったような……気がする。

 まあ、記念して サンタクロースと云う爺さんが良い子にプレゼントを配る日なんだよ!」


 まあ、だいたい合っているから良いよな。


「へぇ~、嵐の世界でも似たような習慣が有るんだね。

 コチラの世界で今日はが、各街を襲う厄日なんだよ。」



 …………おい、運営! 信じた俺の純情を返せ !



 どうりで、妹たちが武器の手入れをしている訳なんだな…………もしかして、サンタクロースを信じたのは俺だけ? なのか。


 運営、ゆるさん !



 エデン英里香が、新しい狙撃ライフル?を磨いていた。


「新しい狙撃ライフルだな、今日のクリスマスイベントに使うのか?」


 俺が聞くと


「PGM ヘカートII 、ウルティマ・ラティオシリーズでは最大の12.7mm弾薬を使用するわ。

 フッフフフ、これで サタンクローズをヤるわよ !」


 …………俺の妹が野蛮すぎる !


 アリア明日菜リアスパラスも武器を新調している。

 一体、いつの間に用意していたんだ ?

 それに資金は、どうしたんだろう?


「この間の防衛戦の賞金を皆で山分けしたのを忘れてしまったの、お兄ちゃん? 」


 ユカリン由利凛が教えてくれた。

 エ~ト、あのエンジャーお金は、従魔の皆と買い食いしたり、一部をリアルマネーに替えてから、星華や秋穂、蝶子におごったりして買い食いに使ったような気がする…………


 エーーー!

 あのエンジャーお金は武器調達資金だったのかぁー!


 不味いぞ、マズイ !

 もう、ほとんど残って無いんだぞ !


 そんな俺を気遣っているのか、ユカリン由利凛


「お兄ちゃんは、前衛で『ダークネスの大盾』を構えて皆を守るのがメインだから大丈夫なのじゃ !

 タヌキチぶんぶく茶釜ベル妖精だけ貸して欲しいので、よろしくなのじゃ!」


 …………俺の存在意義なんて、壁役しか無いんかよ !



 情報によると、ファースト、セカンド、サードの各街をサタンクローズとトナカイモンスターが襲うらしく、プレイヤーは所属している街ごとに防衛戦をするらしい。

 ……運営め、各個撃破で 前回の仕返しをするつもりか ? キタナイぞ、運営 !



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔



【運営side】



 今年の恨みは今年のウチに !

 楽しい、楽しい、クリスマスを悲惨なクリスマスに変えてやる !

 こちとら、クリスマスも正月も無いんじゃ !

 何しろ妻子持ち優先だから俺達、独身者には仕事が待っている。


 ……と、言っても全員集合なのは運営スタッフがモテないからじゃ無い!

 年末年始は忙しいんじゃ !


『ファースト』『セカンド』『サード』それぞれの街を拠点にしたプレイヤーの平均レベルに合わせた、徘徊型はいかいカタボス『サタンクローズ』が襲うことに成っている。


 街の名前どうりに、ファーストの街には初心者や低レベルのプレイヤーが集まり、セカンドやサードの街には高レベルのプレイヤーが拠点にしている。

 セカンドは、日本人の高レベルプレイヤー(攻略組)

 サードは、在日外国人の高レベルプレイヤー(攻略組)が多く集まっている。



 さあ、そろそろ時間だな。


 It's Show Time!!イッツ・ショー・タイム!!



「チーフ、サードの街が直ぐにでもちそうです!

 サタンクローズのレベルは、適正なハズですが……

 あっ、原因が判りました !

 イベントに参加しないで、三番目の魔王テトロドトキシン を退治に行ったプレイヤーが半数以上います!」



 …………協調性の無い奴らめ!

 仲間を出し抜いているつもりなのか ?


 まずは、1勝…………フッ、勝ったな !

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