第113話 嵐のごとく Ⅵ ⑨

アゲハ蝶子side】



 私は人を利用する事は有っても、人に利用さりるのは嫌いなの。

 そして乙女心をもて遊ぶ□ソ◌郎も許せなく成っていたわ。


 気付いていないと思っているのかしら ?

 マリン星華サリー秋穂マオ伊緒そしてユーミン由美子に声をかけて回っているのを……

 一見、コミュニケーションを取っている風を装おって、巧みに

『二人だけで会えないか?』

 と、誘っている…………


 私だけを誘うなら、良い落とし処を見付けてアリア明日菜に許して貰おうかと考えていたのに……


 この蝶子を無視 ? それとも後回し ?

 そして、そして、この私を『一山おいくら』のミカンとかと一緒にしているのが、特に許せないわ !


 可愛い、可愛い蝶子ちゃん。

 優しい、優しい蝶子ちゃん……だけど怒らせたら大変なんだからね !



 私、残酷ざんこくですわよ。


 家にある、お父さんの漫画コレクションにあった、復讐するゴージャスなレディの物語が私のお気に入り。

 どちらかと云うと、その後に連載した超長期連載漫画の方が国民的人気だけれども……


 アリアからの連絡待ちなんだけど、まだかなぁ~

 私の中の悪女?が、さっきからささやくの


〖偽りの『愛』を語る者に慈悲は無い !

 愛と……の…………の名に置いて、処分するべし〗



 人間の中には『神』と『悪魔』が居て、常に争うと聞いたことがあるけど、私の中に居るのは『悪女』だと思うの。

 だって、普段の蝶子は『聖女』だもんね!



 ♟♞♝♜♛♚



 何時もゲームで遊んでいる時は時間が、アッ と云う間に過ぎてしまうのに……

 今日は時間が経つのが遅く感じてしまうわ。



「アゲハさん、一目惚れってあるんですね。

 貴女の事が知りたくて、パーティーの皆さんに聞いて回ってしまいました。

 僕の思っていた通りだったよ。

 きっと僕たちは、運命の赤い糸で結ばれていると思うんだ!

 そう、アゲハさんと出会い『真実の愛』に目覚めた僕は、なんて幸運なんだろう !

 ゲームの中だけで無く、リアルでも逢えないかな?

 これでも僕は、東京お坊ちゃま大学附属高校の生徒なんだよ。

 だから、大丈夫! 信じてね 」


 え~、何処から突っ込みを入れれば良いのかしら?

 嵐くんや巧くん、ロッキーくんなら上手く突っ込みをするのだろうけど、蝶子はボケも突っ込みも良くわかんないよぉ~。


 ……だけど、これだけは言えるわ !

 少しイケメンだけど、イケメンだけど気に入らない!

 確かに私はイケメン大好きだけど……


 ピッピッ ♪


『準備OK なのじゃ !予定道理に《プロジェクトXYZ》スタートしてくださいなのじゃ !』


 ユカリン由利凛ちゃんから連絡があったわ。



 ♟♞♝♜♛♚


「二人きりにに成って話をしたいなんて、アゲハさんは積極的だなぁ~。

 やっぱり相思相愛だったんだね!

 きっとしてくれるさ !」


 誰が、するかぁー!

〖誰が、するかぁー!〗


 どうやら、私の中の悪女も気持ちは一緒みたい。



 目的地に着いた……


「本当は僕のことに気が付いているんだろう、アゲハさん。

 隠れていないで出て来いよ、『風林火山』!

 罠にめたつもりだろうけど、証拠も無い上に俺は規約違反なんてしてないぜ!

 相手が勝手に貢いでくれただけで、強要なんてしていないからな !」


 とうとう、正体を現したわね、女の敵め!


 ユカリン由利凛ちゃん達が姿を現したわ。

 前回のスタンピートからの防衛戦で貰った『賞品ポイント』で選んだ『光学迷彩マント』を使っていたのにバレるなんて勘の良い奴よね。


 皆、驚かそうとしてた為か残念そう…………蝶子のせいじゃ無いからね!







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