第112話 嵐のごとく Ⅵ ⑧

【バルトスside】



 そろそろ潮時だな、このアルバイトも……

 既に結構、噂に成って来ているから、次の仕事を終えたら、しばらくは ほとぼりを冷ますとするか。


 エスデスのバカは調子に乗っているから近い内に破滅するだろうけど俺は違う。


 何事も、ほどほどが良いんだ。


 既に、ターゲットは絞ってある。


 一つは『風林火山』と云う美少女ばかりのパーティー


 一つは『眠れる羊たちスリーピングシープ

 情報によると、最近 男たちと喧嘩別れしたと云う話だ。


 ピーン ときたね。


 風林火山の方は『罠』だ!

 美少女揃いだが、リーダーのアリアと云う女。

 正義感の塊のような顔をしている。

 本来なら、こんな自信家の女の顔を嫉妬と屈辱でゆがませてやりたいが…………他のメンバーにヤバそうな女が二人もいやがる。

 一人は、エデンと云う女で美少女だが俺には解る!

 アノ女は俺と同類、人の不幸を喜ぶタイプだ。

 もう一人は、ユカリンと云う美幼女……だよな……

 上手く言えないが、邪悪な小悪魔のような気がするんだよな。

 俺は自分の勘を信じるぜ!



 眠れる羊たちスリーピングシープの方は、アゲハは優しそうな美少女だ。

 他のメンバーも可愛いのだろうが、アゲハと比べたら見劣りする。

 なんと言ってもアゲハは配信サービスで、たっぷり稼いでいるのが良いんだよな。

 あの手の女は褒められ馴れているから大変だが、上手く惚れさせれば がっぽり稼げるに違いない。



 偶然を装おって近づこうとしたら、メンバーを募集していた。

 俺の職業は『騎士きし

 何時ものように憐れみを誘い仲間に入れて貰おう。


「すみません、仲間を募集しているようですが、よろしければ 僕を貴女たちの仲間に入れて貰えないでしょうか?

 実は、前に居たパーティーから追い出されて困っていたんです。

 追放される時に、装備一式も取り上げられた上にエンジャーお金も取られてしまったので、助けると思って少しの間だけで良いので、お願いします」


「「「「「…………………………」」」」」


 考えている、考えている ♪


「それは、お困りでしょう。

 少しの間だけで良いなら、一時的にパーティーに入ってください。

 私達も貴方と冒険をしながら、一緒のパーティーでやっていけるか観察させて貰いますね」


 ピンク頭の胸の大きな女の子が応えてくれた。

 少しタレ目で甘ったれた顔をしている女がアゲハだ。

 他の四人の女もうなずいているので、やはりアゲハがリーダーなのだろう。


 情に訴える作戦は成功だな、この手の女は自分が優しいと思っているから、チョロいぜ!



 ♟♞♝♜♛♚



 少し後悔した…………コイツら、テイマーパーティーかよ !


 ペガサス、ユニコーン、黒い2本角の馬はなんだ?

 後は、変なヒヨコが二羽いるな。

 最近は、テイマーが流行りらしいが、可愛いだけなら戦闘に役に立つモンスターをテイムしろよ。


 とりあえず、チェーンメイルとかしの木の盾、鉄の片手剣を買って貰ったんだが……シケてやがるなぁ~


 そんな時に、オークが3匹現れた。


 よし、せいぜい良い処を見せてやるか……と思っていたら、マリンと云う女が飛び出して


「アッパー・ストレート ! 」


 先頭に居たオークの前にしゃがみ込んでから、そのままジャンプするように拳を真っ直ぐに突き上げた。


 不意をつかれたオークが倒れた処をアゲハが槍で止めをさしている。


 他のオークが逃げ出そうとしたら、ヒヨコがブレスを吐いた !


 オークの足が石化して動け無く成った処へ


「ストーン・バレット !」


 土魔法、岩の弾丸がオークの頭を吹き飛ばした !

 …………コレ、俺イラナクネェ !


 選択を間違えたか ?

 コイツら、結構 狂暴だぞ !


 慎重にいかないと、俺の方がヤバいなぁ~




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