第110話 嵐のごとく Ⅵ ⑥

【嵐side】


 情報が集まったのか、皆が集合している。


「完全では無いけど、だいたい情報が集まりました。

 情報ギルドからの報告に寄るとパーティークラッシャーの男性プレイヤーの名前は『バルトス』、女性プレイヤーの名前は『エスデス』と云うことが判りました」


 おおー、もうそこまで判ったのか!

 凄いな、情報ギルド。


 アリア明日菜の説明に感心していると、



「 あっ! それなら偶然に妾も見てしまったのじゃ!」


 見ていたのかよ、由利凛 !

 お前、デート中に何をしているんだよ!


 由利凛から事情を聞いて英里香エリスと由利凛だけが、楽しそうにしているな。

 二人共、元・邪神だから仕方ないか。


 正義感に燃えている明日菜以外は、皆 他人事にしか思わないのか無関心に見える。


「報酬は少ないけど、運営にもクレームが行っているようだから、運営に『恩』を売るチャンスでもあるのよ !

 お願い、皆 力を貸してください !」


 そう言いながら頭を下げた明日菜に、皆が協力することにした。

 だけど、ルール違反をした訳では無いから運営が、アカウントをBANする訳にもいかないし、NPC領主にしても 単なり冒険者同士の争いに首を突っ込むことは無いはずだよな。

 どう対応するか聞いたら、証拠を集めて情報ギルドを通じてプレイヤー間でパーティークラッシャーの情報を共有することにしたようだ。


 パーティークラッシャーのバルトスもエスデスもソロプレイヤーでゲームを続ける程には強く無いようだ。


『寄生プレイを繰り返してゲーム内通貨を貯めてからリアルマネーに替えて、お小遣い稼ぎをするのが目的だ』


 と云うのが明日菜の見解だ。

 …………なに、それ?……俺は初めて知ったぞ !

 説明書やチュートリアルを見なかった俺が悪いのか!?


 ……次からは無駄遣いしないで少しは貯めることにしよう。



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔



 今回は、男子パーティーと女子パーティーに別れて、エスデスとバルトスを罠にめる作戦を取ることに成ったんだが……


「皆の足を引っ張るなよ、ダメ軍神 ! 」


「その言葉、そっくりノシを付けて返すぜ、駄龍だりゅう


「「グッヌヌヌヌヌヌ ! 」」


 龍騎青龍(カゲトラ)だけとは仲良く馴れそうに成らないな !


 ケンシン(嵐)、サナダギレンロッキーカゲトラ龍騎シリウスマーズの五人だ。


 ちなみに女子パーティーは、二つに分けたようだな。


 街をブラついていたら、さっそくターゲットがかかった。


「あ……あのっ!

 突然すみません、僧侶ヒーラーのエスデスです。

 アタシを皆さんのパーティーに入れてもらえないでしょうか ?」


「ちょっと待ってくれ、皆と相談して決めるから」


「アタシ、まだ初心者なんですけど、女性パーティーは『初心者なんて要らない !』と断わられてしまったし、他の男性パーティーは何か恐くて…………そんな時に、先輩方みたいな優しそうな男性に会ったんです。

皆さんに断わられたら、アタシ行くところが無いんです。

お願いします、アタシをパーティーに…………ウェ~ン」


あ~あ、泣いちゃった…………ウソ泣きだけどな!


 皆と相談するフリをして、あらためて計画を確認しあった。


「とりあえずは『仮』メンバーと云うことで良いか ?」


 俺がエスデスに言うと、


「ありがとうございます。

 アタシ、一生懸命頑張りますね!」


 と言いながら俺の手を自分の胸に押し付けている。

 …………やっぱり『ギルティ』だな!

 色仕掛けでパーティーメンバーを引っ掻き回す算段と云う訳だな。

 単なる中坊ちゅうぼうなら色仕掛けに引っ掛かるだろうが、俺はアフロディーテで懲りているから引っ掛かから無いぞ!


 引っ掛かるフリをして顔を朱くして、慌てたフリをして急いで引っ込めた。


 チョロいと思っているんだろうなぁ~


 連携の練習だと言ってフィールドに連れ出したら、予想通りに、隙を見て ロッキーや巧、龍騎にアプローチをかけていた。


 シリウスマーズは、俺の側から離れ無いように言っていたので大丈夫だ。


 案の定…………


「きゃぁー! 何をするんですか、サナダさん!」


 あ~あ、犠牲者はヘパイストスかぁ~。

 怒っている、怒っている、差し詰めアフロディーテに裏切られた事を思い出したと云う処だろう。


「皆さん、サナダさんが酷いんです !

『メンバーに入れて欲しければ、自分の女に成れ』

 なんて、言うんですよぉ~」


 あまり焦らすとヘパイストスが本気で怒りだしてしまうな。

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