第108話 嵐のごとく Ⅵ ④

【嵐side】


 ログインすると、ベルを始めとした従魔たちが宴会をしていた。


「どうしたんだ、お前たち従魔はエンジャーお金を持っていたっけ?」


 俺が聞くとベルが胸を張りながら、


「前回の防衛戦で、ボクたち従魔がかげの立役者だから、ユカリン由利凛からエンジャーを貰えたんだよ。

 だから皆で、お疲れ様の打ち上げをしていたんだよ!」


 えっ、コイツら従魔たちって、何処で活躍していたんだ?

 俺の表情を読んだかのように


石兵八陣せきへいはちじんって、覚えている?

 アノ罠は、ボクたち従魔が陰から手伝いをしたから成功したんだよ。

 濃い霧はボクの水魔法だし、幻影はタマモ妖狐の『グレート・イリュージョン』と云う魔法で惑わして、クロウフクロウの従魔が『パニック混乱魔法』で、ゴブリンやオークを同士討ちをさせて、ハルカとカナタコカトリスの雛が石化ブレスで足元を石化させて、ウサピョン蹴りウサギドンちゃんどん兵衛キツネが止めを刺して回ったんだよ!

 云わば、ボクたち従魔のチームプレイの結果だね!」


 ホェェェ~、てっきりコンピュータが判断したのかと思ってたよ。


「じゃあ、この石兵八陣は連発出来ない訳だな。

 従魔たちに負担がデカすぎるもんな~」


 まあ、アレは出来すぎだったからな。

 そうそう何度も使える手では無いからな。

 今度は、こちらが攻める番だよなぁ~

 そろそろ、アメリカチームが魔王かエリアボスを見付けて良い時期のハズなんだが、一向に情報が下りてこない。

 さては、奴らは情報を独り占めしているな !



 ……ところで、妹たち処か女子達が集まり密談していて恐いんだが……

『押すな』と言われれば押してしまう。

『引くな』と言われれば引いてしまう。

のぞくな』と言われれば覗いてしまうのは人間のごうと云うモノだろう。

 恐いモノ知りたさに妹たちに聞いて見ると、


「パーティー・クラッシャー !」

 思わず叫んでしまった。


「あくまで噂なのですが、フリーの男女プレイヤーが居るらしいのですが、女性パーティーなら男性プレイヤーが、男性パーティーなら女性プレイヤーが臨時で入りパーティーメンバーを仲違いさせて解散に追い込むプレイヤーが居るらしいのです」

 アリアあすなの言葉に思わず、エデン英里香アゲハ蝶子を見てしまった。


ひっど~い酷い蝶子ちょうこは知らない人に、そんな事しないモン!

 プンプン、激おこプンプン丸なんだからね !」


 アゲハ蝶子が怒って部屋から出て行ってしまった。

 サナダ(ヘパイストス)とギレンロッキー(ロキ)がジャンケンをして負けたギレンが項垂うなだれながら、アゲハの従魔ノワールバイコーンを連れて出て行った。

 従魔とマスターはリンク・繋がりがあるから見失う事は無いだろう。

 あからさまに、ホッ としているお前ヘパイストス、仮にも元嫁だろうに薄情な奴だよなぁ~。

 もちろん、余計な事など言ったりしないさ。

 藪をつついて蛇を出したく無いからな !


「もちろん、私でも無いわよ、お兄さま」


 エデン英里香(エリス)は笑顔で応えているが 俺には判るんだ、何年 お前の兄貴をやっていると思うんだ。

 それにエリスは不和と争いの女神なんだから仕方ないだろう!


「しかし、何の為にそんなしょうもない事をするんだ?

 そいつらにメリットとかあるのかよ」


 俺のつぶやきにアリア明日菜は考えこむように目を閉じていた。


 んっ? そういえば、ユカリン由利凛エリーゼ恵利凛シリウスマーズの姿が見えないよな。

 アリア明日菜たちと一緒にログインして、一度パーティーハウスに顔を出したハズ。


「なあ、エデン英里香、ユカリン達は何処に居るんだ ?」


「……ダブルデートですって! 恵利凛は、ともかく由利凛は何処まで本気なのかしら ? 絶対にろくでもない事を考えてるに違いないわ !」


 英里香エリスの奴、結構 ショックだったのかな?

 同じ邪神同士、仲が良かったからな。



「 ……もう少し情報が必要ね。

 思い当たる節はあるけど、確信には材料が足りませんね。

 情報ギルドに依頼して調べて貰います」


 まだ、考えていたのかよ!

 今は 女神アテナは、お休みで人間 明日菜なんだから人生を楽しんでいれば良いのによぉ~。


 明日菜は真面目過ぎるんだよな!嵐が不真面目なんだよ!







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