第105話 嵐の青春 ①
【嵐side】
クリス……蛍が大学に帰ってしまった。
教育実習の期間が無事に終了したので、最後に皆に挨拶をしてクラスの皆から盛大に応援しながら送り出した。
結局、俺の気持ち、告白はしなかった。
俺のような中学生のガキが告白しても蛍を困らせてしまうだけだからだ。
幸い、大江戸家と蛍の竜ヶ崎家は、家族ぐるみの付き合いをしている。
蛍に言われるまで忘れていたが、確かにガキの頃に蛍に会った気がする。
あの頃は、小学生のガキだったから遊ぶことに夢中で蛍のことは、天音姉ちゃんと仲良しの姉ちゃんくらいにしか認識していなかった訳だ。
クソゥ、あの頃に戻れたなら、もっと仲良しに成っていたのに !
試しに
「この
そんなことは常識だろう、スカポンタン !」
知らねえよ、そんな常識 !
そう、蛍のことを考えていたら、いつの間にかホームルームが始まっていて……
スパーン ! 💥
「痛ぇー ! いきなり何をするんだよ、由利子オバチャン ! 」
ギロッ 由利子オバチャンに
ここは学園の教室で、皆が俺を見てクスクス笑っていた。
妹たちは、『アチャー』としかめっ面をしていたが……
「スミマセン、由利子先生。 以後、気をつけます 」
「ウッ ウム、判ったのならよろしい。
次からは気をつけるように 」
悪いことをしたら謝る、ガキの頃から由利子オバチャンに何度も言われたことだな !
お陰で、すっかり由利子オバチャンには 頭が上がらなく成ってしまった。
「明日から期末テストが始まるが、皆 準備は出来ているかな ?
一夜漬けは、通じないから無理をしてヤラないように !
前にも話したが、諸君らの先輩の中には一夜漬けをして試験中に爆睡した者も居るから注意するように !」
わっ 忘れてたぁ~ ……なんて言ったりしないぞ !
ちゃんと試験勉強はしていたからな……妹たちの監視が有ったからだけどな !
♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔
期末テストが始まった。
由利子オバチャンが心配したような居眠りする者も無く、皆が真面目に試験を受けていた。
爆睡していた先輩とは、どうやら星華や秋穂、
そのせいか、4人共 真面目に試験を受けているな。
まあ、試験勉強も一緒にしたから赤点を取ることは無いだろう。
♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔
【由利子side】
良かった、本当に良かった !
最近は、大江戸ファミリーも竜ヶ崎姉弟も星華、秋穂、伊緒、由美子たち4人組もゲームに夢中だったから心配していたんだ。
そう、あの頃の聖子、秋奈、伊予、今日子たちが居眠り、爆睡した時の夢を何度も見てしまった。
母親と娘は違うと判っていても仕方ないだろう。
これで成績が問題なければ、言うことが無いんだがな。
「フッフフ、良かったわね 由利子。
貴女は心配し過ぎなのよ !
もう少し生徒を信じてあげなさい ! 」
真知子に言われてしまったが、確かに その通りだ。
「今時の生徒は、しっかりしているわよ。
深雪ちゃんと博子ちゃんの娘も高等部で、真面目に頑張っているみたいよ。
まあ、由利子は 6人の生徒で苦労したから仕方ないのかも知れないけどね 」
う~ん、やっぱり母親に似たのは容姿だけで性格は父親に似たのかな。
父親たちは、確かに真面目な生徒だった気がするが大人し過ぎて、あまり記憶に残って無いんだよなぁ~。
「ほら、考えてばかりいないで採点をしないと残業に成るわよ !
……ハルトは優しいから呆れるなんて無いと思うが、私も真面目に採点しないと本当に残業に成ってしまうな。
生徒に注意する教師がいい加減なことは出来ないからな。
♤♢♡♧
期末テストが無事に終了して、ホッ としている。
結局、居眠りする生徒は出なかった。
そして赤点もいなかった……だから、喜ぶべきなんだが、手のかからない生徒達に寂しさも感じる。
贅沢な話だな……
「先生がた、先ほど自警団からの情報が入りました。
どうやら、他校の生徒、それも東京の男子学生が
くれぐれも問題が無いようにお願いしますよ !」
やれやれ、やっぱり楽は出来そうに無いな。
「潮来先生、くれぐれも暴力は控えてくださいね !
本当に本当にお願いしますよ ! ……フリじゃ無いですからね !」
…………失礼だな、私ほど平和主義な人間も居ないと思っているのにな !
私を見て、クスクス笑う真知子や瑠奈が気に成るが、私をどんな目で見ているんだ !
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