第100話 子羊たちの大冒険 ②

【ベルside】


 ゴブリンの奴、何処まで逃げるつもりなんだろう?

 追い付きそうで追い付け無いし、逃げられそうで逃げられ無い……嫌な予感がするのは気のせい?


 どんどん逃げられて追い駆けて行くウチに、初心者用のフィールドを抜けて里山の方に向かっている!


 不味い、マズイよぉー!

 あのフィールドは、レベル1のの初心者には無理無茶無謀すぎるよぉー!


 案の定、追い付いた時には、沢山のゴブリンにゴブリンジェネラルにが居た!


 ゴブリンに誘き出されたぁー!


 チビッ子達は、ゴブリン達に囲まれてオロオロしている。

 ウグゥ、この戦力では勝つ処か逃げるのも難しいよぉー。

 クッパ玄武が遅いからって、置いてきたのは失敗だった。

 まったく、あのドンガメは役にたたないんだから!


 ツンツン ツンツン


 ハルカとカナタコカトリスの雛が突付くから後ろを見たら……クレイジーモンキー猿のモンスターが逃げ道を塞いでいた。


 もしかしたら、ボク達は ゴブリンの策に引っ掛かったの?

 一応、ボクはカーディナル兼最高のAIのハズなのに!

 こんなことがバレたら、他の姉妹カーディナルに怒られてしまう!

 せっかく無理やり妖精のアバターを創って、嵐たちの仲間に成ったのに!


 本来のボクの仕事、カーディナルは ゲーム上の『バグ』の発見、修正やプレイヤーの精神の観察やケア、新しいクエストの作成など多岐に渡るんだ。

 そんな時に嵐たちのプレイが目に止まり、観察していたら……物凄く楽しんでいる嵐たちに興味が深く成り、近くから観察……一緒に居たく成ってしまった。

 幸い、カーディナルシステムの都合上、複数のカーディナルが相互監視しながらゲームを運営している。


 ボク一人くらい現場に行っても大丈夫だよね!


 カーディナル権限の殆どは封印して来たから、今のボクは普通の妖精より少し能力が高いだけなんだ。


 当然、あのカメが普通の従魔では無いことは気がついているけど、ボク達のお母さんであるスーパーコンピューター『オモイカネ』の判断で、そのままにしている。

 うん、お母さんオモイカネの判断は正しかったネ、まったく役に立たないけど!



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔



 我慢出来ずに突出してきたゴブリンをウサピョンが蹴り倒している。

 無理やりでも連れて来て良かったよ!

 流星ペガサスユニユニコーンも風魔法や雷魔法で対応しているけど、子馬低レベルの為に苦労しているみたいだ。

 ボク達は、完全に囲まれないようにハルカとカナタコカトリスの雛が石化魔法でクレイジーモンキーを足止めしているけど、多勢に無勢!


 ここで負けても本当に死ぬ訳じゃ無いけど、せっかく楽しみに来たチビッ子達をガッカリさせたく無いよ!


 誰かカーディナル見ていたら助けてよ!

 と、言ってもカーディナルはプレイヤーに公平であるべきだから、ボク達だけを贔屓ひいきしてくれる訳無いよね!

 嵐たちが遊びに来る時間には、まだ早いし……詰んだ?



 ! 後方に居た、ゴブリンジェネラルの頭が吹き飛んで、ポリゴンに成り消滅した。


 その後にゴブリンキングと両手を組んで力比べをしているのは……どん兵衛キツネ!


 アレ、人間の開発者の一人が冗談で創ったモンスターなんだよね。

 忙しい最中、コツコツと創っていたらしく、やたらと能力は高いけどテイム条件が特殊だから、ギリギリ許可されたみたいだ。


 だから、せっかく嵐の妹たちに紹介してあげようとしたのに『ごめんなさい』されるなんて……


 だけど、まだまだ敵モンスターは多すぎるよぉー!


 パッラ ラララララララララララララララララララ!


 と思っていたら、たくましい身体をして意思の強そうな太眉、鋭い目をしたおとこが機関銃を持って、クレイジーモンキー達を次々と倒している。


 凄い! だけど、あのモンスターは知らないよ、ボク!

 プレイヤーじゃ無い証拠に頭から、うさ耳が生えている。

 まさか、ボクの知らない間に創っていたのアノ開発者!

 趣味に走り過ぎ!


 力比べは、どん兵衛キツネが勝ったようで、ゴブリンキングもポリゴンに成り爆散した。

 それを、きっかけにして 他のゴブリン達もバラバラに逃げ出していた。


 たっ 助かったぁ~!



 ピコーン ♪ ピコーン ♪


〖どん兵衛キツネをテイムできます Yes/No〗


〖マーダーバニーをテイムできます Yes/No〗



 チビッ子達は、躊躇ちゅうちょしないで『Yes』のボタンを押していた。


 エッ エッ、それテイムするの?

 チビッ子達は初めての従魔に喜んでいるけど……

 コレ、嵐たちに何て言われるかなぁ~?


 今からAI痛いよぉー熱暴走しそう

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