第99話 子羊たちの大冒険 ①

ベル妖精side】



 ボクは妖精、名前はベル!

 嵐……この世界ゲームでは、ケンシンに名前を付けてもらったんだ。


 嵐たちが、リアルワールド現実世界で過ごしている間、ボクたち従魔は パーティーハウスでお留守番をしているんだよね。


 みんな従魔たちと一緒だからさみしく無いけど少し退屈なんだよねぇ~。


 早く嵐たちがログインしと来ないかなぁ~

 まあ、もうひとつの仕事よりはマシなんだけどね。

 ボクのもうひとつの仕事は、カーディ……



 ポーン ♪ ポーン ♪




 アレ、嵐たちが来るには早すぎる時間だけど誰だろう?


陽野芽ひのめちゃん、やっぱり誰も居ないよ!」


「やったね、星奈せなちゃん!にーにー達に内緒で冒険にいけるね!」



 あの子たち……嵐がパーティーハウスに連れて来た子たちだ。

 カゲトラ龍騎の本当の妹で、ヒノメとセナと云う名前だったよね。

 それよりもさっき、とんでもないことを言ったような気がするんだけど……ボクの気のせいでは無いよね。


「わたし達だって『眠れる羊たちスリーピングシープ』の一員に成ったんだから、レベルを上げて にーにー達を驚かせようね!」


「お兄ちゃんは、ともかく お姉ちゃんは過保護だから、冒険するなら今のうちだもんね!」


 なんと云う、チビッ子達だろう!

 充分、ボクは驚いたよ!


「ちょっと、ちょっと、チビッ子達!

 嵐から二人だけで、フィールドに出たらダメだと言われているだろう!

 二人は約束を破る悪い子なのかな?」


 ボクがチビッ子達に注意したのだけど、


「わたしたちより、ベルの方がチビッ子でしょう!

 にーにーとの約束は守るよ、流星ペガサスユニユニコーンタヌキチブンブク茶釜は、わたしたちの味方だもんね!

 一緒にフィールドに行ってくれるよね」


 ヒノメが言うと、タヌキチ達は即座に反応してヒノメやセナの側に行ってしまった。


 あっ、ピヨピヨ鳴きながら、ハルカとカナタコカトリスの雛までが行ってしまった。


 反対しているのは、アリア明日菜タマモ妖狐エデン英里香クロウクロロホルム(フクロウ)カゲトラ龍騎クッパ玄武だ。


 リアスパラスモフリンケセランパサランは、ふわふわと漂っているだけで何も考えていないようだし、カゲトラのウサピョン蹴りウサギは昼寝して我関せずみたいだね。


 仕方ないなぁ~、二人だけで行かせる訳にはいかないから追いて行くかぁ~。



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔



 パーティーハウスからフィールドまでチビッ子達は流星ペガサスユニユニコーンに乗りながら来たんだけど……

 ノワールバイコーンが羨ましそうに二頭を見ている。

 まだ、3頭は子馬の為にマスターを乗せるには小さすぎるんだよね。

 その代わりに、ボクやタヌキチ、ハルカ、カナタコカトリスの雛が乗っている。


 タマモ妖狐達は、お留守番をしてもらい クッパ玄武ウサピョン蹴りウサギは無理やり連れて来た。


 チビッ子達の防御にクッパは必要だし攻撃力が少ないボク達にウサピョンも必要だったんだ。

 頼んだらウサピョンは直ぐに『OK』してくれたのに、クッパは最後まで抵抗していた。


「やだよぉー、一緒に行ったら後で青龍龍騎に嫌味を言われたりするのは、ボクなんだよぉ~

 それに、白虎琥珀だって怒ったら恐いんだからねぇ~」


 まったく、この『ドジでノロマなカメ』は……


「言うこと聞いてくれないとしちゃうぞ❤️」


 ビグゥ!


 驚いたようにボクを見詰めるクッパ玄武


「わかったよぉ~、だからだけは勘弁してよぉ~ 」


 聞き分けのある子は嫌いじゃ無いよ。


 だけど、居ないなぁ~

 角ウサギを狩りに来たんだけど、この間の従魔騒ぎで沢山狩られたせいか居ないんだよね。


 もう少し奥に行ったら居るかなぁ~

 と思っていたら、一匹のゴブリンが居た。


 チビッ子達にヒト型モンスターは無理かと思いスルーしようとしたら、


「あっ、ゴブリン発見!

 流星、ゴブリンを追いかけて!」


 ヒノメがゴブリンを追いかけてしまった。


「待ってよぉ~、陽野芽ひのめちゃん!

 お願い、陽野芽ちゃん達を追いかけて、ユニ!」


 心配して損した! 好戦的なチビッ子達だなぁ~


「ウサピョン、チビッ子達を追いかけてあげて!

 ノワール、ボク達も追いかけるよ!」


 ウサピョンもノワールも直ぐに反応して追いかけ始めたのに……



「待ってよぉ~、ボクは 早く移動出来ないんだよぉ~」


 クッパの声が後ろから聞こえてくる。

 だから意地をはらずに馬達に乗せて貰えば良かったのに!


 ドジでノロマなカメに『クッパ』と云う名前は勿体無いから『チエミ』とでも書き換えてやろうか!


 チビッ子達を追いかけながら考えてしまった。

 もちろん、そんな事はしないけどね。


 ゴブリンはグレーウルフに乗り逃げ始めた。

 コチラをチラチラ見ながら走るのは気に成るけど、今はチビッ子達に追いつくのが大事だから深く考えていなかったんだよね。


 まさか、ゴブリンが……

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