第95話 嵐のごとく Ⅴ ⑪

【嵐side】



 結局、情報ギルドから提供された情報と妹たちの判断で依頼を受けることに成った。

 作戦は前回とほぼ同じ、俺達と云うより いつの間にか盾職扱いされた俺が先頭に成りアリア明日菜リアスパラスが後に続く、サナダギレンロッキーが遊撃で別行動、エデン英里香は 離れた所で狙撃の準備中、カゲトラ龍騎エデン英里香の護衛をしている。


 依頼のあった辺りに来たが、レッドデビル・グレートベアーもブラックデビルバイパーも居なかった。

 諦めて闘うのを止めたのかと思ったら、


「待っていたぜ、貴様らに復讐をする時を!」


 そう言って、男達が表れた。


「お前たちのせいで、仲間達がゲームを出来なく成った仕返しをさせて貰うからな!」


 そうか、コイツらは この間のPK集団の残党や仲間だな!

 え~と、確かパーティーの名前は、


「『つめあか』だったか?」


 俺の言葉に顔を真っ赤にして怒りながら、


「『悪魔王サタンの爪』だ!

 爪の垢なんて、バカにしやがって覚悟しろよ!」


 短気な奴だなぁ~、クールになれよ!


 まあ、所詮は残りカス……そう思っていたら、レッドデビル…………もう長いから、クマとヘビでいいや!


 クマとヘビを従えたプレイヤーが現れた!


「なっ、テイマー だと!

 どうやって高レベルのクマとヘビをテイムしたんだ!」


「ヘッ 驚くのは、それだけじゃないぜ!」


 爪の垢の一人が言うと俺達のパーティーの後ろからもプレイヤーが現れた……アレ? 見たことが有るような、無いような……誰だっけ?


 俺が不思議そうな顔をしていたら、直ぐ後ろに居たアリア明日菜が教えてくれた。


「彼らは『闇を切り裂く者たちダークパルサー』の人たちですよ!

 お兄様が面接に連れて来たパーティーですよ。

 まさか、お兄様は忘れたのですか?」


「そんな事からも無いサー、ちゃんと覚えていたともサー!

 アッハハハハハ 」


 ヤベェ、すっかり忘れていたよ……上手く誤魔化せたよな。

 しかし不味いなぁ~!

 まさか、暴れているクマとヘビがテイムされて居たなんて誰も気がつかないだろう!

 つまり、まんまと奴らの罠にハマッてしまった訳だな。

 クマとヘビを相手にしてPKプレイヤーまでも相手にするのはキツいな。

 妹たちやダチ公とベルやタヌキチ達家族を守る為には『剣士』のままでは不利でしか無い。

 俺は素早くステータス画面を開いて職業を『パラディン』に変更した。

 これで防御力を中心にステータスが少しはマシに成っただろう。

 ダークネスの大盾を構えると…………真っ黒な盾が真っ白な盾に変化していた。


「やったね、旦那さま!

 ワタシの呪いが解けたから防御力が大幅アップだよ。

 これからも、ずっ~~~と、一緒だからね、旦那さま!」


 ダークネスの大盾の言葉に俺は声を失っていた。

 やっぱり、お前のせいか!

 とりあえず、文句は後で言うから覚悟しておけよ!



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔



 戦闘が始まった……


 苦戦するかと思っていたのだが、テイマーはエデン英里香に頭を撃ち抜かれて、あっさり退場してしまい、それに伴いクマやヘビの従魔達も消えてしまった。

 知らなかったなぁ~、テイマーが退場すると従魔までも退場するとは。


 そこからは、妹達の独壇場で次々とボコボコにされて捕縛されていった。


 捕まえたプレイヤーに聞いた処、ヘビとクマをテイム出来たのは、リアルマネーで買った『モモタロウ印のキビダンゴ』をヘビとクマに食べさせてテイムしたと言っていた。

 結構なお値段で、キビダンゴは二つしか買えなかったと云うことだ。


 そして今度も俺だけが、事実を知らなかった……

 妹達は、最初から ダークパルサーの奴らを怪しんでいて情報ギルドと情報の交換をしていたから、襲撃を予想していたようだった。


 …………しまいには、グレるぞ!

 でも、由利子オバチャンも恐いから、今度だけは許してやろう。

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