第70話嵐のごとく Ⅳ ⑦

【嵐side】


 洞窟の中に入ると、さっそくギレンロッキー

 が偵察に出てくれた。

 盗賊は敵察知や罠察知、解除に優れているから斥候役には、打ってつけなんだよな。

 その上、元々 頭の回転が早いから機転が効くし安心して任せられるな、流石 狡知こうちの神と恐れられたのは伊達では無いな。


 感心しているとサナダが話しかけてきた。


「 一応、忠告しておくが、さっきアメリカチームの女達がお前をチヤホヤしていたのは、男としてモテていた訳では無く、ゲームのメイン盾としてモテていただけだから勘違いするなよ。

 このゲームは、始まったばかりで『メイン盾』が極端に少ないんだよ !

 アメリカチームを観察すると判るが、ほぼ全員が攻撃職ばかりで各チーム、ヒーラーも1人ずつしか居ないだろう。

 バフをかける支援魔法を使う青魔導士も居ないから物理攻撃がメインの脳筋チームな訳だ。

 だから、メイン盾のお前に目をつけただけなんだからな !」


「……知ってたサ~、それくらい判らない訳無いだろう。

 ハッハハハ……」


 しっ 知らなかったぁ~、危ねぇ~、危ねぇ~、危うく大恥をさらす処だったな !


 そんなやり取りをしていたら、ギレンがゴブリンを引き連れて戻ってきた。


 アメリカチームのアーチャーが狙いをつけて矢を放ち始めた。

 ネイを初め、魔法使いでも炎系の魔法は洞窟内では使え無い !

 運営がリアルを追及した為に酸欠する可能性があるからだ。

 某ロボットアニメの主人公の父親みたいに『酸素欠乏症』に成るのは、ゴメンだぜ !


 俺もこの間のボス戦で覚えた『投擲とうてきスキル』で、アイテムBOXから鉄球を取り出して、ゴブリンに向かって投げることにした。


「 喰らえ ! この俺のトルネード投法に隙は無いぜ !」


 身体を限界まで捻ってから、おもいきり投げると ゴブリンコマンダーの顔面をぶち抜き、更に後ろに居たゴブリンにも命中して二匹ともポリゴンと成り爆散した。

 他の皆も戦っている最中、少し離れた所でゴブリンアーチャーが、コチラを狙っているのが判った。


 奴の狙いは…………アメリカチームのバーサーカーをしている女だ !

 咄嗟とっさに彼女とゴブリンアーチャーの間に立って、ダークネスの大盾を構えて『矢』を防ぐことに成功した。


「 グッ……いやぁ~ん、もっとぉ~ 💓」


 盾がバカな声を上げていたが、他のプレイヤーには聞こえていないよな……頼む、誰にも聞こえていないでくれ !

 やっぱり、この盾は『呪いの盾』だったな……

 ライジング・サンには賢者もいるようなので、この呪いの盾を浄化して貰おう !


 ボス部屋に着くまでにウミウシのモンスターやフナムシのモンスターが出始めると女の子達は気持ち悪いのか、攻撃が鈍ったので俺達、男子達が露払いしながら進んで行き、とうとうボス部屋の前に立って居た。



 ギッ ギギギギギギギギッ !


 大扉を開けると、中は真っ暗だった。


 ドキドキしながら皆が部屋に入ると、勝手にドアが閉まり……


 ボッ ボッ ボッ ボッ ボッボッ ボッ ボッ ボッ ボッ !


 中の燭台に火が灯り中の様子が鮮明に成った。

 下には✡️六芒星の魔方陣が描いてあり、その頂点には確かに台座があった。


 彼処に聖剣を刺せば魔王は弱体化するんだな。

 それを確認していたら、魔王がポップ……出現した。


 さあ、ショー・タイムだぜ !

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