第65話嵐のごとく Ⅳ ②

【嵐side】


 判っていたことだが NPCの防具屋には、ろくなものが無いなぁ~。

 アテナのアイギスの盾とまでは云わないが、もう少しマシな盾は無いか探していたら、


「 そこのお兄さん、 盾ならアタイを買ってよ !

 絶対にお得だからさぁー ! 」


 へっ ? 盾が喋るワケないよな……ここは、無視 無視 !


「コラァー ! 無視するなぁー !

 いい加減、ここでほこりをかぶっているのは嫌なんだよぉー !

 頼むから買っておくれよぉ~ ! 」


 某ツンデレ魔法使いの使い魔が持っていた、インテリジェント・ソードなら欲しいが、喋る盾なんてろくなことが無さそうだぞ !


「 ホウー ! 確かに喋る盾なんて珍しいな、名前は何て言うんだい ? 」


 巧……サナダの悪い癖が出てしまった。

 変な処で好奇心が旺盛なんだよな !


「よくぞ聞いてくれました !

 アタイの名は『 ダークネスの大盾』と云うだよ !

 どんな攻撃も耐えるから、買っておくれよぉ~ ! 」


「面白そうだな、嵐……否、ケンシン !

 この大盾にしようぜ !」


 ギレンの奴は面白がってますすめてくるが、装備するのは俺なんだぞ !

 そうこう言っているウチにNPCに装備されてしまった。


「おい、まだ買うなんて言ってないぞ ! 」

 抗議したにも関わらず


「まいどおおきに ! 」


「だから、買うなんて…


「まいどおおきに !」


「だから、らねえと言っ……


「まいどおおきに ! 」


「この大盾を返品するから……


「返品は、あきまへん ! 」


 このNPCを殴っても俺は悪く無いよな !


 NPCを殴ろうか迷っていたら、サナダやギレンに止められてしまった。


「ゲーム内でNPCに暴力をふるうと『レッドカード』が出て、アカウントを停止させられるぞ !」


「特殊な効果があるかも知れないから、使ってみろよ !

 俺は装備出来ないのが残念だなぁ~……プッ、クッ クッ クッ クッ 」


 サナダは、ともかくギレンまロッキーは完全に面白がっているな !

 ……最近、性格が悪く成って来たなぁ~ ロッキーは。


 装備させられた大盾……確かに少しカッコいいが、……

 だが、断る !

 俺は『NO』と言える日本人なんだよ!お前は、オリュンポスの軍神だろう!


 大盾を外そうとしたら、


 デッ デッ デッ デッ デッ デッデッ デッデ ♪


 何処かで聞いた呪いの曲が流れて、


【 この装備は外すことは出来ません ! 】


 と云うメッセージが流れた。


 やっぱり、呪われているんじゃないかよぉー !


 その後、教会に行って神に祈って呪いを解こうとしたが無理だった。


 クソゥ、役立たずの神だよなぁー!お前が言うなぁー!


「末長く、よろしくね !

 …………旦那様と呼んだ方が良いかい ?」


「呼ぶな! ……ケンシンと呼んでくれ ! 」


 まったく、疫病神にでも憑かれているのかなぁ~ 俺。


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