第61話文化祭 ③

【嵐side】

 文化祭二日目、実質最終日な訳だが……

 俺達のクラスの出し物が営業禁止に成ったので、今日は自由行動に成った。

 何故か、由利凛の奴が一緒について来てやがる !


「おい、由利凛 !

 何故、俺の後を追いて来てやがるんだ !

 何時もは妹達と一緒に居る癖に、どういう風の吹き回しだ !」


「恵利凛は、只野くんとデートなのじゃ !

 妾は嵐お兄ちゃんが心配だから一緒に追いて来たのに酷いのじゃ………シクシク、信じて貰えないなんて、悲しいのじゃ !」


 ……胡散臭うさんくさい !

 わざとらしく嘘泣きしやがって、やることが小賢こざかしいだよ !


「だったら 英里香たちは、どうしたんだよ!

 いつの間にか、巧もロッキーも姿が見えないし、アイツらは 何処に行きやがったんだ ! 」


 別に約束をしていた訳じゃ無いが、せめて何処に行くかくらいは教えてくれても良かったのによ !


「英里香ちゃん達は、恵利凛が心配だから

『影から見守る』と、言っていたのじや!

 巧お兄ちゃん達は、

『野暮用があるから、『嵐』のお守りをしてくれ ! 』

 と言われたから、任されたのじゃ ! 」


 薄い胸をらして言う由利凛 に“イラッ”ときたが、大人な俺は ポーカーフェイスで対応した。


 由利凛を無視して歩く後ろから、てぽ てぽ てぽ てぽ てぽ……と、足音をたてながら追いて来ている。


「嵐お兄ちゃん、妾は小腹が減ったので彼処の甘味所で、甘いモノを食べたいから寄りたいのじゃ !」


 花より団子


 昭和をテーマにした和風の喫茶店か ?


「 ……おごってやるから、もう俺の後を追いてくるなよ ! 」


 限られた小遣いから奢るのだから、いい加減一人にして欲しい !


「やったぁー !明日は ホームランだね、お兄ちゃん 」


 教室に入り、空いている席を探すと……

 巧とロッキーに蝶子が居た、そして……クリス……蛍……先生が一緒に座って居るだと !


 これは、いったい……


「 どっきり㊙️大作戦、大成功なのじゃ !

 蛍先生は、ゲームの『オフ会』と云うことで呼んでいるから、お兄ちゃんは頑張って欲しいのじゃ ! 」


 そう言い残して、教室から出て行ってしまった。



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔


【蛍side】


 やっぱりバレていたようだね。

 仕方ないか、あのゲームは リアル重視で顔や性別を変えられないし、変装用のグッズや容姿を変えられる『化粧箱』は有料……リアルマネーでしか買えないから買わなかったことが裏目に出たようだね。


 さっきから、アゲハちゃん……夜野さんの視線が突き刺さっているから居心地が悪いし、やっぱり断れば良かったかなぁ~。


 お互いに、あらためて自己紹介をしたんだけど……


「大学生なんて、オバサンでしょう !

 やっぱり男の子は、若い方が好きに決まっているから~ 蝶子が選らばれるに決まっているから、変な期待をしない方が良いですよぉ~」


 夜野さんが自信タップリに挑発してくる。

 大江戸姉妹もモデルみたいだったけど、この娘蝶子も見た目は フワフワして少しタレ目で優しさそうな顔をしている。

 とても、アンナ嫌みを言うようには見えないんだけどなぁ~

 こんなに可愛い娘達に囲まれているんだから、わたしみたいな男の子みたいな女を好きに成るなんて……

 巧くんサナダロッキーくんギレンも普通に接しているけど、妙に嵐くんケンシンの視線が熱く感じるのは気のせいだよね。

 それに……親友トモエ秋桜こすもすケンシン嵐くんを気に入っているようだし、わたしの出る幕はないようだね。

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