第46話 嵐のごとくⅢ ⑥

【巧side】


 まだ、パーティーハウスを購入出来ない俺達は、ファーストの街の定食屋で今後の方針を相談していた。


「そういえば、ケンシン!

 クリスさんには、きちんとお礼はしたんだろうな!

 初クエストが成功したのもクリスさんのお陰なんだからな」


 俺がケンシンに言うのもがパーティーリーダーだからなのだが…………


「ああ、それなんだが、今回のクエスト報酬の半分の5万エンジャーゲーム内通貨を渡そうとしたら固持されてしまったんだよ。

 代わりにNPCから一緒に貰った『食べられる石鹸セッケン』と『アンケート用紙』を要求されたから渡したんだけど、クリスは無欲だよなぁ~」


「アンケート用紙と云うとNPCが渡して来たアレか?

 ケンシンがサインして返そうとした奴だよな」

 ギレンの言葉に、またか! と思ってしまう。


お前なぁー! アレ程、前に注意しただろう!

『むやみやたらに書類にサインするな !』と、

 クリスさんも心配したから回収してくれたんだろうなぁー。

 クーリングオフ制度があるとは云え、どんな契約書かも判らないのだから、せめて内容くらい確認しろよ!」


 本当にコイツはそこつ者で困る。

 説明書の類いも読まないし将来が心配だ。


「わかった、わかったから、そんなに怒るなよ!

 クリスにも礼を言ったら、乾いた笑いをしながらほほいていたから、俺が不味いことをしたのは判っているからよ!」


「アゲハは、親切心だけで助けてくれたとは思えないんだけどなぁ~。

 絶対に裏があると云うかぁ~、何かしらのたくらみがあると思うなぁ~」

 ホットケーキに沢山のバターやハチミツをかけたシロモノをいじくりながらアゲハが言っているが………コイツアフロディーテに同意するのは抵抗感があるのだが、確かに否定出来ないんだよな。


「おいおい、のんびりするのも良いが、そろそろ冒険をしに行こうぜ!

 成功報酬で強化した『鋼のダガー +5』の切れ味を試したいんだからよ!

 お前達だって、武器や防具を強化したんだから試したいハズだろう!」

 ギレンは早く冒険に行きたくて、ウズウズしているようだ。

 俺だって『黒鉄の大金槌 +7』を使いたいが…………納得いかない部分があるんだよな!


 武器や防具を強化する為にNPC鍛冶師の所に行ったのだが、数回金槌で叩いただけで強化されるなんて、納得がいかーん!

 鍛冶とは炎との格闘なんだぞ、それをアンナ風に簡略するなんて、その上に強化に失敗すると『ロスト』するなんて酷すぎるぞ。

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