第30話天界ウラ話 ①

【女神ヘラside】


 忙しい、忙しい、私の忙しさは、オリュンポスの一部の神々が修行の為に人間に転生した為なのよね。

 もっとも、アテナ、エリス、アレス、ヘパイストスの四柱の神々は私が修行に出したのだから自業自得と云えるのだけど。

 その上にオリュンポス系の下級世界の女神たち、ユリリンとエリリンも修行に行かせた為に彼女達の穴を埋める為に、アポロンとアルテミスの兄妹神を出向させてしまったので忙しいのよ!


 ああ、それなのに、それなのに、旦那様ゼウスはボケてしまったように『ボーーーッ』としていることが多く成った。

 フラフラと浮気をしに出歩かないだけマシだと思い我慢していたけど………もう、限界よ💢!


「旦那様、いい加減に仕事をしてください!

 私がサポートするにも限界が有ります」


「おぉ、そうじゃった、そうじゃった、忘れておったよ

 処で、何をすれば良いのじゃろう? 」


旦那様ゼウス!」


 旦那様ゼウスの様子が可怪おかしい。

 確かに、何時もの無節操な可怪しさでは無く、何かが可怪しいのだ。


ゴッド・アイ鑑定!」


 旦那様のステータスを鑑定したら…………


『かしこさ』がいちじるしく低下していた………


「こっ、これは!」


 どうしてアノ時、アテナ達が転生した時、記憶封印を忘れた時に『ウッカリミス』で済ましてしまったのだろう。

 てっきり面白半分でわざと記憶封印を忘れたフリをしたのだろうと旦那様ゼウスをお仕置きしたのだけど………


 私はくわしく鑑定してみたら………


「 居ない! 旦那様ゼウスの中に封印されているハズの『知恵の女神メティス』が居ないわ! 」


 ヘパイストスに調べる宝具を作らせたようにも人間に転生しているから頼めない。

 女神メティスが単独で旦那様ゼウスから脱出したとは考えられない………と、するとメティスに手を貸した神が居るはず。

 天空神ゼウスに、そんなことを出来る存在なんて限られているわ!

 息子ヘパイストスの手を借りなくても私の調査能力は、オリュンポスで一番よ!


 犯神を見つけてお仕置きをしてあげるから、旦那様ゼウスは大人しくしていてくださいね。



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔


【?????side】


「 不味いぞ! 姉さん女神ヘラにバレたぞ、兄さん」


「バレるのは予想出来たことだろう、弟よ」


「姉さんのお仕置きなんて嫌だぞ、兄さん」


「正義は我らにあるのだ。

 悪いのは愚弟ゼウスなんだから、堂々どうどうとしておけば良いのだ」


「………兄さん、足がふるえているぞ !」


「弟よ、お前だって震えているじゃないか!」


「「 姉に逆らえる弟は居ない! 」」


 女神ヘラのお仕置きを想像して震えている神たちであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る