第22話嵐のごとく! Ⅱ ④

【明日菜side】


 由利凛が何か不届きな事を考えたようだけど、今は我慢することにしましょう。


「「我が心『くう』なり、 空ならばゆえに『無』」」


 二人が自ら暗示をかけると二人の気配、存在感が希薄に成っていった。

 そこに居るハズなのに注視しないて認識出来ない程に存在感が感じられない。

 ………由利子おばさま、貴女は実娘を暗殺者にでもするつもりですか!?


 フラフラと歩いて目標に向かっているのに、お兄様たちも不良たちも目線に映っていないのか気付かないわ。


「さあ、私達は私達の仕事をするわよ!」


 薙刀部なぎなたぶである私とパラスは、練習用の自分の薙刀を袋から出した。

 英里香は、弓道部に所属しているが今回は弓を持って来ていないわ。

 英里香の実母である楓お母様は、学生時代に弓道部に所属していて大会で優勝を何度もしたらしく娘の英里香にも指導していたようだけど………

 和弓は威力が有りすぎる上に大きすぎるから、乱戦には不向きなので素手だけど、由利子おばさまから合気道を習っているから不安が無い………


 かくいう私も実母であるお母様勇気が剣道部だったので『剣』を教えて貰うハズだったのだけど、女神時代の得意武器が『槍』『戦斧』だったので『薙刀』を選んだのだけど………少し悲しそうにしていたお母様に罪悪感を感じてしまった。

 まあ、私の変わりにお兄様達が、お母様と由利子おばさまにシゴカれていたのだけど………


 由利子おばさま………人間よね?

 一応、鑑定ゴッドアイで見たのだけど………全てを見れなかったのは何故?

 女神を三人も産んだからなのかしら?


 由利凛たちが、無事に人質の所に到着してから、人質に隠れるように気配を元に戻したら、巧お兄様が由利凛に気付いたのを確認してから私達は、お兄様たちに合流した。


「クッ、大江戸ファミリーが勢揃いしてしまったようね!

 用が有るのは『男』である大江戸巧と大江戸嵐だけよ、妹たちは貴方たちの自由にして良いから排除しなさい!」


 不良の女ボスが号令をかけると、


「「「「「「「「「「「「

 アラホラサッサー !

 」」」」」」」」」」」」


 子分二人を手元に残して、その他の子分たちが此方に向かって来た。

 やはり、アノ女の狙いはお兄様たちのようね。


 今の日本………否、世界は『男不足』問題で揺れている。

 女余り世界なのです。

 そのせいか、男は草食化してしまい、女は肉食化してしまった。

 日本は『一夫多妻』『多夫一妻』を閣議決定して、なんとかしのいだけど、一部を除いて ほとんどが『一夫一妻』を選んでいる。

 私達の両親みたいに『一夫多妻』を選んだのは、極少数なのよね。

 その事に違和感を感じ無く成った私達も だいぶ毒されているわね、この『パラレルワールド』に!


 一方、世界は某宗教の影響力が強い国程、男女比が酷く成っていた。


『如何なる理由でも中絶禁止』『如何なる理由でも離婚禁止』

『如何なる理由でも姦淫禁止』『信仰の自由は認めない』


 これが、法制化することにより少子化は解決したけれど………

 事実婚が増え、結婚出来ない女性が増えて治安が悪化した!

 異世界物語の『オーク』みたいに男を襲う女が激増したのだ。

 それに比べれば、日本はかなりマシだけど………あぶれる女性が多いのも事実なのよね。

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