第20話嵐のごとく! Ⅱ ②

【嵐side】



 人質を取るとは卑怯な奴らめ!

 と、言っても戦士でも無いコイツらにほこりなど無いだろう。

 あるとしたら『ほこり』だな、コイツらは。


 不良達に案内されて行った場所は廃工場だった。

 中に入ると奥にロッキーと陽野芽ひのめちゃんと星奈せなちゃんが居た。

 その周りには数人の不良と少し離れて踏ん反り返っている三人が居る。


 ……神鑑定ゴットアイ


 ひそかにステータスを確認してみるが、普通の人間のようだな。

 まあ、悪魔より悪意を持った人間の方が、遥かに邪悪なんだよなぁ~。


 俺達を確認したのか三人のうちの一人が話し始めた。


「やっと来たか、私は宇曽月うそつき 満寿代ますよよ!

 聖ラフレシア学院のリーダーをやっているわ。

 後ろの二人は、私の補佐役の炉理田ろりだ 欲張利よくばり五味矢ごみや しきよ。

 貴方達の菖蒲学園は、私達の傘下さんかに入ってもらいます!

 上納金として、毎月10万を持ってきなさい! それが嫌なら私のハーレムにはいりなさい!」



 おいおい、何時の時代の不良だよ。

それにハーレムなんて論外だ!


「そんな大金を出せる訳無いだろう!

 俺達の一月のお小遣いは『3000円』なんだぞ」


 巧が言い返すと、


「 それがどうした!

 生徒一人当たり『1000円』を集めれば良いだろうが!

 そんな事も判らないのかよ、低能が!」



 炉理田ろりだが、人を小馬鹿にするように言い放った。


「俺達に『をやれ!』と言うのか!💢」

 そんな最低な事をやれるかよ!


 五味矢がニヤニヤしながら出て来て、

「やだなぁー、誤解して貰っては!

 僕達は『寄付』をつのっているだけですよ。

 そう、あくまでもなんですよ」


「 こんなフザケタ寄付があるかよ!

 だいいち、小学生の女の子を人質にして恥ずかしく無いのか!」


 いつもは、クールぶっている巧も怒っているな。

 それでこそ、我が兄弟だ!


「僕達は、なんですよ。

 野蛮な貴方達と正面から喧嘩けんかをする訳が無いじゃないでふすかぁ

 今の時代、頭を使わないと」


 こっ このゴミ野郎…………駄洒落だじゃれじゃ無いぞ!


「まあ、喧嘩に成っても そちらは二人、此方こちらは十五人、頭の悪いお前らでも足し算引き算くらいは出来るだろう?」


 炉理田ろりだがニヤニヤ馬鹿にしていると、


「ふざけるな!お馬鹿は、嵐だけで俺は普通だ!」


「てっ てめえ、巧! こんな時に兄弟喧嘩をする気かよ!

 売られた喧嘩は買うぞ!」


「負けたからって父さんに言いつけるなよ、昔みたいに!」


 こっ この野郎、俺が気にしている昔のことを神時代のことを言いやがって………巧が目配せしている方を顔を向けずに目だけを向けると………

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る