第12話 新学期 ①

由利凛ユリリンside】


 夏休みが終わって新学期が始まったけど………暑いのじゃ~!

 土日祝日以外は学校に通わなくてはいけないのは、面倒くさいのじゃ。

 だけど、サボるとお母ちゃんが恐いからサボれないのじゃ。


 天界にいた頃は、堕天使長ミハエルの目を盗んでサボっても小言を言われるだけだったから良かったけど、普通?の人間に成ってしまったから仕方ないのじゃ。


「 もう、9月なのに本当に暑いわねぇ~、日本の夏の暑さは異常よ!」


 英里香ちゃんがキレているのじゃけど、もう少しつつしみを持たないとオッサンみたいなのじゃ!

 少しは妾や恵利凛エリリンを見習って欲しいのじゃ。


「あー! 可怪おかしいと思ったら由利凛も恵利凛も冷却シートを首筋に貼っているよぉー!

 髪の毛で上手く隠しているから分からなかったわぁ!」


 アチャァ~なのじゃ、パラスちゃんに見付かってしまったのじゃ!


「どうせ、予備も持っているんでしょう!

 ケチケチしないで、皆に分けなさいよ!」


 英里香ちゃんにはお見通しみたいなのじゃ。

 明日菜ちゃん、パラスちゃんもうなずきながら手を出しているのじゃ。


「 せめて冷却シートの代金の半分で良いから欲しいのじゃ」


 英里香ちゃんが、妾の目をのぞきこんでいるのじゃ………


「由利凛、アンタの事だから 安売りか何かで大量に持っているんじゃないの?」


 ギクッ、バレているのじゃ!


大方おおかた、教室でクラスメイト相手に商売しようとでも思ったんでしょう!」


「しっ 仕方ないのじゃ! 前の時邪神だった時と違って、自由に使えるお金が少な過ぎるのが悪いのじゃ!」


 英里香ちゃんの目があやしく光ったのじゃ………嫌な予感が……


「私達も手伝ってあげるから、『ハ◌ゲンダッツ』のアイスをおごりなさいよ!」


「せっ せめて『MORIYAMAチョコモナカビック』で手を打って欲しいのじゃ」


「まあ、妥当だとうな処でしょうね………皆ぁー、 と、云う訳で由利凛たちを手伝うわよ !」


「「「 おーーー!」」」


 トホホ、英里香ちゃんは悪魔なのじゃ………邪神だったのじゃ…………んっ!

 妾と恵利凛は返事をしていないので、後は明日菜ちゃんとパラスちゃんの二人なのに一人多いのじゃ!


「 ゲッ! 夜野蝶子アフロディーテ、何処からいたのよ!」


 英里香ちゃんが心底嫌そうに言っているけど………同意なのじゃ。

 真面目な明日菜ちゃんも嫌そうにしているのが証拠なのじゃ!


ヒッド~イ酷い、ついさっき追い付いたのに蝶子 かなす~い悲しい

 お隣さんなんだから、一緒に登校するのに誘ってくれても良いじゃな~い!」


「…………兄さん達と一緒に登校すれば良いじゃないの!」


 英里香ちゃんが言うと、


「嵐くんもぉ~、巧くんもぉ~、先に行っちゃったんだよぉ~!

 蝶子、待って居たのにぃ~…………二人共、恥ずかしがり屋さんなんだからぁ~!」


「「「「「……………………」」」」」



「 ………で、誰が『本命』なのよ? 嵐兄さんも巧兄さんも私達の家族だから気になるのよね 」


 流石、英里香ちゃんなのじゃ!

 普通、聞きづらい事を言うとは凄いのじゃ!


「 嵐くんのぉ~ ちょっと野性的な処もカッコいいしぃ~、

 巧くんのぉ~ 職人気質な処もソソるしぃ~、

 ロッキーくんのぉ~ クールドライな処もかれるしぃ~、

 三人共、素敵だから~選べないよぉ~

 蝶子、こまっちゃう~ 」


「「「「「……………………」」」」」


「ねえ、アイツアフロディーテを殴って良いかな~ 💢」


 英里香ちゃんだけでなく、明日菜ちゃんやパラスちゃんまで不愉快そうにしているのじゃ。


 冷静沈着な妾と優しい恵利凛の二人で一生懸命になだめたのじゃ。

 アレ、本気なのか演技なのか、妾にも判らないのじゃ。

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