第4話 巨乳ヴァルキリーたちとレベル上げ無双


 翌日の夕方。

 屋敷の庭には、国中のヴァルキリーが続々と集まっていた。

 みんな金髪碧眼の豊乳美女美少女ぞろいで、ここは桃源郷かと目を疑った。


「姉様、ヴァルキリーの数が300人を超えました。このペースだと、大陸中のヴァルキリーが集まるかもしれません」

「ふむ、もとよりヴァルキリーは傭兵稼業の民族だ。最前線であるこの国に集まっている途中だったのかもしれんな。とはいえ、効率的に集められたのは貴君のおかげだよ、セイヤ」


 エリーゼに感謝されて、俺はおもわずにやけてしまう。


「俺って言うか賢者ジョブのおかげだよ」


 昨日、エリーゼたちと話し終えた俺は、すぐに探知スキルとマップスキルで王都圏内のヴァルキリーの居場所を特定した。

それから、エリーゼの近衛兵や執事たちを総動員して迎えに行かせたのだ。


 その間、俺は飛行魔法で国中を飛びながら、マップ圏外のヴァルキリーの反応を探し回った。


「エリーゼ様、このたびは我々のようなものにお声をかけて頂き、ありがとうございます」


 ヴァルキリーたちはみんな、エリーゼに深く感謝をして頭を下げた。

 けれど、エリーゼは誇らしげに手を横に振った。


「私の発案ではない。彼、セイヤ・シモミヤのおかげだ」

「なんと!? 殿方が我々を!?」


 男尊女卑でなおかつアンチ巨乳の世界だからだろう、ヴァルキリーたちは男の俺がヴァルキリー部隊を作ろうと言ったことが信じられないらしい。


「セイヤ殿、貴方は我々の恩人です」

「感謝いたします」


 誰もが俺に手を合わせて感謝してきた。


「よしてくれよ。戦うのに男も女もないだろ? 俺はただ流浪の騎士民族(巨乳)がいるって聞いたから彼女たちを集めればいいだろって言っただけだよ」

「おぉ、なんと開明的で合理的ながお考えだ」

「このような方に出会えるとは、感動です」

「皆が貴女のような聖人ならいいのに」


 羨望の眼差し×300を浴びながら、俺は謙遜し続けた。


「それは褒めすぎだよ。いやほんと、マジで、絶対に。それよりエクレールから話があるよ」


 俺が横に掃けると、代わりにエクレールがみんなの前に出て咳ばらいをした。


「皆の者、よくぞ集まってくれた。私はガリアス王家第四子、エクレール・ガリアスだ」


 第二王女、とは言わないのが、なんだか辛い。

 昔の日本でもあったことだけど、いわゆる妾の子、という扱いなのだろう。


「これより、皆にはエリーゼ様の私兵として働いてもらう。ついては、異世界より召喚された賢者殿から、支度品が贈呈される」


 庭に集まった美女美少女たちの視線と豊乳が俺に向けられて、キュンとした。

 外見目当て体目当てなんて最低だろう。

 けれど、初対面の相手の性格なんてわかるわけもない。

 なら、外見的魅力にキュンと来ても仕方ないだろう。


「主要武器としてハルバードとロングソード、それから補助武器としてショートソード、防具としてラウンドシールドを配る。全部ダマスカス鋼製だからモノはいいはずだ」


 俺の言葉に、ヴァルキリーたちはどよめいた。


 ダマスカス鋼とは、鉄を加工して作れる人類最高峰の金属だ。


 オリハルコンやミスリルなど伝説の金属を除けばこの世でもっとも頑丈で、それだけに鉄をダマスカス鋼に加工できる職人はごくわずかだ。


 地球では製法が失われ、幻の存在と言われている。


 その幻の品を、俺はストレージから大量に取り出してみんなに配った。


 ヴァルキリーたちはすぐさま鞘から剣を抜いて、その神秘的な輝きとダマスカス鋼特有のマーブル模様に唾を呑んだ。


 無理もない。

 エクレールの話ではダマスカス武装は全騎士の憧れで、最高のブランドらしい。

 値段は正規のものならば一財産かかるとのことだ。


「賢者様、これは、貴方が?」


 ヴァルキリーのひとりに尋ねられて、俺は大きく頷いた。


「ああ。俺のスキルで海水から作った」


 俺のストレージスキルは半径1キロ以内の物を自由に収納して、あらゆるものを錬成できる。


 だから海水を100兆トン収納した。


 海水にはあらゆる金属が微量に含まれているという雑学を、前にテレビで見たからだ。


 結果、海水の鉄原子を材料にダマスカス鋼の武具を錬成できた。サメの死体から取った鮫肌と流木を使えば、鞘やグリップ部分も問題作れる。

 金銀も含まれているから、当面の軍資金も問題ない。


「わ、我々のようなものの為にこんな高価なものを……よいのでしょうか?」


 気後れするヴァルキリーたちに、俺は真顔で言った。


「だって君たち(巨乳)に死んで欲しくなかったから。後でサイズを測って鎧も作るからね(だからみんなの3サイズを俺が知っていても当然だよね?)」


 ヴァルキリーたちは感極まったように震え、涙をにじませながら俺に感謝してくれた。

 なんだろう、ちょっと騙している気分。


「じゃあ、武装はこれでいいとして、みんなのレベルが知りたいから鑑定スキルを使ってもいいかな?」


 俺の呼びかけに、ヴァルキリーたちは了承してくれた。

 だから俺は、あくまでもレベルを調べるために鑑定スキルを発動させた。


 レベルを調べるついでに、蛇足情報が目に入っちゃうけど、それは仕方ないよね?ぐふふふふ。


 ――ふぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?


 鑑定スキルを発動させると、素敵すぎる情報が流れ込んできた。


 集まった300人以上の美女美少女たちは、全員がバスト90センチ以上、カップはGカップ以上の豊満女子ぞろいだった。


 中には、Iカップ、Jカップなんて魅力的なアルファベットもあって歓喜した。


 爆乳美女美少女に囲まれた職場、最高じゃないか。


「セイヤ、皆のレベルはどれぐらいだ?」

「は、はい、だいたい、みんな20レベルから25レベルの間ぐらいですね。これって高いんですか?」


「高いぞ。流石は戦闘系民族。全員が10人力だ。ここにいるのは300人だが、我々は3000人連隊を手に入れたと思っていいだろう」


「それで勝てるの?」


 喜びから一転、エリーゼは少し難しい顔を作った。

「……厳しいな。今のはあくまでもただの歩兵換算だ。魔王軍にも歴戦の勇士烈士はそろっているし、兵数も3000では効かないだろう。そもそも、歩兵しかいない軍など論外だ。魔法兵に広域攻撃魔法を撃ち込まれたら終わりだぞ」

「俺一人が活躍しても俺の武功にしかならないしなぁ」


 俺が賢者スキルでいくら敵を倒しても、エリーゼの評価は上がらない。

 あくまでも、エリーゼ率いるエリーゼ部隊が勝った、とする必要がある。


「ヴァルキリーみたいに放浪の魔法民族とかいないの?」

「魔法に長けるのは氷魔法の使い手であるサンタ・スネグーラチカ、水魔法の使い手であるアプサラス、それから幻惑魔法の使い手サキュバス、あらゆる魔法に長けるウィッチだな」


 ――サキュバス!?


 そのあまりに蠱惑的かつ魅力的な名前に、俺はゼロ秒でサキュバスを探知にかけていた。


 が、反応はなかった。

 このあたりにサキュバスはいないらしい。


「悲しそうな顔をするな。こうしてヴァルキリー歩兵隊を作ってくれて感謝している。まったく、貴君の使命感は底無しだな。だが、尊敬に値するよ」


 違います、サキュバスに会えなくてガッカリしているだけです。

 エリーゼの爆乳に視線を落とすことで精神力を立ち直らせ、俺は話を進めた。


「とにかく、レベル上げが必要だね」


 ゲームでおなじみの作業に、俺はちょっとテンションが上がった。

 リアルゲーム体験。

 これぞ異世界の醍醐味だ。


「明日、全員で王都郊外の森に軍事訓練に行こう。モンスターの反応だらけのいい場所を見つけたんだ」

「もしや、東の森か?」

「ご名答。その反応を見る限り、危険な場所みたいだね。でも大丈夫、俺に考えがあるから」


 俺はちょっといやらしく、にやりと笑った。


※人気になったら本格投稿!応援よろしくです!

●今日の雑学 

 おっぱいは9割が脂肪、1割が乳腺だが、日本人は乳腺の割合が多いデンスブレストというタイプのおっぱいが多く、乳がん検査がしにくいらしい。

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