第3話 賢者は姫様におっぱい講義をする!
王城を出た俺は、離れの屋敷に通された。
この屋敷が、エリーゼの家なのだろう。
流石は姫様。
専用の個室ではなくお屋敷が与えられるなんて庶民とはレベルが違う。
その中の一室、これまた豪勢な部屋に通されると、軽装甲冑に身を包んだ美人さんが待っていた。
長いプラチナブロンドのハーフアップでおしゃれに整え、クールな瞳が魅力的だった。
しかも、豊乳だった。
エリーゼには劣るものの、鎧の胸当ては大きく膨らみ、細いウエストととの段差が凄まじい。
ついイケナイことだとは思いつつも、つい鑑定スキルが閃いてしまう。
【エクレール・ガイアス18歳】
【身長163センチ 体重54キロ バスト93センチ アンダーバスト65センチ ウエスト58センチ ヒップ93センチ Hカップ】
――Hカップ! なんてエッチなおっぱいだろう! いやまて俺! 下宮聖也18歳! 鑑定スキルを悪用するな! 個人情報を盗み見るなんて文明人の風上にも置けないぞ! バカバカバカ! でも俺は悪くないんです! 全てはエクレールの魅力的なおっぱいがイケナイんです!
「良かった。無事だったのですね。そちらの男性はもしかして」
「うむ、賢者のセイヤ・シモミヤだ。彼が私に協力してくれた」
「おぉ、ハイランクジョブの勇者殿、それは行幸です」
エリーゼは女将軍、と言った風情なのに対して、エクレールは女武士然とした女子だった。
勇ましい女の子は嫌いじゃないです。
「ではシモミヤ殿、早速だが、我々の置かれている状況を説明させてほしい」
「はい。行動は早い方がいいので、前置き無しでガンガンお願いします」
俺の食いつきように、エリーゼは微笑を洩らした。
「貴君のような男は初めてだ。私の好みだよ」
胸と股間にズキュンと来た。
「好みだよ」なんて、女子から始めて言われた。嬉しい。
エリーゼは俺を席に座るよう促してから自分も椅子に座り、テーブル越しに説明を始めてくれた。
「まず、国王である父上は病気の身で、医者の見立てではもう長くないそうだ」
玉座に座る、初老の男性を思い出す。
一言も喋らない置物状態だったけど、どうやら体調が悪かったらしい。
「そこで第一王子のベクター、第二王子のシャルア、そして第一王女の私は王位を争っている最中なのだが、女である私は旗色が悪い」
どうやら、この国は男尊女卑らしい。
文明レベルが地球の中世並なだけあり、価値観も似ているようだ。
「だが、私は兄上たちに王位を譲る気はない」
エリーゼは毅然とした態度で、ろうろうと語った。
「民のことを、税を絞る家畜としか思わぬ兄上たちが王位に就けば、暴君となり国は荒れる。魔王が倒れたとしても、兄上たちが魔王に取って代わるだけだ。故に、私は王にならねばならんのだ!」
「うちの政治家たちに聞かせてやりたいわ」
「シモミヤ殿の国は荒れているのか?」
「まぁ、色々とね。とにかく姫様の気持ちは分かりました」
「ありがとう、それと姫はよしてくれ。エリーゼでいい。我らは仲間だろう?」
なんてイケメン。
「わかったよ。じゃあエリーゼ、誰を王位に据えるか、決めるのは王様でいいの?」
「そうだ。しかし父上の独断で決められるわけではない。王族と言えど、支えてくれる貴族たちがいなければ何もできん。貴族たちを納得させられるだけの理由がなければ、私を指名してはくれないだろう」
「さっき、騎士貴族は全員どうこうって言ってましたけど……」
「聞いているなら話は早い。我が国の貴族階級、騎士階級の者は皆、兄上たちに付いている。私の味方は、父上が付けてくれた近衛兵ぐらいだ。仮に父上が私を王に選べば、国中の貴族と騎士が反対するだろう」
エリーゼがやや声のトーンを落とすと、隣に座るエクレールも視線を落とした。
けれど、俺は少しも悲観しなかった。
「なら、エリーゼが王位に就くのに必要なことは3つだね」
2人が視線を上げてまばたきをした。
俺は指を3本立てた。
「簡単に言うと、1、戦果 2、人気 3、功績。ようするに戦場で勝って、戦争被害者を助けて、他二も社会的名声を得ればなおよし」
「それはそうだが、私は軍を持っていない。軍はどこも兄上たちの派閥だ」
「なら作ればいいんですよ。民兵を募りましょう」
俺の助言に、エリーゼは申し訳なさそうにまぶたを伏せた。
「素人を徴兵しても調練には時間がかかる。弓兵や騎兵、特に魔法兵の育成には才あるものでも数年もかかる。その上、魔法学校の生徒はすでに兄上たちに青田刈りされてしまっている」
――魔法兵って貴重なんだな……。
「それに返す返すも申し訳ないのだが、私にはその金が無い。無論、ある程度なら自由にできる金はあるし、この屋敷のモノを売れば金は作れる。だが、何千人という兵や軍備品を維持できる金額には程遠い」
「姉さま……」
エクレールが悲しそうな声を漏らして、俺は首を傾げた。
「あれ? エクレールって妹なの?」
そういえば、鑑定スキルにエクレール・ガイアスって表示されていたな。おっぱいしか見てなくて気づかなかった。
「私の母はヴァルキリーで、姉様とは異母姉妹だ。王位継承権は無い」
「ヴァルキリー?」
って、あれだよな? 神話の。
「貴君の世界にはいないのか? ヴァルキリーは金髪碧眼で女しか生まれない少数人種だ。国を持たず、世界中を放浪する騎士民族でもある」
「なんで放浪しているの?」
俺の問いに、エクレールは自嘲気味に笑った。
「女の身だからな。女一人で生きていかねばならぬ故に強さを身に着けた。だが女であるがゆえに士官はできず傭兵稼業がせいぜいだ。家庭を持てれば別だが、可愛げのない騎士の上に、この胸ではそれも望めまい。母も、王の伽役のいない戦場で繋ぎとして王の相手をしたに過ぎん」
「? この胸ってどういうこと?」
わけがわからず首をひねった。
エリーゼとエクレールも不思議そうな顔をする。
「どういうも何も、このように不格好で下品なカラダ、男が愛してくれるわけもないだろう?」
「ハァッああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!?」
俺の怒りは沸点を超えて噴火した。
この世界は馬鹿なの!? 死ぬの!? 死ねばいいのに!
立ち上がる俺にぎょっとするエリーゼとエクレール。
身分もわきまえず、俺は熱弁した。
「何をおっしゃりやがりますか! 巨乳は最高! 豊乳は最強! 爆乳は至高! 大きなおっぱいに勝るものなし! 大きくなければおっぱいにあらず! 貧乳はおっぱいではなくちっぱいです!」
「「シ、シモミヤ殿?」」
早口にまくし立てる俺に圧倒され、のけぞる2人。だが俺は止まらない。
「大きなおっぱいには無限の夢と希望とジャスティスと熱きパッションが詰まっていてそのやわらかさは傷ついた心を癒し! 弾力は乾いた心を潤し! その揺れ弾む姿は生きる活力を与えてくれる! 身も心も擦り切れ悲嘆と絶望に暮れなずみ川に身投げをしようとうする直前であっても通りすがりの爆乳お姉さまの谷間を見れば『やっぱ生きよう』と思える幸せ発生装置にして人類の最終宝器! それが! それが! それが! おっぱいなんだぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ! なんだぁああああああああああああああああ! だぁあああああああああ! あああああああああぁ!」
と、自分でエコー演出をするぐらい熱く世界に訴える。
ここで、地球の女子ならば絶対零度の殺意溢れる視線で上靴を投げつけてくることだろう。
けれど、エクレールは恥じるように目線を伏せ、エリーゼは顔を背けながら、照れるようにチラチラと視線を送って来る。
「それは、私を気遣い嘘をいっているのではないのか?」
「事実です!」
「貴君は、私のカラダを綺麗だと思ってくれるのか?」
「奇跡の芸術品です!」
「貴君は、その、私のカラダに欲情するのか?」
「下半身がハチ切れそうです!」
「…………」
はにかんだ笑みで一言。
「照れるな」
――かわいぃいいいいいいいいいいいいいいいい!
「かわいすぎるぅううううううううううううううう!」
溢れんばかりの想いが声に出ていた。もう、ドチャクソエロいことをしたい!
「でもだったら話が早いです! 世界中のヴァルキリーを集めてヴァルキリー部隊を作りましょう!」
「しかし金がないぞ? それにヴァルキリーたちの居場所だってわからん」
「俺を誰だと思っているんです」
胸を叩き、自慢げに言ってみた。
「賢者ですよ」
※人気になったら本格投稿!応援よろしくです!
●今日の雑学
1話2話の雑学の理由から、実はブラのカップと胸の大きさはあまり関係性が無い。
そのため、女性が思う男性への不思議で、なんでカップ数を気にするの?(カップ聞いても胸の大きさはわからないよね?)というのがある。
が、アニメ、漫画、ラノベ、ゲームなどでは【わかりやすい】ので、ヒロインのキャラデータでカップ数=大きさランクとして使われる。
とはいえ、流石に巨乳に見えるAカップや貧乳に見えるHカップはないと思われるので、ある程度の参考、指標になるのは確か。
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