交戦~engage~
信川中央署 捜査本部
総合捜査本部になってからの最初の捜査で所轄署の捜査不足が発覚した。
その事実を確認する為に所轄の刑事部長が捜査本部に呼ばれた。
俺らは刑事課長は慌ててくるかと思った。しかし、その思いを容赦なく彼は壊した。
「すいませーん。今日はどんなご用件ですか?」
「おかしいな。そちらには内容もお伝えしているのですが。こちらに来られる際に
お聞きになられてませんか?」すぐに俺が確認した。警察署には俺が連絡し内容も通達し、「分かりました。直ぐに向かわせます。」という返事ももらっていたのでまともだと思ってた。
「え?何も聞かされてないですよ。早くしてくれませんかね?今日は午前帰りなんですよ。」
”これは被害者が出るわけだ。”そう思って発言しようと思ったその時
「大道刑事部長!!君は何を言ってるんだね?」そう𠮟責したのは鈴村警視だった。
「君の管内で発生した拉致事件の被害が拡大したんだ。君はこの一カ月
何をしてきたんだね!?捜査報告書も経過報告書もなかったから確認を入れようと思ったとこだ。そうしてこの捜査本部を任されたからこの事件が解決したら連絡を入れようと思っていたんだ。そうしたら捜査中にこの事件の原因が君の署の管内の事案という報告だった。だから君を呼んだんだ。事件の捜査状況、それと拉致された被害者の行方や容疑者の情報について全て教えてもらおう。全く分かりませんは通用しないぞ。」
ものすごい剣幕だった。これには捜査員一同と、呼び出した内容を
”どうせしょうもないことだろう”と思っていた
宮前警察署刑事部長の大道警部がその後数分間話せなくなってしまった。
「・・・奴は
その後全く話せなかった大道警部を談話室に連れていき聞き取りをした鈴村警視が
怒りながらそう言った。彼はそのまま刑事課トップから謹慎を言い渡され午後からの
「と、いうわけですまないが広域103の2人宮前署に行って捜査状況を大至急
確認してきてくれないかね。」「了解しました。行ってきます。」
そうして至急で宮前署に向かった103。しかし、同時間帯宮前署は血を流しながら
一時間前 信川警察宮前警察署 斎藤巡査
「・・・わかりました。こちらの財布をお預かりしますね。」
宮前警察署は設置から50年の信川管内で最古の警察署だ。ここが管轄する宮前地域は昭和後期に建設された公営住宅群により、発展。昨今は公営住宅の近代化が行われ、人口が家族連れを筆頭に増加。年々落とし物やちょっとした物損事故が増えている地域だ。そんな宮前署で今日受付の内勤をしているのは地域課の斎藤勇樹巡査。
先日やっと警察学校を卒業し、初の配属となったのが宮前署である。
”今日も忙しくなるなあ”そんなことを考えながらたった今持ち込まれた財布を
遺失物管理室に持っていき預けた時、さっきまでいた受付で大きな破裂音が響いた。
「なんだ!!何があったんだ!!」
遺失物管理担当の小島巡査長が叫ぶ。
しかし、扉の向こうから聞こえるのは激しい破裂音と誰か分からない悲鳴とわめき声だった。「応援を呼びましょう。」「そうだな。」
幸いにもまだ扉の向こうにいる何かには気づかれてはいないようだった。
直ぐに小島巡査長が管理室設置の無線機で本部に無線を送ろうとする。
「宮前から本部。」「・・・」「本部応答せよ。本部!!なぜだ、なぜつながらない。」しかし、その無線から返事はかえってこなっかった。すると受付から通じる扉が突然開いた。「おい、ノックして入れ…!!」
そう言いながら斎藤巡査は反射的に体を遮蔽となる受付に隠した。
彼が見たのは誰のかわからない血に染まった服をまといながら何処で入手したのか理解できなかった
「警察だ!!武器を捨てろ!!」
そう叫びながら扉の奥から同僚の警官が38
その願いは直ぐに崩されてしまった。その扉の先に彼とは違う武装した男が
2人もいたのだ。齊藤はそれに気づくのに遅れ、体が硬直してしまったのだ。”・・・死ぬ!!”そう思った直後、体が後ろに飛ばされた。そして彼が次に見たのは血みどろになりながら膝から崩れ落ちていく小島巡査長の姿だった。
「小島巡査長!!」「・・・にげろ・・・」
「…でもそれでは」
「いいからにげろ!!お前だけでも逃げ切れ!!」
「・・・すいません。貴方のこと一生忘れません。」
そう言いながら彼は裏口に走っていった。走っている途中で後ろから激しい銃声が
何個も聞こえてきた。恐らく武器庫に近かった仲間が完全装備で
そうして署外に脱出し、暫く無意識に走った後
彼は激しい痛みで倒れてしまった。彼も腹部に一発もらってしまっていたのだった。
”このまま死ぬんだな俺。”そう思いながら彼は暫しの眠りについたのだった。
広域103 栗田視点
捜査状況確認の為に宮前署に相棒の桑さんと向かっていた。
「
「そうだな。そうであってもらいたい。宮前は最古の署だ。あそこで働く警官は俺も尊敬している。だから・・・おっと、誰かいるな。」
そう言いながら桑さんが先を指さす。
その先にはこちらに手を振る若い男としゃがみこんでいる女性がいた。
直ぐに俺は赤色灯を出し、パトカーを止めた。
「広域隊です。どうしま・・・!?」「すぐに救急車を!!」「ああ、桑さん、救急車と応援を!!」
そこにいたのは制服がどす黒い血に染まった制服警官だった。直ぐに救急車と応援を手配した。そうして救急車が来るまでの応急処置の為にパトカーのトランクから
IFEK(米軍使用の応急処置キット)を取り出した。
「おい、大丈夫か。しっかりしろ。今、救急車を呼んだ。もう少しで助かるぞ。がんばれ。」そう言って励ましながらIFEKの弾性包帯とガーゼを用いて止血をしていく。広域隊員は全員が自衛隊、又は米軍の応急処置法を習得しており、各広域車両にIFEKか相応の応急処置キットが搭載されている。すると警官がかすかに何かを伝えようとしていた。「・・・た。」「どうした。何か伝えたいことがあるのか?」
「・・・撃された。」「・・・分かった。あとは任せろ。」
俺は震撼した。まさかの宮前署に
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