対立Part2

信川大学正門

信川大学経済学部2年の大山美紅おおやまみくは、今日の講義を終えこれから友人たちとショッピングに行こうと正門へと向かっていた。

「今日は何狙いで行く?」「そうね、ちょっと金欠だからセール品狙ってみよっ。」

そんなたわいのない会話をしていたら一人の友人が気づいた。

「ねえ、なんか表示されてない?」「え?ほんとだ。なんだろう。」

そうしてそのグループ全員で近くの電光掲示板に目を向けた。

「”緊急”まもなく、本敷地内に広域による強行捜査が入ります。講義の終わった生徒から順次最寄りの門から静かに退避してください。捜査時に構内に残っていた場合、一時的に拘束されます。(この拘束は犯罪歴には残らず、即日開放されます。)

なお広域は正門から突入してきます。間違えても不審な行動を起こさないように。

正門付近の生徒は到着した広域隊員等の指示に従い、落ち着いて退避する様に。」

「どういうこと、急いで出よう。」「ええ。そうね、急ごう。」

そうして彼女たちは静かに大学正門を目指した。

そうして正門に着いたとほぼ同時に赤色灯を光らせた覆面パトカーか複数台彼女たちの前に止まり、中から彼女たちから見て重武装の警察官らが続々と降りてきた。

その光景を見た彼女らは体が動かなかった。この様なことはドラマの中だけだと

思っていたからだ。そうしてその重武装の警官から声をかけられる。

「君たち、早くここから離れなさい。今なら拘束はしないから。」

そう言われはっとした彼女たちは後続の覆面パトカーから降りてきたスーツにアーマーのようなものを身にまとった警察官に誘導され大学から退避することができた。

「なんであんな警官たちが大学に?」「そんな犯罪なんてあったっけ?」

そんな声が友人たちから上がっていた。しかし、大山美紅だけは違っていた。

”もしかして最近連絡取れない美咲ちゃんのことだったりしないかな。”

佐々木美咲と大学で知り合った彼女はここ数日彼女と連絡が取れなくなり、

大学でも見かけなかった為に心配になりつつあり近頃警察署に相談しようかと

思っていたところだったのだ。その予想が当たったと気づいたのは買い物から帰ってきた時にふと付けたテレビのニュースとなった。



広域103視点 信川大学

正門の真正面に自分の車を止めた時には既に正門付近の学生の退避が応援の一課の刑事らによって完了していた。

そうして各小隊長と一課の残った2名が集結する。

「栗田さん、どうしますか?」

「1小隊は引き続き正門で警戒。誰一人として立ち入らせるな。2小隊、3小隊は構内で警戒。4小隊は構内東側の安全化、5小隊は西側だ。残った一課の2名は俺にに同行してくれ。各小隊よろしいか?」「了解しました。」

全員からの確認の返事を聞いたところでハンドサインで”状況開始”の指示を出した。

そうして構内で活動する2~5小隊が一課の刑事を連れて内部侵入していった。

それを見届けたら直ぐに俺も103の覆面車から自分の小銃ライフルを取り出した。自分の小銃はコルトM4を海兵隊風の外装にしている。

その相棒を携行する準備をして桑さんに話しかける。

「桑さん行きますか。」「おう、行こか。」

「一課の二人も行きましょうか。」

「分かりました。私は大村巡査です。」「私は斎藤巡査です。お願いします。」

そうして103班がマル被確保の為に大学事務室に向かった。

「広域103から特捜2まもなく構内侵入。特捜3宛も同様。以上。」

「特捜2了解。」「特捜3了解しました。」

そうして特捜2、3班の警戒する姿を横目に103は前進する。

すると目の前に講義が終わって帰ろうとこちらに向かってくる生徒を複数確認した。

「・・・なあ、どこに飯食いに行く?」「そやな、家系でもどうだ?」

「いいねぇ。・・・おいあれ」「広域だ。その場に静かに伏せろ。」

そうして談笑していた複数の学生が一気に投降する。

「広域103から特捜2、構内東側で民間人複数が投降。応援を。」

「特捜2了解。そちらに向かう。」そうして直ぐに特捜2小隊が来た。

「君たちを一時的に拘束する。だが安全と犯人の仲間の可能性を考慮しての為なのでこの作戦が終了したら開放します。また、犯罪歴とかには何も残らないのでご安心を。」

そう説明しながら彼らを手際よく結束バンドで拘束する。

「東警部、彼らを指定地点に移動を。」「了解。君たち少し動くよ。」

そうして一課の刑事らによって構内の広場に続々と民間人が集められていく。

そうして所々で民間人を拘束しながら10分後、事務室に到着した。


品川大学事務室 佐々木美咲

”・・・どうして。なんで夢を諦めないといけないの?。”

これからの為にコンビニでバイトを始めて一カ月。やっと仕事に慣れてきたところで強盗が押し掛けてきた。しかもその一人は私が告白して初めて彼氏になってくれた早川君だった。そうして犯人の指示に従いレジのお金をバックに詰めていたら犯人の会話が聞こえた。

「・・・おい、お前彼女はいるのか。」「なんでそんなこと答えないといけないんですか?」「そんなの当り前だろう。彼女いればそいつは人質になってもらって生かす代わりにお前は俺らに忠誠を誓うんだよ。」

「そんな。そんなこと答えれません。いたとしてもその人は関係ないですよね。」

「・・・ほう逆らうか。じゃあなんで2件目にこのコンビニを選んだかわかるか?」

「?」「答えは簡単だ。お前の彼女が目の前にいるからな。」「!!」

「おいお前その金詰め終わったらこっち来い。」

そうして私は彼氏を守るために人質になってしまった。・・・凄い悔しかった。

彼を助ける力が無かったこと、異変に気付くことが出来なかったこと、そして両親に、親友に何も出来なかったことだ。そうして人質になって直ぐに犯人が言ってきた。「お前ら明日大学行ってやるから退学するぞ。拒否権はなしだ。いいな。」

そう脅し口調に近い口調で言われて2人で困惑したが拒否はできなかった。そんなことしたら2人そろって命が危うかったからだ。そうして今に至る。でも今、私は少しだけ希望を感じている。



事務の方たちが時間稼ぎをしているように思えたからだ。

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