広域捜査Part1

捜査2日目 ”新東名高速道路上広域103”

昨日の夕方に出発して4時間がたった。既に無線系統が信川地域系統から広域総合指令センター下に車両指示権が移管されている。

また、2時間前に鑑識班と刑事課から防犯カメラの映像と佐々木美咲の両親の所在を

送信してくれた。

「これは、さっき広域から送られてきた奴じゃ?」「ああ。捜査本部の見立て通りだな。」

映像を見ながらそう2人が言ったのにはその直前広域信川から送られた2日前に発生し津川署で捜査中のコンビニ強盗犯に酷似していたからだ。

更に2人は驚きの事実に気づく。

「あっ!桑さん店外の原付、もしかしてうちが対応したひったくりじゃ?」

「ほんとだ、黒のフルフェイスにうっすらみえる擦過痕。もしかしたらそうかもな。上にあげておこう。」

そうして桑さんが捜査本部に電話を入れる。

「…はい、中央署捜査本部。」

「お疲れ様です。広域の桑田です。先ほど送られてきた映像で確認をお願いしたい部分があるのですが。」

「了解です。鑑識に代わります。・・・お待たせしました。どの部分を確認しましょうか?」

「コンビニの店外で仲間を待っている原付バイクを調べてほしい。主に車体左側に擦過痕があるか調べてほしい。広域で2日前に扱ったひったくりで目撃された原付に酷似している。必要な情報は広域にあるから問い合わせてほしい。できるか?」

「お任せください。直ちに確認に入ります。上にはこちらで報告を。」

「すまないね。よろしく頼むよ。」「了解しました。」

そうして映像を見続けると佐々木美咲がどうなったかが見えてきた。

「彼女が佐々木美咲でしょうか?」「そうだろうな。おっと・・・これは間違いないな」「ええ。人質ですね。間違いなさそうですね。そうすると一刻を争ってきますね。この場合は誘拐より拉致ですね。」「本部からは?」

「同時にメッセージを受信していて

 ”広域103は静岡で調査を実施、特捜・一課は信川での捜査中央署は引き続き

 佐々木美咲マンションで張り込みと各局の支援を実施する様に”とのことだな。」

「よし。そしたら、このまま行こう。そしたら、次のパーキングで交代しますか。」

「了解。」

そうして、警察と広域は今回の事案は強盗拉致事案と判断。引き続き合同捜査本部で

捜査をすることとなった。



静岡県浜松市

何度かの交代休息をはさみながら無事に静岡県は浜松市に着いた。

「刑事課の情報によると両親は浜名湖の湖畔沿いに家があるようですね。」

「浜名湖か。浜名湖の奥か?」「ええ。地名で言うなら三ヶ日ですかね。」

「よし行ってみるか。」そうして浜松市街地から車で40分。三ヶ日地域にやって来た。中心から少し離れた浜名湖の湖畔にひっそりと建っている家があり、

そこに佐々木美咲の両親が住んでいた。

「ごめん下さい。」「はい。どちら様ですか?」

「突然来て申し訳ありません。広域捜査班の栗田と桑田と申します。佐々木美咲さんのご両親の鈴江さんと秀喜さんのご自宅でございますか?」

「ええ。私が佐々木鈴江ですが、何か?」「娘さんについてお伺いしたくて。」

「娘でしたら現在信川の方におりますが。」「実は我々信川広域捜査班の方から参りまして。」「娘に何かあったんですか?」

「…ええ。ここでは説明できませんので中に入らせていただいても?」

「分かりました。どうぞお入りください。」「失礼します。」

”この感じだと全く連絡がなさそうだな。”そう感じ取った。


佐々木美咲両親宅

「娘に何があったんですか?」そう聞きながらお茶を差し出してくださった。

「ええ。実は昨日娘さんがアルバイトしていたコンビニに強盗が入りまして、」

「娘が殺されたんですか!!」母親がそう聞き返す。父親は黙ったままだ。

「いえ。娘さんは犯人に拉致され、現在も犯人に連れまわされている状態です。」

「…刑事さんよ、それは本当に確認が取れたのね?」

父親が不信感を持って聞いてきた。

「ええ。もしあれでしたら防犯カメラの映像を一部お見せしますが。」

「すまないがいいかね?」

そう言われて俺はデバイスの画面を見せて動画を再生する。


そして両親は静かに動画を見終えると静かに涙をこぼした。

「・・・つらいところ申し訳ないですが、彼女の交友関係で気になる人物はいませんか?」「ごめんなさい。私たちにはちょっと。」

「娘の交友関係を知りたいのなら彼女の同級生を紹介しますが。」

「よろしいですか。それだけ伺ったら我々は帰りますので。」

そうして浜松市内と信川の彼女の同級生の情報を提供してもらった俺たちは両親宅を離れようとした時、両親からこう言われた。「娘をよろしく頼む。」

俺たちは静かに一礼して「最善を尽くします。」そう言って覆面車に乗り込んだ。


その時俺達には必ずという決意と

犯人を何としてでも特定し、逮捕しなければならないという焦りが出始めていた。

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