急行

今日広域103として密行する信川駅周辺は信川市内の中心部であり、

付近にある歓楽街のおかげで夜も賑やかな地域である。

現在は某ウイルスに対抗策ができ、感染症としての脅威が落ち着いた故

多くの市民が仕事終わりに居酒屋やバーに行くようになった。

その為現在は日中は若者、家族連れが多く行きかい

夜は仕事帰りや色々な事情を抱えた者達が行きかう街となっている。

そんな街中をN社製の覆面車が一般車に混ざりながら進んでゆく。

「今日は少し人少ないっすかね?」「そうやな、ちと少なめやな。」

そんなことを話していると警察無線が事件の一報を告げる。

「本部から信川中央。(信川駅周辺を管轄する警察署。)」

「信川中央です。本部どうぞ。」

「おっ、通報や」桑さんがそう言いながら対応に向けて路肩に車を止める。

「中央区5丁目のコンビニにてSOSボタンが押された模様。近い移動局は対応願う。」

「5丁目、近いっすね。行きますか。」「了解。詳細地点は?」

そう桑さんに聞かれ私は車両積載の通報詳細の画面デイスプレイを見る。

「5丁目20番地のクロミ―マートですね。」「了解。そしたらここ右で行こう。」

「了解。赤灯載せます。」私は真ん中に置いてある赤色灯を取り、屋根に設置する。

「サイレン4秒で流します。」「はいよ。動くぞ。」

シルバーの車体が思いっきり加速していく。

「広域103から本部、信川中央。5丁目SOS事案急行する。どうぞ。」

「本部了解。」「中央了解。本署PC現着まで10分。どうぞ。」

甲高い4秒サイレンを轟かせながら街を駆けてゆく。

そうして現場付近に来ると人だかりができていた。

その人だかりをマイクで二つに割りながら現場直近に駐車する。

「広域103から本部、中央。5丁目SOS事案現着、周辺見物多数。よって規制の為マル援願う。どうぞ。」「本部了解。中央5丁目20番地付近各局は急行願う。」

そうしてSOSが押されたクロミ―マートに入ってゆく。

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