第65話 詩音と

大輝は、詩音と一緒に電車に乗っていた。

出かけるとは言ったものの

大輝は、どこに行くのか教えてもらっていない

なのでどこに行くのかわからなかったのだ。


とりあえず詩音が行きたいと言っている所に

ついて行くことにしたのだが、

電車の中でも、どこに行くか聞いてみたが

秘密と言って教えてくれない。

時間も夕方に近かったので

遅くなっても大丈夫なのか聞いてみると


「今日は、

お父さんもお母さんも遅いから

少しなら大丈夫だよ。」


と、時間は大丈夫なようなので安心はした。

辺りも暗くなり目的地がある駅に着いた。

電車を降り、駅から出て少し歩くと

目的の場所があるらしい。


二人で一緒に歩きながら詩音が


「疲れてない?大丈夫?」


と、聞いてきたので大輝は、


「疲れてないよ。詩音こそ疲れてない?

ところでどこに向かってるの?」


と、質問してみた。

すると詩音は、


「私は大丈夫だよ。

もうちょっとで着くよ!」


と、嬉しそうに伝えてきた。

少し歩くと

目的の場所に着いたのだが

大輝も目を奪われた。


「ここに来たかったんだ!

すごく綺麗でしょ!?」


と、詩音は聞いてきたので

大輝も


「すごく綺麗だ。

イルミネーションを見に来たかったんだね!」


目的の場所は、

イルミネーションが広がった街並みだった。


「クリスマスが終わってもやってるんだね?」


大輝がそう聞くと詩音は


「今年いっぱいやってるって聞いたから

行ってみたかったんだ!」


と、嬉しそうな顔しながら言っていた。


「確かにこれは見に来たくなるね!

全然知らなかったよ。」


大輝も自然と笑顔になっていた。

詩音もそんな大輝の顔を見て

ほっとしていた。


「よかった。喜んで貰えて!

向こうに行ってみよう?」


詩音は大輝の腕を掴んで歩き始めた。

大輝も歩きながら

イルミネーションを見て楽しんでいた。


二人で歩きながら大輝は


「若葉以外の女の子と

二人で出掛けたことってなかったな。」


なんて事を思っていた。


少し歩いた所で、美味しそう匂いがしてきた。

大輝は、お昼も食べていなかったので

お腹が空いてきたのだ。

美味しそうな匂いがする飲食店を見ていると


「お腹減った?なんか食べていこうか!?」


詩音がそう言ってきたので大輝は、


「詩音の帰りが遅くなっちゃうから大丈夫だよ。」


と、言ったもののお腹は減っていた。

すると詩音は、


「私もお腹減っちゃったな。

なんか食べていこうよ?」


と、言ってきてくれた。

大輝も美味しそうな匂いには勝てずに


「詩音の帰りが遅くならないように

急いで食べようか?」


と、ご飯を食べて帰ることになったのだ。

二人はハンバーグ屋さんに入り

急いで注文をして食べた。

お腹も空いていたのですごく美味しかった。

詩音も華奢な身体の割には、

しっかりと食べていた。

意外に食べられるんだと思っていた。


満腹になった二人は、

時間を見て遅くならないように

急いで会計を済ませて帰ることにした。


大輝は、イルミネーションを見に

連れてきてもらったお礼だと言って

ご飯代を出すと言ったのだが

詩音も自分で出すと譲らなかった。

それでも大輝は譲らずに

奢らせてもらうことにしたのだ。


詩音は、終始申し訳なさそうにしていたが


「今度遊ぶ時は、

詩音に奢ってもらうからそれでいい?」


と、言うと

嬉しそうに頷いてくれた。


そのまま電車に乗り、

今日の話などをしながら

帰りも楽しく過ごすことが出来た。

最寄りの駅に着いてから


「家まで送るよ?」


と、言ったのだが


「そこまでしてもらったら悪いから大丈夫だよ。」


と、断られてしまったので

駅で別れる事となった。


「今日は、お返しありがとうございました!

すごく嬉しいです!

イルミネーションも一緒に行ってくれて

ありがとう。

また学校でね!」


と、嬉しそうに手を振りながら

詩音は帰って行った。


大輝にとっても

久しぶりに楽しい一日になったので

とても気持ちが良かったのだ。

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