第37話 新しい生活

高校に入学してから

初めてのゴールデンウィークを迎えた。


大輝の高校生活は、

今の所、順調ではあった。

大輝は、明るく接しやすい為

クラスに馴染み

友達も増えていった。

女子とも仲が良くなっていった。


相澤詩音とは特に良く話ようになっていた。

詩音は、可愛らしい女の子だった。

おっとりしているように見えるが

実はしっかり者でなんでも出来た。

周りに合わせるのも上手く

男女ともに人気があった。


詩音と話しながらゴールデンウィークは

どうするのかという話になり大輝は


「前半は父さんと出掛ける予定で

後半は地元の友達と遊ぶと思う!」


詩音は


「大輝君はお父さんと仲が良いんだね!」


と、微笑みながら言っていた。

詩音の予定も聞いてみると

家族で祖父母の家に行くと言っていたので

大輝も、

詩音の家族は仲が良いのかなと思っていた。

詩音は可愛く人気がある為

途中から他の友達も話に加わってきた。

話も盛り上がりゴールデンウィークは

予定が合わない人もいるから

ゴールデンウィークが終わったら

みんなで遊びに行くということになったのだ。



父親との生活も

役割分担を決め

二人でも上手く暮らせていた。

週末も家に帰り

母親と司さんと生活を共にし

そんな生活にも

ちょうど慣れ始めた頃だった。


週末は、若葉や友達とも

少し会ったりと忙しくすごしていた。



大輝は、高校では

部活をしない事にしたので

ゴールデンウィークは予定通り

前半は、

父親と出掛ける事にし

後半は、

家に帰り、母親と司さんと過ごし

地元の友達たちとも遊ぼうと思っていた。



ゴールデンウィークが始まり

父親とキャンプに出掛けた。


テントを立て、

寝床を作り、テイブルなどを用意した。

そこからバーベキューの準備をして、

買ってきた食材で、料理を始めた。


父親は、料理が上手く

手際が良かった。


大輝も、

父親と一緒に暮らすようになってから

料理を手伝うようになり、

だいぶ上達してきた。


初日なので、

切った野菜と肉を

網で焼き簡単バーベキューにした

ビールを飲みながら上機嫌だったが

移動や準備で疲れたのか、

この日は、早々と眠る事になった。


二日目は、朝から軽く朝食をとり

近くの釣り堀へと向かった。


何匹か連れたので、

焼いて食べる事にした。

自分で釣った魚を食べるのは、

すごくおいしかった。


夜は、

二人でカレーを作り

飯盒で炊いたご飯にかけて食べた。

これもすごくおいしかた。


食後に二人で話をしていると

父親が、


「好きな子は、いないのか?」


と、聞いてきた。

動揺して答えられずにいると


「若ちゃんが好きなんじゃないか?」


と、言ってきた。


「当てられてしまった。」


と、焦って

違うとは言ったが、

意味深な笑みを浮かべて

大輝を見ていた。


そのあとの大輝は、

終始しどろもどろになり

何を言っているかも

わからなくなっていた。


寝る前までそんな話をしつつ

最後に


「後悔しないようにな…」


と、寂しそうな顔で伝えてきた。


父親は、

今でも後悔しているのかもしれない。


亡くなった彼女の事も


母親との事も


そんな事を思いながら


「僕も後悔するのかな…」


と、考えながら眠りについた。



最終日は、

帰り道に観光地などを巡り

父親との楽しい三日間が終了した。



ゴールデンウィーク後半は

家に帰り、母親と司さんと

一日は一緒に過ごし

残りは、友達と遊んだ。



若葉は、高校でもテニス部に入ったらしく

部活があって、一日しか遊べなかったが

若葉も含めてみんなで、

テーマパークに行く事になった。


若葉の好きなキャラクターがいる所だ。


前の日から電話がきて。

明日が楽しみだと興奮気味だった。


朝は、二人で行くのかと思っていたのだが

白石が迎えに来るらしく


「一緒に駅まで行こう?」


と、言われたのだが

遠慮しておいた。


「なんで?」


と、言われたので

用事を済ませてから行くと伝えた。


用事などはないが

一緒に行くことまでは、

したくなかった。


父親の言葉を思い出したが

応援すると決めてしまっていた為

頑なになっていたのだ。

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