第三章
第36話 高校入学
大輝と若葉は、
高校生になった。
生まれて初めて
学校が別になったので
入学式には、一緒にいない。
大輝は、入学式が始まるまで
自分の名前が書いてあった
クラスに向かい座っていた。
教室に入ってからは緊張していたが、
近くの席にいた人達に
話しかけて仲良くなり
緊張が解けていった。
入学式が始まり、
無事、何事もなく終わった。
クラスに戻り、
今後の明日からの
予定などが発表され、
この日は終了となった。
仲良くなった人達何人かと
連絡先を交換して友達も出来た。
とりあえず
いいスタートがきれたはずだ。
若葉にも、
友達がちゃんと出来たことを
メッセージで送った。
その後は、母親と司さんと
昼食を食べにいった。
今日は、
司さんの泣いている姿は見られなかった。
父親に泣き顔の写真の事で
いじり倒されたらしい。
恥ずかしそうに言っていた。
本当に上手く行っているみたいで
安心した。
不思議な関係だが
それはそれで
こんな関係もあるのだなと思った。
夕方になり
父親の所に向かう準備をしていた。
「大輝、準備終わった?」
と、母親が声を掛けて来た。
「もう終わるよ!」
と、伝えた。
「大輝、ちゃんとご飯食べるんだよ!
あと、夜ふかしもダメだからね!
何かあったらすぐに連絡するのよ!
あと…
…
…」
と、心配そうに
沢山、伝えて来た。
「ちゃんとします!
週末は帰って来るんだから
安心して!」
と、伝えると
寂しそうな顔をしていたが
「わかった!
お父さんと上手くやってね!」
と、言ってくれた。
後ろで司さんも、
心配そうに見守っていたが
最後は優しい笑みを浮かべていた。
夜になり、
駅まで父親が迎えに来てくれるので
駅まで歩いて向かった。
若葉が家の前で待っていた。
「大輝、学校楽しんでね!
なんかあったら無理しないで
ちゃんと私に相談してね!
前みたいにすぐに行けなくても
急いで駆けつけるから!
絶対だよ!」
と、泣きそうな顔で言ってきた。
「大丈夫!ありがとね若葉!
若葉も無理しないで頑張ってね!
色々応援してるよ!
行ってきます!」
と、伝え駅へ向かった。
若葉が、
「頑張ってね!」
と、言って手を振ってくれた。
大輝は、若葉に初めて
「応援している!」
と、伝えた。
まだはっきりとは言えないが
言葉にはできるようになったのだ。
駅に着き父親の車に乗り
二人で暮らす家に着き、
高校入学のお祝いをしてもらった。
これからの生活に期待を抱いて
明日からの高校生活に備えたのだ。
若葉は、
大輝がいない初めての入学式に
寂しさを感じていた。
大輝がいないだけでこんなにも
心細いとは、思ってもいなかった。
今までは、
大輝を守らなきゃいけないと思い
常に気丈に振る舞っていたのかもしれない。
地元の高校なので友達も
沢山いたが、
若葉の中では、
大輝の存在が、大きいものだったのだと
気付かされる事となった。
そんな事を思っていると、
蓮に声を掛けられた。
「若葉、やっと見つけたよ!
クラス一緒だったよ!
高校でもよろしくね!」
と、嬉しそうに言っていた。
「蓮君、
こちらこそまたよろしくね!」
と、伝え
他の友達も何人か一緒のクラスだったので
みんなと一緒に教室に向かった。
若葉と蓮は、
顔もスタイルも整っているので
教室に入ってから
一気に注目の的になった。
他校の子たちも
みんな話しかけて来てくれて、
すぐに仲良くなれた。
入学式も終わり
みんなと連絡先を交換して
その日は、そのまま学校が終わった。
明日からは、普通の高校生活が始まるのだ。
今日は、両親と帰って
お祝いをしてゆっくり過ごした。
大輝から
「ちゃんと友達できたよ!」
と、メッセージが来た。
「良かった!
私も、みんなと仲良くなれたよ!」
と、返信した。
何時くらいに
向かうのか聞いたら
夜になってから
駅に向かうと言っていたので
その時間は家の前で待つ事にした。
夜になり、大輝を
家の前で待っていた。
少し経ってから大輝が、
荷物を持って歩いて来た。
「大輝、学校楽しんでね!
なんかあったら無理しないで
ちゃんと私に相談してね!
前みたいにすぐに行けなくても
急いで駆けつけるから!絶対だよ!」
と、伝えた。
もっと沢山話したい事はあったが
上手く纏まらなかった。
寂しさが溢れ泣きそうになってしまった。
「大丈夫!ありがとね若葉!
若葉も無理しないで頑張ってね!
色々応援してるよ!
行ってきます!」
と、大輝は言って
駅へ歩き始めた。
若葉は、
「頑張ってね!」
と、言って手を振って
見えなくなるまで、見送った。
「毎週帰って来るんだから、
会えなくなるわけじゃない!」
と、自分に言い聞かせてはいたが
やはり、大輝が若葉から
どんどんと
離れていってしまう気がしてならなかったのだ。
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