第27話 そのまま少しずつ…4

大輝が、

一人で帰って行く姿を見て

夏祭りの時の事を

思い出してしまった。


「みんなと集まると

大輝と一緒に居られないなぁ…

なんか避けられてるみたい…」


遠からず当たっていたが

普段は、

そんな事を感じさせないようにしていたので

若葉もそこまで深く考えずに

みんなでファミレスに向かった。


ファミレスでも

賑やかだった為


少し怒られてしまった。


「帰ったら大輝に報告だ!」


なんて事を思いながら

いつの間にか時間は過ぎ、

さすがに解散となった。



帰りは、一人で帰るつもりだったが。

蓮が送ってくれる事になった。


最初は断ったのだが

女の子一人は危ないと言うことと

みんなが何故か

蓮に送ってもらえと

言ってくるのだ。


断り辛くなり

送ってもらう事となったのだ。


帰りも今日の話で盛り上がり

無事に家の前まで送ってもらった。


「今日もまた、

送ってもらってちゃって

ごめんね。

でも、ありがとう!」


「全然いいよ!

すごく楽しかったし!」


「本当に楽しかったね!

またみんなで集まろうね!」


「そうだね!

みんなで初詣でも行こうよ!」


「いいねそれ!

じゃあ蓮君がみんな誘っておいてね!

私は女の子の方を誘っとくから!

じゃあまたね!

今日はありがとうございました!」


と、と少し話してから

家に入ろうとすると


「あっメリークリスマス!」


と、言って

プレゼントを渡された。


「どうしたのこれ?」


と、聞くと


「若葉に似合うと思ったのがあったから

思わず買っちゃって!

だから気にしないで受け取ってもらえると

ありがたいな!」


と、言われた。

若葉は、

何も用意などしていなかった為


「私だけ貰っちゃ悪いよ。」


と、申し訳なさそうにしていると


「じゃあ代わりに

今後、一緒に遊びにいってくいってくれる?」


と、言われ

大輝と遊びにいく感覚と同じ感じで


「全然いいよ!

じゃあ、ありがたくいただきます!」


と、答えてしまった。


「ありがとう!

日程、決めるのに

帰ったら連絡するね!」


と言って帰って行ったのだ



家に入ってから

プレゼントを開ける事にした。


プレゼントの中には、

可愛らしいヘアピンが入っていた。


「テニスの時にでも使って!」


と手紙付きだった。


普通に嬉しかった。


鏡の前で付けてみたら

自分でも似合っていると思い


「蓮君は、センスもいいんだな!」


なんて思った。


その後はお風呂に入り

ゆっくりする事にした。


「大輝もお父さんと楽しんでるかな?」


と、思い一応気を使いながら

ファミレスであった話を

メッセージだけ送っておいた。


少し待ったが返信は来なかった。


そのあとすぐに、蓮から

電話がかかってきて

遊ぶ日の予定を決める事になった。


年末の30日から、部活もなかったので

30日に遊ぶ事になった。


今回は二人で遊ぶ事になった。

大輝とはいつも遊んでいるから

気にしていなかった。


結構長く電話していたみたいで

もう遅い時間になっていた。


もうお互い寝ると言う事で

電話を終わりにした。


眠気もピークだった為

電話を切った後は、

メッセージのチェックもせずに

そのまま眠りについた。



毎年、大輝と若葉は、

クリスマスプレゼントを

二人で交換していた。


でも今年は渡すタイミングがなかった為

渡せなかった。


若葉が、朝起きて携帯を見ると

大輝からメッセージが何件か入っていた。


昨日の夜に

若葉の家の前まで来ていたらしい。


最後のメッセージには、


「もう遅いからプレゼントは

玄関の前に置いておくね!

メリークリスマス!」


と、入っていた。


急いで大輝に、

電話をしたが繋がらなかったので

先に、玄関を確認しに行った。


プレゼントが置いてあった!


家に入り急いで

プレゼントを開けた。


若葉の好きなキャラクターの

ぬいぐるみだった。


若葉はすごく嬉しかった。


「さすがは大輝!

私の好みを知ってるなぁ!」


と、ぬいぐるみを抱きしめながら

一気にテンションが上がった。


すぐにメッセージを送りお礼を伝えた。


若葉も、プレゼントを用意していたが

昨日は渡せなかった。


せっかく渡しに来てくれていたのにと

後悔していた。


「今日は、ちゃんと渡しに行こう!」


と、思っていたのだ。



大輝から

メッセージが来たのは

その日のお昼頃だった。


「今日から父さんの所に

年末までいる事になったんだ。」


と来ていて


「昨日しか直接渡せなかったから

帰ってから行ったんだけど

電話が、繋がらなかったから

玄関に置いてきちゃったんだ。

ごめんね。」


と、メッセージが届いた。


若葉は、ショックだった。

若葉も、直接大輝にプレゼントを渡して

喜んでもらいたかった。

去年と同じく

喜んだ姿を見たかった。



「クリスマスプレゼントなのに

渡せるのが、年明けになっちゃう…」


と、一人寂しげに嘆いていたのだ。

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