第26話 そのまま少しずつ…3
若葉と白石君は、
お互い、下の名前で呼び合う事になり
若葉
蓮君
と呼ぶようになった。
蓮としては、
もっと若葉と仲良くなりたいと思い
一緒に、歌を唄うことを提案した。
若葉も快くOKしてくれたので
蓮は、ほっとした。
「一緒に曲を選ぼうよ!」
と、言って
一緒に曲を探し始めた。
一つのタブレットを
一緒に見ていると、
自然と肩が触れる。
蓮は、ドキドキしていた。
蓮は、いつの間にか
若葉を好きになっていたのだ。
夏祭り以降に意識し始めて
みんなに、
いつも隣にさせられるようになってから
気付いたら好きになっていた。
それからは、
自分の事も好きになって欲しいと
積極的にアピールをしていった。
あまり手応えは、
感じられなかったが
今日は、すごく進んだ気がした。
下の名前で呼べるようになり
一緒に歌を唄う事も出来る。
そして今、曲を決めるのに
一緒にタブレットを持ち
二人で選んでいる。
肩が触れていても
嫌がる素振りもない。
嫌がられてはいないのだ。
ドキドキが増していった。
ちょっとだけ気になるのは
やはり大輝の事だ。
大輝は若葉と仲が良い。
いつも一緒にいる。
周りから見ると
その姿は
姉と弟のようにしか見えない。
でも、さっき
大輝が唄っている時の
若葉の顔は、
弟を見ている感じには
見えなかった。
一瞬だけ
好きな人を見ている顔
だった気がする。
本当に一瞬だったから
気のせいかもしれない。
だから、もっと積極的に
アピールしたかった。
大輝は、若葉のことを
好きなのかはわからない。
でも若葉は、
大輝を好きになり掛けている気がした。
自分が
若葉を好きになっていった時のように
自然と大輝を目で追っていた。
だからこそ一気に距離を縮めたかった。
その甲斐あって
肩が触れても
嫌がられない仲には
慣れていた。
曲も選び終わり、
曲が流れ始めた。
蓮は緊張していたが
なるべく近い距離で唄った。
息もあっていたと思う。
最後の方は肩がずっと触れ合っていた。
ドキドキが止まらなかった。
上手く唄えていたかはわからないが
蓮の中では、
大満足であったのだ。
若葉は、大輝の事を見ながら
唄っていた姿を思い出していた。
「さっきの大輝かっこよかったなぁ…
でも女の子にチヤホヤされて喜んでた。
ちょっとムカつくな!
でも大輝も、成長したんだな!
お姉ちゃんは嬉しいよ!」
なんて思っていたのだ。
すると蓮に、
一緒に歌を唄おうと
言われたので、
OKと言って、一緒に曲を選ぶ事にした。
さっき大輝が唄った曲よりも
もっと上手く唄えそうな曲を
探していた。
探すのに夢中で
蓮と肩がぶつかっていた。
そんな事を気にもしていない若葉は、
上手く唄えそうな曲を選んで
蓮に
「この曲にしよ!」
と、伝えた。
蓮もその曲を知ってくるし
唄えると言っていたので
曲は決まった。
若葉と蓮の入れた曲が流れた。
「大輝に上手って言わせてやるんだから!」
と、気合を入れて唄った。
気持ち良く唄った。
蓮も楽しそうに唄っていたので、
二人は、
肩がくっ付くくらい近い距離で
夢中で唄っていた。
若葉としては、
すごく上手く唄えたし
気持ちよかった。
蓮ともハイタッチをして
唄い終えた。
すぐに、大輝の方を向いて
ドヤ顔をしようとしたら
大輝がいなかった。
「なんで?
なんでいないの?」
と、思い
「絶対あとで文句言ってやる!」
とも思った。
少ししてから大輝は、
部屋に戻って来た。
ドリンクを取りに行っていたのだろう。
でも大輝にイライラしていた若葉は、
大輝を睨みつけた。
大輝は困った顔をしていた。
そこでまた、蓮君に話しかけられた。
話している隙に席に戻ったようだ。
その後は、プレゼント交換をして
あっという間に終了となった。
若葉は、
さっきに大輝の困った顔を思い出して
「なんとなくだけど、
寂しそうな顔してたな…」
と、そんな事を思いながら
みんなと一緒に外に出た。
外に出てから
まだ遊び足りない人達は、
ファミレスに行くと言っていた。
若葉も蓮達に誘われたが
大輝の方を見ると
用事があるから帰ると
言っているのが聞こえた。
若葉は、
「私も大輝と一緒に帰るね!」
と、言って帰る事にした。
だが、大輝が近付いてきて
「若葉は、みんなと行ってきなよ!
僕の事は大丈夫だから!」
と、言ってきたのだ。
若葉は、
「どうして?」
と、思ってしまった。
大輝が、若葉に近付き小声で
「今からお父さんと二人で
ご飯を食べに行く事になっているから
気にしないで!」
と、伝えてきた。
「お父さんと食事なら仕方がないか」
と、思いつつも、少し悩んだあと
「わかった。
気を付けて帰ってね。」
と、ファミレスに行くことにしたのだ。
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