第25話 そのまま少しずつ…2
若葉は、
今日のクリスマスパーティーを
楽しみしていた。
みんなで集まって遊ぶのは
夏祭り以来だったからだ。
大輝とも、
出かける機会は、
ほどんどなくなっていて
学校の行き帰りくらいだけだった。
だから、
一緒に出掛けられるのが
楽しみだった。
大輝が、迎えに来てくれて
二人で一緒に、
クリスマスパーティーに向かった。
今年は、カラオケだったので。
何を歌うとか
大輝は何を歌ってとか
そんな事を話しながら歩いていた。
もっと距離があると思っていたが
あっという間に、着いてしまった。
この時若葉は、
ちょっと残念だった。
「もっと大輝と話したかったのに」
と、思ったからだ。
みんなと合流してからは、
また大輝とは、
話せなくなってしまった。
普段いつも一緒にいるから
みんなといる時くらい
話さなくても大丈夫でしょ?
って空気になる。
だから、
いつも他の友達と
話しをする事になってしまう。
その事が、嫌な訳では無いが
別に、大輝が隣にいても
いいんでは無いかと
思ってしまう。
大輝も大輝で、みんなといると
必ず、他の友達の所に行ってしまう。
寂しさは、
感じていたが
それはそれで、しょうがないと思い
楽しむことにしていた。
カラオケの部屋は、
大部屋だったから
どこに座ればいいか
わからなかった。
でも気が付くと、
いつも白石君が隣に居る。
学校でも、みんなと話していても
気が付くと白石君の隣にさせられる。
今日もそんな感じで
白石君が、隣の席になった。
大輝は、
若葉と離れた席に座っていた。
「なんで隣に来ないの!」
と、心の中で思っていたが
みんなの前では言えない。
「これも弟の成長だ!」
と、思うようにして
無理やり納得した。
その後は、
カラオケなので
みんなで、歌ったり
ポテトを食べたり
ドリンクを飲んだりして
楽しく盛り上がった。
ドリンクがなくなったので
ドリンクバーに
取りに行こうと思ったら
白石君も一緒に来た。
「今日も楽しいね!
みんなで騒ぐっていいよね!」
と、言ってきたので
「本当楽しいよね!
まだまだ楽しもう!」
と、言って
ドリンクを入れてから
部屋に戻った。
部屋に戻った後も
また白石君の隣に座らせられた。
白石君とは、夏祭り以来
仲良くなった。
その前から、仲は悪くなかったが、
背負って貰って帰って以来
話しやすくなった。
会話もおもしろかったから
隣に座る事にも、抵抗はなかった。
席に座って大輝を見ると
楽しそうに歌っていた。
「大輝も、楽しそうでよかった!」
と、思いつつも
大輝が、歌が上手かった事に驚いた。
みんなもビックリしていて
女の子達は、すごい上手と褒めていた。
その後も、
女の子達に、この曲歌ってよ!
とか
こっちの曲も
とか、言われていたのだ。
若葉は、
そんな大輝の姿を見て
なんだかわからないが
モヤモヤしていたのだ。。
それから一気に
大輝の歌で
みんなが、盛り上がっていた。
テンションが上がり
みんな座っている距離が
近くなっていたのだ。
若葉と白石君も
肩が触れてしまうくらいに
近い距離に座っていた。
若葉は気にもしていなかったが
周りのみんな
気にしはじめていた。
気になる異性が隣にいて
肩が触れるくらいの距離にいたら
意識しない男は少ないと思う。
白石君も、意識していたのだろう、
「ねぇ、
ちょっとお願いしたい事が
あるんだけどいい?」
と、突然
若葉にしか聞こえないくらいの声で
聞いてきた。
「なに?お願い?」
と、尋ねると
「美咲の事、
若葉って呼んでもいいかな?」
と、言ってきたのだ。
「なんだそんなことか!」
と、思いつつ
「全然いいよ!」
と、応えたのだ。
白石君は、とても嬉しそうに
「良かったぁ!ありがとう!
これからは若葉って呼ばせてもらうね!」
と、言って喜んでいた。
こんな事で喜んで貰えるなんて
いい事したな!
と思っていると
「ついでなんだけど、俺の事もさ、
蓮って呼んでくれないかな?」
と、言ってきた。
大輝の事も
下の名前で呼んでるから
いいか!と思い
「わかったよ!蓮君!」
と、呼ぶ事にした。
流石に呼び捨てには、
抵抗があった為
君は、つける事にしたのだ。
それでも
「ありがとう!
これでもっと仲良くなれるね!」
と、蓮が言ってきたので
「そうだね!
これからもよろしくね!」
と、応えたのだ。
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