第19話 夏休み最後の祭り…2

花火が終わり

若葉と白石を探した。


女子が携帯で

若葉に連絡をとり

近くにベンチで休んでいる。

と言っていたらしいので

そのベンチの所まで向かった。



若葉と白石が、

楽しそうに話していた。


二人とも美男美女で、

絵になっていた。



そんな二人の姿を見た大輝は

胸が締め付けられた。


流石に我慢できそうになかったので


「ちょっとトイレ行ってくる」


と、言って若葉の所に着く前に

その場を離れた。


少し離れた所で

大輝は、必死に落ち着こうとしていた。

いつも通りにしないと

普通にしていないと

また壊れてしまう。


大輝は、自分が態度に

出してしまわないように

落ち着くまで時間を置いてから

みんなの所に戻ろうと思った。



落ち着きを取り戻し

みんなの所に戻ろうと思ったが

帰る人集りがすごく

すぐに戻れそうになかった。


なので、友達の一人に連絡して

先に帰ってもらう事にした。


やはり若葉達がいたベンチまでは

だいぶ時間がかかってしまった。


「先に帰ってもらってよかった。」


と、思いながら歩いた。



その頃、若葉達は

人混みを抜けていた。


みんなで大輝を待つつもりだったが

若葉の足が少し腫れていたので

先に帰ることにしたのだ。


若葉も歩けると言ったのだが


「足が少し腫れてるから無理しちゃだめだよ」


と、また白石に背負ってもらう事になった。


人混みを抜けて

背中から降り


「ありがとう!」


と、伝えた。


「大輝が心配だからみんな先に帰っていいよ!」


と、言ってみたが


「若葉の足が心配だよ。」


と、みんなに言われて

大輝に連絡をとってから帰る事にした。


大輝に連絡をしても

繋がらず、

代わりに何人か

残ってくれる事になった。


帰りは、流石に歩こうと思ったのだが


「無理するとテニスが出来なくなっちゃうよ」


と、白石に言われ

背負って家まで

送ってもらうこととなった。


少し距離がある為

帰る方向が一緒の人だけで

先に帰ることとなった。


帰り道でも

疲れないように

途中にある公園で

一度休んでから帰った。


一緒に帰ってきた友達も

若葉の家より近い距離だったので

一人ずつ減っていった。

最後のに残ったのは若葉の家だけだった。



「これ以上は白石君に悪いから

ここからは歩いて帰るよ!」


と、言ったのだが

白石は家まで送ると

頑なだった。


最後まで背負ってもらい

家の前で降ろしてもらった。


「本当に今日はごめんね。

背負ってもらって、

重かったでしょ?

しかも家まで送ってもらっちゃって」


若葉は、申し訳無さそうに言った。


「全然大丈夫だよ!

少し重かったかな!笑」


と、言ってきた。


「もう、失礼な!

そんなことないよって

言うんでしょ普通は!」


と、顔を真っ赤にして言いかえしたが


「全然軽かったよ!

本当に乗ってるのってくらい!笑」


と、気さくに返事を返され笑ってしまった。


「明日には腫れ引いてるといいね!

今日はゆっくり休んで!

また学校でね!」


と、白石は帰ろうとしたので


「今日は本当にありがとう!

また学校でね!」


と、言って家の中に入っていった。




人混みに飲まれていた大輝は、

ようやく抜ける事ができた。


そこで連絡が来ていた事に気付き

返そうと思ったところで

残っていてくれた友達を見つけた。


「よかった。大輝大丈夫だった?」


と、聞かれたので


「大丈夫だった!

トイレがすごく混んでたんだ!」


と、言って誤魔化した。


みんなも


「調子が悪かったのかと

思ったからよかったよ」


と、言ってくれた。



若葉は、足が少し腫れてたから

先に帰ってもらったと言っていた。


みんなに待っていてもらった

お礼を伝え解散になった。


大輝の家の方向に帰る友達は

若葉達と帰ったらしく

帰りはひとりだった。


今日の事を思い出しながら

歩いていると

いつの間にか

家の近くまで来ていた。


その先には

花火の時にも見かけた光景が映った。


若葉が白石に

背負われて

歩いていたのだ。


また見てしまった。

また胸が締め付けられた。


そのまま追いかけはせず

少し離れた位置を歩いた。


大輝の家が手前にあるため、

若葉達が大輝の家を通り過ぎた。


大輝は少し後から

家の庭へと隠れるように入った。


大輝の家から、若葉の家は見える所にあった。


若葉達が家の前に着き

若葉が背中から降りた。


何かを話していたが

話は聞こえない。


玄関に街灯が付いていたので

姿ははっきりと見えた。


手を振って家の中に入るまで

楽しそうに話していた。


大輝は昔を思い出していた。


母親と東郷さんの事を

見ていた時も

こんな気持ちだった。


最初は良くわからなかったが

どんどん辛くなってくる。

どんどん心が締め付けられていく。

どんどん苦しくなっていく。



勝手な思い込みだが

不安が増していった。


感情を徹底的に抑えなければ

と、また思い込んでしまったのだ。

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