【短編】晩夏のバリスタ
犬飼 大
茜色のポッド
「ホットのカフェラテをMサイズで一つ」
夕陽を映す銀色のポッド。蜃気楼みたいに揺れる湯気。口を開けて待つ様な、純白のカップ。
それらに囲まれて、カフェラテを淹れながらふと思った。
今日だけで、ホットのドリンクを頼んだお客さんはどれだけいただろうか。
トポトポと音を立てながら満ちていくコーヒーカップと、チクタクと静かに時を刻む古時計の音に耳を傾けながら今日を頭で追想する。
そういえばスーツお客さんは長袖の人がちらほらいたし、女性に至ってはカーディガンを羽織ってる人もいた。
ゴォンと、重苦しくも威厳のある声が、午後五時になったぞと教えてくれた。
鮮やかな赤が、登る湯気を照らす。
ああ、なるほど。
もうすぐ秋か。
【短編】晩夏のバリスタ 犬飼 大 @sakaraka_santya1
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