第2話 姥捨てのとら
松五郎がとらの住む
最初、とらの言っていたことが嘘だと分かったとき、そして自分が両親に捨てられたと分かると、それはそれは大きな声で一週間は泣いたものでしたが、その後はとらと一緒に、本物の親子のように仲良く暮らしています。とらと、それ以外の大人たちも大変に物知りで、松五郎に読み書きや、虫や草や花や木、お天気のことなどを優しく教えてくれました。
村に来たばかりのときは松五郎と同じ
その6人の子供のうち、7つになるまでに3人が
だから今は
なぜかって?
それはここが
だから、とらは松五郎に
「松五郎、おれが死んだら山に埋めてくれ。こんな枯れた体でも少しはお山の栄養になるだろうさ」
「ああ、分かった。だが、お
「おれはいつでも準備が出来ているというのに、死神のやつが尻込みしてんのさ。まったく情けないねぇ」
「ははは、それなら当分は来ないだろうねぇ。
「ふん。まったくお前は昔から
「まぁまぁ、そう言うなよ。これでもおいらはお
「じゃぁ、もっと
「はいはい」
これが仲の良い二人のいつもの会話でした。でも、とらの機嫌が良いときは松五郎を
「お前さんと、あと他の誰だっけ。ともかく若い衆が来てくれて本当に助かったよ。老いぼれだらけじゃ力仕事も進まないからねぇ」
「
「ああ、済まないね。歳をとると覚えるより忘れる方が早くなっちまうもんだから、こればっかりはしょうがないんだ」
「そんなもんかい?」
「そんなもんだ。実際に歳をとったおれがいうのだから本当だよ」
「お
「おや? そんなことあったかね?」
「あったよ」
「……はて、何の話をしていたんだっけ? おれは裏の畑を見てくるぞ」
「相変わらずお
松五郎に権三郎、久太郎、それから弥兵衛の4人が大きくなってから、今まで小さな畑しかなかったこの村にも少し大きな畑が作られました。老人たちから色々教えてもらって、育ててもらった恩返しとばかりに、少しずつ開墾したのでした。
お陰で木の実や
4人の少年は知っていました。村に住む老人たちは死ぬ準備のためにここで暮らしているけれど、決して
これからも、この先も、あの事件が起こるまでは、きっと。
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