少年篇(2)中3『推し』 NHK-FM「甲斐よしひろのサウンド・ストリート」

 今夜のサンストは、楽しみにしていた「第2回カラオケ大特集」だ。今夜の日記は、これを聴きながら書いちゃうよ!

 第1回のカラオケ特集の時の、流しのオイカワさんのギターは、まるで、昔から甲斐君のサポートメンバーのように、主張し過ぎることなく自然に寄り添って、でも、しっかりとオリジナリティを出しながら弾いていた。あれだったら、もしかして、俺だって気持ち良く歌えるかもしれない。今回も、オイカワさんのギターだから、すっごく楽しみだ。


 1曲目、野口五郎の「甘い生活」だ。これ、キーが高いからなあ。俺が歌えるのはサビ前までだな。曲の終わりにわざとらしく、たぶん、ウイスキーが入ったグラスを振って氷の音をさせちゃってさ。俺は、まだ飲めないっつーの。

 2曲目は、西田佐知子の「東京ブルース」。甲斐君、西田佐知子好きだからね。「アカシアの雨がやむとき」とかね。まだ、俺にはその良さが分かんないんだけどね。

 3曲目は… これは、只今ヒット中の「よせばいいのに」だ。オイカワさんも歌ってる。流しだから、きっと、オイカワさんもたくさんリクエストされてるんだろうな。

 4曲目は、「酒と泪と男と女」だ。俺が、大人になって、本当に酒を飲みながら歌うとすれば、永遠に「忘れてしまいたいことや~」をリフレインしそうだ(笑)そして、最後に「静かに眠るのでしょう」で終わる。しかし、俺は、大人になって、どんな酒を飲むんだろう。親父みたいにビールに、熱燗に、ウイスキーの水割りと、まるで、それが仕事かのように淡々と飲み続けるんだろうか。まあ、親父の子なんだから相当な量、飲める男になると思うけど。


 そういや、先週の放送で、ベースの長岡がバンドを抜ける、というびっくりな発言があった。長岡は「静かに去らせてくれ」だそうだ。まだ、コンサート行ったことないっちゅうのにさ。会いたかったなあ。


 5曲目は、「砂山」だ。海は荒海、向こうは佐渡よ。作詞作曲は誰だっけか。新潟のことを歌った歌なのに俺は知らない。

 6曲目は、「大阪で生まれた女」だ。この曲もいかにも、甲斐君の選曲だな。ディスコの帰り、って、俺が大人になってもディスコなんてあるんかいね。みんな、トラボルタみたいな白いスーツ着て行くのかな。俺があんなの着ても、おしっこのシミが付きそうで、とても怖くて着れんわ(笑)この曲、リクエスト第1位で、千通近い葉書だったってさ。


 最後の曲は、古井戸の「ポスターカラー」という曲。ナカイドレイイチだっけか。

 ああ、こんな悲しい曲。こんな別れを俺も経験するんだろうか。ポスターカラー見て、こんな風に別れた女を思い出すんだろうか。

 俺は、あの娘とまだ付き合い始めたばかりだというのに。こんな悲しい曲に浸っていたら、痛みも感じないまま、吸い込まれるように別れを経験しちゃうんじゃないかって思うから、甲斐君、この最後の曲は、俺、忘れるよ。



 ああ、今夜は、もう、勉強する気が失せた。

 「ふたりの部屋」聴いたら、もう、寝ちゃおうかな。

 そういや、風呂、まだ入ってなかったな。






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