第5話 インスタントだが茶くらいは出す
30m隣の祠 ここ七王子神社の末社のはずだがと想いながら 祠に行く
お向かいの高齢ご主人が、毎朝6時前に榊の水交換とかやってみえる
うちの町会の祠だし、本社も歩いていける距離だしな
二礼二拍手一礼 をしてる最中に 神様の名前も訊いていない 事を思い出す
もう全てを、竹橋に擦り付けよう と決める
「竹橋 出てこい お前 お世話になった神様の名前も言わずに消えやがって
ご挨拶も出来ないじゃないか」祠の前で言ってやる
「それは私のチョンボ 竹橋さんは無関係です
泰山(たいざん)の命 と申します」
神様が自ら自己紹介してくる 普通に狩衣の昨日と同じ姿でみえる
「これはご丁寧いに 泰山 (たいざん)の命様と よろしくお願い致します
私 そこの一軒隣で 猫のミケと暮らしております高崎と申します」
「今日は昨日と違う 高崎さんは、ちゃっんと挨拶が出来る方ではないですか」
いやいや、昨日は生中三杯だし いきなりの訳の解らない幽霊扱いしてたし
祠とは言え一応神社で神様の相手をするんだ それなりの対応はする
「泰山様 一つお訊きますが 俺以外の人には 泰山様見えてますか」
「それは見えませんよ 高崎さんは、あるものを許す心がある方
その上、ベトコン山盛り二連発 と最強の状態ですから見えるだけです」
「と言う事は、向こうの家の子供からは 俺は独り言の危ない人 帰ります」
言って帰ってしまう
玄関まで来たら、ダッシュで泰山様が来る
「高崎さん 貴方」言いかけるが 止めて
「泰山様 とりあえずうちのリビングへ インスタントだが茶くらいは出す」
玄関を開けて、泰山様を迎え入れる
南部鉄器のヤカンでお湯を沸かして、サーモスの保温容器に入れる
普段使っていないリビングなので、まぁ汚い と自分でも思う
そういや座布団がない ミケがゲロ吐く度に捨てていったら無くなった
諦めてもらおう
「この部屋、普段使ってないので」言い訳をする
茶碗を三つとパイレックスのメスシリンダー×2 スパチラー サーモスの保温容器
茶の粉が入ったパウチのパック 茶筅 以上を座卓の上に並べて
インスタントですが と茶を点てる
湯の測りはパイレックスのメモリ 温度シール付き 茶の測りはスパチラー
茶筅は数穂の安物だが一応国産のやつだし
茶碗は本物だ 友人の親父のええだけの作家のやつだしな
茶も商店街のお茶屋で粉に引いて貰って買ってきた結構するやつ
FC3Sの椀は茶筅の濡らし用でお湯を入れてある
作法通り茶を飲む 泰山様
飲み終わり椀を拝見してて「これはガチの茶碗」泰山様
「そうですよ、箸折ったけど陶芸作家の友人が居た
そいつの親父が日展正会員 息子=友人の結婚式の引き出物」と答える
「こちらの湯を張った椀も」
「それは 箸折った息子がこねて 俺が絵付けで書いたやつ TZ250 もあるぞ」
「そこまでのモノを用意して、なんであとは」と泰山様に訊かれる
「メスシリンダー パイレックスだし、JISの校正証書付き まっとうな品だ
ここに温度の理解るシールも貼ってあるから温度も理解る」
そう言う問題じゃないだろと、呆れ返りだす泰山様
「粉を掬うんだ スパチラーしかない 化け屋の常識
前は薬包紙で重さ測ってたんだが、慣れればカンでいける」
茶の粉はスパチラーでカンで計量 落差あり過ぎで 呆れ返られる
「呆れ返られてもな」薬包紙を5枚並べて スパチラーで掬って乗せていく
0.01gの電子はかりを持ってきて
「緯度と標高の補正はしてないが」薬包紙でゼロ点補正して
「2gが基準だ」と順に測っていく 2g±0.1gの範囲に収まる
「5%以内の誤差 まぁまぁだろ」
正確だけど、何か間違ってる、呆れ返る泰山様
「インスタントだ 湯と粉の量は正確に 温度も大事だ この三点は重視してる」
「そのインスタント ってのを止めませんか 私も天界で茶を教え鍛えられてきた
以前 東尾に赴任した時にも300年やりました
たしかに美味い茶ですが、その物言いになにか引っかかります」
「粉入れて 湯入れて 混ぜるだけだ インスタントだよ
味噌汁だって、真面目に作れば 出汁とってからで手間も時間も掛かる
インスタントなら粉入れて湯入れて混ぜるだけ 同じだろ」
「また、その巫山戯た言い回し」天界で教え鍛えられた泰山様が言いかけるが
「しかし インスタントとの扱いでは これだけの心のこもった茶は無理
なにかあるはず ご師匠様はどちらの方ですか」訊いてくる
「ネット動画ですよ なので作法は無視 如何にこのお茶の粉を創った人達の
心に答えて、最大限にお茶の旨さを引き出す それだけですよ」
「それだけって」また呆れ返る泰山様
「そうだろ、それだけを考えて無心になれば 自動的に客に最高のお茶を出せる
本質は美味し茶を振る舞う 作法とか、それ以外は返って邪魔だ」
「そうれはそうですが」泰山様
ーーーーーーーーーーーーーーーー
お抹茶はインスタント 元ネタがあったのですが忘れたけど
すごく印象に残ってて、使ってみたくて
でもインスタンこそ、湯温度に粉量と湯量は大事 と強調してみました
抹茶はインスタント と思う方は フォローと応援コメントを!
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます