第12話 休日異世界散歩(アパレル編)
さて、日曜日が来た。
余談だが、こっちでも休日は日曜日。木・火・土・金・水・月で、日曜。
実は陰陽五行説の木火土金水の並びなのだが…
混乱するから日曜だけわかればいいや。
休みはエルもしっかり起きた。おいおい、エルさんや。
日曜日は工場も休みだから、奴隷達に外出が許可される。異世界名物『隷属の首輪』などは無し。門限のみだ。
おそらく、この世界1条件の良いカナンの工場を逃げる者などいない上、もしそうしても永遠に逃げ切れるものではない。いずれ掴まりより条件の悪い環境に身を置くくらいならばと、誰も逃げないからこその自由だった。
門限は10時。こっちの時間は1日が12時間。×2すれば私達の分かりやすい時間になるから、10時はつまり20時で、夜の8時を意味している。
飲酒する人間には物足りないだろうが、奴隷としては破格と言えるんじゃないかな。小遣い銀貨5枚で何が出来るかわからないし。
食事はその小遣いで食べるのだが、実は食堂にパンとスープ(ただし具無しコンソメ)だけは山ほど置いてある。小遣いをためて大きなものを買おうとする人、奴隷にまでされてなお家に仕送りする人がいて、そのためだって。
カナン、優しいな、マジで。
私、ニア、エルの3人も、4時(朝8時)には町へと歩き出す。
20分ほどでスノタウンの中心部についた。
イメージは、日本の地方都市のシャッター商店街が現役で活躍している感じ。
「あそこにするにゃ。」
ニアが見つけたのは朝早いのに混みあっている、人気の食堂のようだった。
大銅貨3枚と書いてある。銀貨を払うと、7枚のお釣りが来た。
「ここは安いにゃ。」
「モーニング、大抵大銅貨5枚。」
なら大銅貨は100円、銀貨は1000円の感覚でいいか。
休日の小遣い5000円。まあ、十分だと思う。
モーニングは恒例のパンとスープの食べ放題だが、スープの方のコーンスープはありきたりでも、パンは塩味のきいた塩パンで、いい加減飽き飽きの私もかろうじていけた。
食堂で4時半(9時)まで粘り、続いては洋品店だ。
ニアとエルのリクエストは『洋服を買いたい』で、私は『市場を見たい』だ。
はい、1チャン、スープ以外で美味しいものを探しています。
で、午前中は洋品店、昼食後市場、お財布と相談して晩御飯は寮か外食か決めることとした。
人に聞いて、町で1番大きい洋品店へ急ぐ。
イメージはシマ〇ラかユ〇クロ。平屋建ての広めのフロアに、ぎっしりと服が並んでいた。
ただ、ニアとエルの服、同じ工場の人達の服、今日町でみた住人の服を見ると、食事がパターン化されているように、服もパターン化されていた。
女性はスカート、男性はズボン、シャツを着てベストを合わせるのが定番だ。
って言うか、他のパターンがない。
だから、異世界召喚された時の服装、ジーンズにトレーナーの私、ひどく目立つ。
いや、一応回りに合わせねばという配慮はあったんだよ。
でも、楽に流れた。
スカート嫌い。
「うち、これにしようかにゃ」とか言うニアの手元を見れば、ベストとスカートがどちらも黒で同じ色だ。
この世界の人、ブラウスやシャツは生成りで、そこに同じ色のベストとボトムを合わせている。失敗はないけどつまらない。
日本なら…
学校の制服だってもっと気の利いた組み合わせがある。
「ねえ、ニア。」
「なんにゃ、ミサト?」
「いっそ違う色にしてみれば?反対色なら似合うと思うよ」と、口を出した。
「反対色?」
「んー、逆さまの色のこと。青なら黄色、緑なら赤、そうじゃなければ同系色でも色を変えればいいかも。」
私はあまり服に興味がない。おしゃれな子ならジーンズとトレーナーで召喚されないと思う。
でもまあ、常識程度なら知っている。柄と柄は難しいとか。
「じゃあ、ベストは黒にして、スカートは…」
「これは?」
強めの赤。ニアの好きなミニスカートで、合わせるとかなり派手だがニアには似合う(←早口言葉か?)。
「おおう!いいにゃ、これ。」
騒いでいると、エルが袖を引っ張った。
「ん。」
はいはい、選べ、ね。
エルのパーソナルカラーは緑なのかな?金髪が映える深緑のベストに、下は薄めのグレーかな?
上下の色を変えるファッションはこの世界では珍しいらしく、2人で盛り上がっていた。
ちなみに、紡績工場のある町らしく、服は日本と比べかなりお手軽。シャツもベストもボトムも、大銅貨5枚以上の設定はない(日本円500円以内?)。
でも、私は…
普段はカナンにもらった服とかでしのいで、お出かけ用は日本からの服がいいや。
トレーナーとかマジ楽。
いっそチノパンとか欲しいけど…
無理なんだろうなぁ。
※ ※ ※ ※
主人公と同じくおしゃれに興味がない人間で…
コーディネート描写、至らぬ部分はお許しください。ネットで調べながら頑張りましたm(__)m
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