「本当に黒原さんが?」「黒原様……」

 田沼さんと勝也さんは、黒原さんから一歩距離を開けた。

「てめぇ……」

 春日さんは今にも黒原さんに飛び掛かりそうな形相だ。

「だけど、動機は?彼女はどうして三人を殺したの?」

「そこまでは分かりません」

 部長は真っ直ぐ黒原さんを見る。

「しかし、黒原さんは雨音君に一方的な好意を抱いています。それが事件と何か関係しているのではないかと、私は思っています」

「一方的な好意?」

「実は……」

 白崎部長は僕と黒原さんの関係を皆に話した。驚いた表情の田沼さんが、黒原さんに尋ねる。

「本当なの?黒原さん」

「はい、本当です。私は雨音さんが好きです」

 黒原さんは即答した。皆は僕と黒原さんを交互に見る。

「雨音君に見せる異常な執着。それがこの連続殺人を起こした動機に繋がっていると考えるのだけど、どうかな?黒原さん」

 部長がそう言うと、黒原さんはゆっくり口を開く。

「私は犯人ではありません……と言っても無駄のようですね」

 それから黒原さんは、淡々とした口調でこう言った。


「はい、私が三人を殺しました」

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