④
「本当に黒原さんが?」「黒原様……」
田沼さんと勝也さんは、黒原さんから一歩距離を開けた。
「てめぇ……」
春日さんは今にも黒原さんに飛び掛かりそうな形相だ。
「だけど、動機は?彼女はどうして三人を殺したの?」
「そこまでは分かりません」
部長は真っ直ぐ黒原さんを見る。
「しかし、黒原さんは雨音君に一方的な好意を抱いています。それが事件と何か関係しているのではないかと、私は思っています」
「一方的な好意?」
「実は……」
白崎部長は僕と黒原さんの関係を皆に話した。驚いた表情の田沼さんが、黒原さんに尋ねる。
「本当なの?黒原さん」
「はい、本当です。私は雨音さんが好きです」
黒原さんは即答した。皆は僕と黒原さんを交互に見る。
「雨音君に見せる異常な執着。それがこの連続殺人を起こした動機に繋がっていると考えるのだけど、どうかな?黒原さん」
部長がそう言うと、黒原さんはゆっくり口を開く。
「私は犯人ではありません……と言っても無駄のようですね」
それから黒原さんは、淡々とした口調でこう言った。
「はい、私が三人を殺しました」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます