あの人が好きだ。あの人を愛している。

 こんなにも誰かを想った事は無い。

 あの人を私のものにする。そのためなら、何でもすると決めた。

 今しているこれも、あの人を手に入れるために必要な作業だ。


「がっ……⁉ぐっ……がっ……」

 首を絞めると、女は苦痛に顔を歪めた。女はなんとか逃れようと抵抗するが、私は力を緩めない。さらに強く首を絞める。

「ぐッ……があ……」

 窓に映った女と目が合う。

 どうして?なんで?苦しい、嫌だ、やめて、死にたくない、助けて!

 その顔には様々な感情が浮かんでいるが、どうやら殺される理由は分からないらしい。全く、酷い女だ。自分の罪の重さを理解していないなんて。

「ぐっ……うっ……」

 女の腕がダラリと下がった。死んだのか、それとも気を失ったのか。まぁ、どちらでもいい。窓を開け、外を見ると二頭のツキノワグマが別荘の近くをウロウロしていた。私は窓から女を投げ捨てる。

 地面に叩き付けられた女は、ピクピクと痙攣した。まだ生きていたらしい。だけど関係ない。すぐに彼らが始末してくれる。

 ウロウロしていた二頭のツキノワグマが凄まじい速さで女に近寄る。そして、まだ生きているその体を貪り始めた。

 血の匂いに誘われたのか、やがて次々とツキノワグマ達が森の中から姿を現す。女の体はあっという間にツキノワグマで埋め尽くされた。


 私はその光景に満足すると、静かに窓を閉じた。

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