④
「驚いたな」
僕が話し終えると、白崎部長は一言そう呟く。
黒原さんの部屋を出た後、僕はその足で白崎部長の部屋を訪ねた。黒原さんから聞いた話をどうしても部長に伝えたかったのだ。
僕の訪問に部長は驚いた様子だったけど、ちゃんと最後まで話を聞いてくれた。
「まさか、黒原さんがストーカーだったとはね。驚いたよ」
「……ストーカーですか?」
「ああ、彼女は立派な君のストーカーだ」
部長は「やれやれ」と肩を竦める。
あの『闇化粧』の作者、黒原蕾が僕のストーカー。正直、実感はまるで無い。
「君はいつか危険な女に好かれると思っていた。私の予想はズバリだったね」
「それ、飯田先輩にも言われました」
同じ事を部長にも言われるとは……そんなに僕は危ない女性に好かれやすそうに見えるのだろうか?
「それで、黒原さんの話から何か分かりましたか?」
「黒原さんが君のストーカーだって事と、彼女が君に好意を持った経緯については分かった。だけど、それが今回の事件と関係しているかまでは分からない」
「そうですよね……」
黒原さんが僕に好意を持ってくれているとしても、それが山本さんを殺す動機に繋がるとは思えない。
「ただ」
部長は僕に忠告する。
「彼女の君に対する執着は異常だ。注意しておいた方が良いだろうね」
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