第一章 月辺島
①
八月上旬。僕——
大学に入学して初めての夏休み。普通の大学生であれば、旅行に行ったりして遊ぶのだろうけど、僕は旅行にも行かずに大学へ来ている。
「意外と人が居るんだな」
夏休みなので普段より少ないが、それでも大学にはそこそこ人が居た。
テニスやラグビーなど、運動系のサークルは外で汗を流し、音楽系のサークルはギターを奏でている。まさに青春。といった様子だ。
うちの大学には、数多くのサークルや同好会が存在している。
僕もある同好会に入っているのだが、その同好会の活動は、青春とはかけ離れていた。
その同好会の名は『ミステリー調査同好会』。
何かしらの超常現象に困っている依頼者の話を聞き、それを解決する事を活動目的としている胡散臭い同好会だ。
所属しているのは、部長と僕ともう一人の先輩だけ。
せっかくの夏休みだというのに僕が大学に来たのは、この同好会に顔を出すためだ。
『ミステリー調査同好会』の部室は構内には無い。敷地の片隅にポツンとある物置小屋。そこが『ミステリー調査同好会』の部室だ。狭いし、薄汚れているし、周囲には雑草が生えている。何も知らない人は、此処が部室とは思わないだろう。
「失礼します」
物置小屋——もとい部室のドアを開くと、足を組んで椅子に座っている人物が居た。
この部屋の主、
百八十センチ近い高身長で、顔はかなりのイケメン。その場に立っているだけで色んな女性に声を掛けられる。たとえ薄汚い部室に居ても、イケメンは絵になるものだ。
「雨音君か。お疲れ」
部長はテーブルに置いてあるコーヒー入りのカップに口を付ける。優雅なその動作は、まるで貴族のように美しい。
「熱い!」
一秒前の優雅さはどこへやら。部長は、飛び上がって舌を出す。
「熱い、熱い……くそっ、こんな罠を仕掛けるとは!秘密組織の陰謀か⁉」
「秘密組織の陰謀でも宇宙人の仕業でもありません。それより舌は大丈夫ですか?火傷しませんでしたか?」
「ああ、問題ない」
部長はフーフーと息を吹いてコーヒーを冷まし、ちょっとずつ飲む。最初からそうすれば良かったのに。
「うむ。やはりコーヒーはブラックに限るな」
「変な嘘付かないでください」
部長は猫舌な上に苦いものが大嫌いだ。今飲んでいるコーヒーには、きっと大量の砂糖が入っているだろう。
「ところで、雨音君」
「何ですか?」
「今日は何か不思議な事件に遭遇したかい?」
僕は首を横に振る。
「いいえ、何も」
「えええええっ。またかい?」
素っ頓狂な声を上げる部長に、僕は冷ややかな目を向ける。
「またかい。って何ですか」
「また何もない平々凡々な一日を過ごしたのかって意味だよ」
「平々凡々で悪かったですね」
波乱万丈のない平凡な人生こそ一番だ。平凡万歳。
だけど部長は僕と違い『平凡』という言葉を何よりも嫌っている。部長が好きな言葉は『未知』そして『謎』だ。
『ミステリー調査同好会』を立ち上げたのは白崎部長なのだが、それも『未知』や『謎』を追い掛けるための手段なのである。
僕はふと、四か月前の出来事を思い出した。この同好会に入部させられた日の事を。
あれは、桜が舞い散る四月。
大学のキャンパスを歩いていると、手作りのプラカードを持った怪しい人を見た。
そのプラカードには『世界の謎を解き明かしたい人大歓迎!』という怪しさ満点の文字が書いてある。
「またどこかのサークルの勧誘か……」
新入生が入ってくる四月はサークルや同好会にとって新しい部員を手に入れる絶好のチャンスだ。そのため新入生はこの時期、色々なサークルや同好会から勧誘を受ける。僕もたくさんのサークルや同好会から勧誘を受け、少し辟易していた。入学したばかりの一年だとあの人にバレたら、きっと勧誘される。幸い向こうはまだこちらに気付いていない。
よし、声を掛けられる前に逃げよう。そう思って方向転換しようとした時だ。
「ぐぶえ!」
悲鳴とも何とも言えない声が聞こえた。驚いて声のした方を見ると、さっきの人がプラカードを持ったまま地面に倒れている。
「だ、大丈夫ですか⁉」
僕は慌ててその人の元へ駆け寄り、手を差し出した。
「立てますか?」
「んっ……ああ……なんとか」
僕の手を取りその人は立ち上がる。その人の背は僕よりも高く、顔は僕とは比べ物にならないイケメンだった。思わず「おお!」と言いそうになる。
「不注意で転んでしまったよ。恥ずかしい」
「お怪我はないですか?」
「大丈夫だよ、親切な人。どうもありがとう」
恥ずかしさのためか、その人の整った顔はまるでリンゴのように赤い。何にせよ怪我が無くて良かった。
「じゃあ、僕はこれで……」
僕はこの場を去ろうとする。だけど、動けない。
「あの……」
「何だい?親切な人」
「手を離してくれませんか?」
その人は僕の手を握ったまま離さない。
「君は新入生かい?」
「そうですけど……」
しまった。正直に答えてどうする。僕の馬鹿。
「名前は?」
「えっと……あまおとゆう……です」
またしても正直に答えてしまった。嘘を付けない自分の性格が憎い。
「『あまおとゆう』。どんな漢字なんだい?」
「空から降る『雨』に音楽の『音』で『あまおと』。下の名前は、優先するの『優』です」
「なるほど」
その人は頷く。
「『優しい雨音』と書いて雨音(あまおと)優(ゆう)か。親切な君にピッタリの名前だね」
「ど、どうも」
「雨音君!」
突然、その人は両手で僕の手を包んだ。
「どうか我が『ミステリー調査同好会』に入ってくないかい?」
「えっ?ミ、ミステリー調査?」
「『ミステリー調査同好会』。私が作った同好会さ!」
その人は「えっへん」と言わんばかりに胸を張った。
「この世界は謎に包まれている。そんな謎を解き明かすのを目的にした同好会。それが『ミステリー調査同好会』さ!」
「は、はぁ……」
いまいちピンと来ないので訊いてみる。
「世界の謎って事は、外国に行ったりするんですか?」
「いや、外国に行った事は一度も無いよ」
無いのかよ。心の中でツッコミを入れる。
「じゃあ、具体的には何を?」
「不思議な現象に困っている人を助けるのさ!今の所まだ活動は国内のみだが、いずれは世界に活動の場を広げたいと考えている!」
目は本気だ。あまりの熱気に火傷しそうになる。
「我が同好会には現在、私ともう一人しか居ない。今入部すれば君は新入生でありながら即戦力になれるんだ。どうだい?魅力的だろう?」
「えっと……その……」
僕が渋っていると、明るかったその人の表情が曇る。
「二人しか居ない我が同好会は立場的にとても弱い。人数が多いサークルに比べると活動は大きく制限され、出来ない事も多いんだ。なので、部員は一人でも多く欲しいんだよ」
「……」
「君を勧誘するのは、ただ部員が欲しいだけじゃない。転んだ私に君は真っ先に駆け寄り、手を差し伸べてくれた。君のような心の優しい人間を私は求めていたんだ。きっと、この出会いは運命に違いない!」
その人は真剣な表情で、もう一度懇願する。
「頼む雨音君、『ミステリー調査同好会』に入ってくれ!」
「……ううっ」
昔から僕は頼まれると頼まれると断れない。ましてや、こんな真剣な頼みを断れるわけがない。
「……分かりました。入ります」
「本当かい?やった!」
さっきまでの雰囲気は何処へやら。その人は両手を高く上げ喜んだ。
どうやら先程の悲しそうな表情は演技だったらしい。くそ、騙された。だけど一度「入る」と言ってしまった以上、もう断れない。
その人は満面の笑みを浮かべる。
「雨音君。これからよろしく!」
「……はい、よろしくお願いします」
内心、ため息を吐きながら僕はその人と硬い握手を結んだ。
「そういえば、まだ名乗っていなかったね」
ウウンと咳払いをした後、その人は誇らしげに名乗りを上げる。
「部長の白(しろ)咲(さく)明(あきら)だ!よろしく!雨音君!」
こうして僕は白崎部長と出会い、『ミステリー調査同好会』に入部したのだった。
「退屈だ。退屈だ。退屈だあああ。依頼が来ないいい!」
部長は机に突っ伏して足をバタバタと動かす。子供か。
「そのうち忙しくなりますよ」
僕は適当な慰めを掛ける。だけど、これは本心でもあるのだ。
入部した当初は「まぁ、こんな怪しい同好会に依頼する人なんて誰も居ないだろう」と思っていたけど、それは間違いだった。『ミステリー調査同好会』には、それなりに依頼が来る。想像していた以上に、不思議な現象に悩まされている人は多かった。地道な聞き込みや周辺の環境調査など、一度依頼を受ければやる事は山積みでヘトヘトになる。
だけど、その依頼も夏休みに入ってからパタリと止んだ。部長には悪いけど、この状況がずっと続けば良いと切に願う。
「そうだ。今日の分を更新しないと」
僕はポケットから携帯を出し、SNSを開いた。
『ミステリー調査同好会』には部長が作ったSNS専用のアカウントがある。僕が入る前は部長が毎日SNSを更新していたそうだけど、部長の指示で今は僕が毎日更新している。
依頼の調査も大変だけど、これも地味にきつい。
何しろ、部長から『毎日同じ事を呟いては駄目だよ。ちゃんと書く内容は変えるんだ!』と言われているので、毎日違った内容の文章を投稿しなければならないのだ。
今日は何を書こう?駄々をこねる部長の動画でも撮って投稿しようかな?イケメンが駄々をこねる様子は結構、話題になるんじゃないか?後が怖いのでやらないけど。
「雨音君、何か面白そうなニュースはないかい?」
「面白そうなニュースですか?そうですね……」
僕は数秒考える。
「あ、そういえば『闇化粧』シリーズの最新刊が出るらしいですよ!」
『闇化粧』シリーズとは、累計発行部数が二千万部を越える大ベストセラー小説である。
海外向けにも翻訳され、そちらでも高い評価を受けている。その最新作が近日発売されると発表され、ファンの間で話題になっているのだ。
「君は本当に小説が好きだね」
「はい、大好きです」
部長の言う通り、僕は小説が大好きだ。特に好きなのは読んだ後に心が温かくなるような物語だけど、ミステリーやサスペンス、ホラーといったジャンルの小説も読む。高校では文学部で自作の小説を書いたりもしていた。
「そういえば、部長は本を読むんですか?」
「はっ、愚問だね。古今東西、私が読でいないミステリーはないよ」
「ミステリー以外は?」
「私が読むのはミステリーと世界で起きた不可思議な現象を紹介した本だけさ。他は読んでない」
「じゃあ『闇化粧』シリーズは?」
「あれはミステリーではなくダークファンタジーだ。当然読んでない」
何故か部長は胸を張る。
「ミステリー以外も読んだ方が良いですよ。なんなら僕のお勧めを……」
「無用だ」
部長はきっぱりと断った。
「本好きはすぐ人に好きな本を勧め、プレッシャーを掛けるからね。『紹介した本読んだ?』『まだ読んでないの?』『いつ読むの?』って言うだろ?」
「……うっ」
身に覚えはある。今度から気を付けよう。
「でも、『闇化粧』シリーズは本当に面白いからお勧めですよ。作者は『闇化粧』シリーズの他にもいくつか小説を書いているんですが、それも面白くてお勧めです。しかも、作者はまだ——」
「こんにちは!」
僕が熱く語っていると、元気な声と共に部室のドアが開いた。
「あっ、お疲れ様です。飯田先輩」
「やぁ、雨音君!お疲れ!」
明るい声で部室に入って来たのは『ミステリー調査同好会』三人目の部員、経済学部二年の
身長は百五十センチ前後と小柄で、茶色がかった髪と大きな目が特徴のとても気さくな先輩だ。いつもお菓子を持っていて、よく食べさせてくれる。
「ねぇ、雨音君。部長どうかしたの?なんか元気ないけど」
部長を見ると、またしても机に突っ伏していた。ちょっと元気になりかけてたのに。
「何も依頼が無いから退屈らしいんです」
「なるほどね」
僕が耳打ちすると、飯田先輩はニヤリと笑った。
「こんにちは部長!退屈しているらしいですね!」
「ああ、飯田君か。そうなんだよ。退屈でね……はぁ」
部長は大きなため息を吐く。
「ふっふっふっ。そんな部長に良い話を持ってきましたよ!」
「良い話?」
「部長、無人島に行きたくありませんか?」
白崎部長はピクリと反応した。
「もちろん行きたいよ。無人島はロマンの宝庫だからね」
「部長ならそう言うと思ってました。雨音君はどう?」
「まぁ、興味はあります」
「そう、良かった!」
飯田先輩は鞄からある物を取り出し、それを机に並べた。
「なんですか、これ?」
「これはね。無人島への招待状だよ!」
「「えっ!」」
驚く白崎部長と僕を見て、飯田先輩は満足そうに笑った。
「どうしてこんなもの持ってるんですか?」
「友達がくれたの。貝塚(かいづか)恵(めぐみ)って子なんだけどね」
なんでも、飯田先輩の友人である貝塚恵さんには無人島を所有している親戚が居るらしい。招待状はその人から貰ったとの事だ。
「その人は今、自分が持ってる無人島を使って色々なイベントを計画しているらしいの。サバイバル体験とか宝探しゲームとか、推理ゲームとかそういうのを。それで是非、大学生の意見を聞きたいからその子を招待したんだって。他にも色んな人達を招待しているそうだよ」
「でも、何の関係も無い僕達がお邪魔しても良いんですか?」
「大丈夫。他の大学生の意見も聞きたいから、恵っちの他にあと四人まで連れてきて良いって言われてるんだってさ」
飯田先輩は貝塚恵さんを『恵みっち』と呼んでいるらしい。
「恵っちは私ともう一人に招待状を渡したんだけど、他の知り合いは全員都合がつかなかったの。じゃあ、私の知り合いを連れて来て良い?って訊いたら大丈夫だって言ってくれたんだ」
「……飯田君」
「は、はい。部長!」
「よくやった!」
白崎部長は勢いよく立ち上がると、机に足をぶつけた。
「だ、大丈夫ですか部長!」
「あっ、ああ……大丈夫……だ」
部長は歯を食いしばり、痛みに耐える。
「そ、それよりもよくやったよ。お手柄だ。飯田君!」
「そんな。部長のためならこれくらい……」
飯田先輩の顔がトマトのように赤く染まった。
実は飯田先輩、白崎部長をとても慕っている。その慕いぶりは、もはや崇拝に近い。
「泊まる場所はあるんですか?」
「島には別荘があって、そこに泊まるんだって。大きな別荘だから、部屋は全員分あるらしいよ!」
「それは凄いですね」
島に居る間、知らない人と相部屋になるのは気まずいので助かる。
それにしても、島を所有している上に大きな別荘まで建てられるなんて。その人物はよほど大金持ちらしい。
「それで、肝心の私達が行く島の名前は——何⁉」
招待状に書いてある島の名前を見て、部長は大きく目を見開いた。
「『月辺島』⁉私達が行く島は『月辺島』なのかい⁉」
「は、はい。そうですけど……」
「これは凄い!本当にあの『月辺島』に行けるのか!」
興奮する部長に僕は尋ねる。
「部長、その島って有名なんですか?」
「おや、雨音君は知らないのか。どれ、じゃあ『月辺島』について説明してあげよう」
部長は得意げに、オッホンと咳払する。
「『月辺島』は船で五時間ほどの場所にある広大な面積を持つ島さ。かつては山本グループ社長、
部長は早口で一気に説明する。
「えっ!島を所有してるのって、山本正なんですか?」
「そうだよ。正真正銘あの『山本グループ』の現社長、山本正さ」
山本グループと言えば、日本どころか世界に名をはせる超大企業だ。
自動車や家電、医療機器などあらゆる分野の市場を独占しており、近年ではAIの技術発展に力を入れている。
部長の話にもあったが、数年前にグループを率いていた社長、山本惣五郎氏が亡くなってからは息子の山本正氏が後を継いでいる。山本惣五郎氏の年齢が八十五歳だったのに対して、息子の山本正氏の年齢はまだ三十三歳。歳の離れた親子だったため、少し話題になったのを覚えている。
「知り合いを六人辿れば世界中の人と繋がれるという話があるけど、まさか飯田君の友人の親戚が現在の山本グループ社長だとはね。面白いものだ」
部長は楽しそうに笑う。
「そして、世界でも有名な企業のトップが所有する謎の島。聞いているだけでワクワクするよ。金銀財宝に未知の怪物。こういう島には何か秘密があるのが定番だからね!」
白崎部長は目を輝かせているが、おそらく部長が期待するような物は何も無いだろう。口にすると色々言われそうなので、黙っておくけど。
「でも、ちょっと気になる事を聞いたんですよね……」と飯田先輩。
「気になる事?なんだい?」
「『月辺島』では携帯を使えないらしいんです」
飯田先輩によると、『月辺島』には電波が全く届かないらしい。そのため携帯の機種や契約会社に関係なく、『月辺島』では全ての携帯電話が圏外になるそうだ。
招待状に書いてある宿泊期間は八月二十日から二十三日の三泊四日。つまり、最低でも三日間は携帯を使えない。
「それはまた……」
「ね、結構きつくない?三日間も携帯が使えないんだよ?」
「ふむ……」
白崎部長は腕を組む。行くのを躊躇っているのかと一瞬思ったけど、すぐにその考えを改めた。出会ってから四か月しか経っていないけど、僕には判る。
携帯が使えないからなんて理由で、この人は島に行くのを躊躇したりしない。むしろ、携帯が使えないと聞けば余計に行きたがるだろう。
「ますます面白いじゃないか!」
クックックと不気味な表情を浮かべる部長。ほら、やっぱり。
「外部と連絡を取る事の出来ない無人島!まさしくクローズド・サークルの舞台みたいじゃないか!面白い!面白いよ!」
クローズド・サークルとはミステリー用語の一つで、簡単に言えば『外部と隔絶された空間』の事だ。
猛吹雪の山荘、外に繋がる唯一の橋が落ちた陸の孤島など、外部と連絡が取れず、逃げられない隔絶された空間。それがクローズド・サークルだ。『電波の繋がらない無人島』も立派なクローズド・サークルの舞台となる。まさに部長好みというわけだ。
「あっ、でも……」
飯田先輩は申し訳なさそうに言った。
「携帯電話は繋がらないけど、固定電話なら繋がるそうです。本土から海底を通って島にすっごく長いケーブルを引いているとかで……別荘に一台だけ固定電話があるそうです」
「……そうなんだ」
電話が通じるのならクローズド・サークルは成立しない。部長は残念そうに肩を落とす。
「ま、まぁいい!無人島ならまだまだ謎はあるはずだからね!」
部長は気を取り直す。
「我ら『ミステリー調査同好会』。無人島に向かって出発だ!」
「おおっ!」
白崎部長と飯田先輩は楽しそうに拳を天に突き上げた。そんな二人を眺めながら、僕はSNSに書き込む。
『申し訳ありませんが、所要によりミステリー調査同好会は八月二十日から八月二十三日まで活動を休止します』
これで良し。夏休みの間に依頼する人などまず居ないだろうけど、念のためだ。
かくして、僕達『ミステリー調査同好会』一行は『月辺島』へ行く事になった。
島であんな恐ろしい事件が起きるとも知らずに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます