第5話 双子の剣

  「スラング君、悪いね、タイムトラベルまでさせて!

  僕のバディ候補は、もう歴史の中で死んでしまっているんだ。

  この魔聖剣カリブルヌスは、双子の剣で、今回、僕が探したいのは、

  もう片方の正当な持ち主に連なる者。今は亡き剣聖を見つけたいんだ。

  双子剣の片方は後世の弱き勇者気取りの人間が悪魔に奪われた剣、この

  魔の聖剣カリブルヌスだけど、この剣のもう片方の正統な持ち主アーサー

  が使っていたエクスカリバーは、おそらくもっと凄かったらしい。」


  「じゃあ、君はアーサーを蘇らせたいの?」


  「確かにアーサーは王の中の王と言われるくらい統治力があった。

   でも戦い、特に剣技においてはランスロットが上だった。アーサーが

   エクスカリバーを託したランスロットがバディ候補だ。もう一つの理由

   は、大魔術師マーリンがその命を削って発動した防御魔法がランスロット

   の防具には施されているからね。それにこの双子の剣が共に揃って戦った

   歴史はない。どんな凄いことになるのだろう。」


    「さぁ、ランスロットの墓の前に来たよ。

    さっき埋葬されたばかりだから、魂はまだ近くのはずだよ。

    でもさ、どうして、生きている時のランスロットではダメなんだ?」


   「歴史への干渉は、避けたいし、ランスロットも死んだ後の第二の人生

    なら僕たちと戦ってくれるだろうと考えた。」


    亜門は、悪魔の秘術で周囲の魂の姿を具現化した。


   ランスロットは、

   「僕は善い行いをしてきたつもりだが、地獄行きなんだな?

    悪魔が迎えに来るとは?」


   「ヤァ、僕はスラング、スライムという種族の生き物さ。

    君は地獄に行くんじゃないよ。まずは、彼の剣を見てよ!」


   亜門は、カリブルヌスを抜いて見せた。


   「それは失われし聖剣カリブルヌス?」


   「そう、そして君はエクスカリバーの選びし後継者!」


   ランスロットの魂は、少し考え、

   「とんでもない戦いがこれから起きるということだな?」

    と言うと、


  スラングは、

  「異世界の日本へ転生するのさ。そこで、新しい肉体を得る。

   どう、世界を救うかもしれない戦いだよ。

   助けてくれるかい?」


  「騎士として誓うよ!共に戦う!」




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