第4話 不死の妖

  幻獣の世界がある。人間や通常の生物が何らかの理由で変化したものや、

神から堕とされたもの、姿は異形だが神そのものと人間から崇拝されるもの

もいて、その起源は様々である。人間の作り話から、恐ろしいものとして

扱われるものも少なくないが、多くは、平穏に暮らしている。


  幻獣は、悪魔や天使と違い人間界に姿を自由に表すことができるが、大気汚染が進む現代の世界になると、行くことはなくなった。その汚さに耐えられないからである。その幻獣が静かに暮らするファントムという幽玄界のある山の頂でその幻獣は、美しい女性の姿で夢現状態だった。200年に一度、彼女は燃え尽き、転生する。記憶は伝承されるため、彼女の記憶は5000年分以上はあるが、その詳細は全てが曖昧になっている。この転生が近づくと、彼女はいつも

思うのだ。


 「自分は何のためにこうやって生きているのだろうか?」


  その物想いの最中、ふと、目の前に見慣れない生物が現れた。


  「ヤァ、ーこんにちわ。僕はスライス。スライムなんだ。

   今君が悩んでいた答えだけど、望んだこと、君は幻獣ではなく

   神獣の末裔だと思うんだ。だから、多くの答えは、今はこの世に

   存在しない神しか知らないよ。でもね、君の存在意義は、待つの

   ではなく作るものだと思うんだ。」

  

  初対面の割には、あまりにも図々しく、馴れ馴れしく、流暢に話しかける

ので、驚いていると、

 

  「だから、不死鳥のお姉さん!僕と契約しないか?

   そして、人間に転生して、今の美しい女性の姿を自由に

   暮らすなんてどう?」


  「そうすれば、私は死ねるのか?」


   「それは分からないよ。。フェニックスの神秘は、神の業だよ。

    でも、今までと違う生き方ができますよ。」


   「生き方がえらべるのか?魅力的な提案だな。

   ところで見返りはなんだい?スライスくん。私の血が欲しいのかい?」


   「その血を飲めば永遠の若さと命ですか?」


   「僕には縁のない話です。僕のお願いは一つです。

    もしかしたら、あなたでさえも殺されてしまう敵がもうすぐ現れます。

    その敵が現れた時に、仲間たちと戦って欲しいのです。」


   「仲間がいるのかい?はい、あなたがパーティの要なんです。」


   「私が死ぬかもしれないという甘い誘い文句を見逃すわけにはいかない

    な!私からお願いするよ。」


   「フェニックのお姉さん、名前はありますか?」


   「人間がつけた呼び名なら無数だけど、個体名はないよ。」

  

    「それじゃ、異世界日本で生きるために名前を決めときますね。」


    そう言うと、スライスはフェニックスの身体を飲み込み、

    ミラージュの魔法が発動された。


    転生魔法が終わりと、スライスは、その青い顔を紅潮させて、

    お願いですお姉さん、服を着てもらえませんか!

     そんな刺激の強い裸体は初めてです。


   用意された服をきて、フェニックスは、

   「これでいいか?」と言った。


   「あー、破裂するかと思いました。人間界では悩殺ボディと

    いうんですよ、その身体!」


   「さて、私の名前は決まったかい?」


   「朱雀シオン はどうでしょうか?」


   「響きがいいね。私の初めての名前だ。

    ところで、あそこの三つに私の仲間がすでにいるようだね。

    何か、あまり遭遇したことない感じだね。」


   「シオン様には、204号室に入ってもらいます。」


   「どんなカラクリかわからないけど、外観からは想像できない広さだね。

    空も飛べるのかい。はい、この中なら、フェニックスの姿になって

    飛んでもらってもいいですが、

    でも服を着たまま変化しないでくださいね。」

   「ああ、慣れるまこの姿で活動するよ。」


    それでは、後日、仲間の御三方とは正式にお会いする手筈を整えます

  が、その前に顔を合わせた時に戦わないでくださいね。日本はおろか世界

  が滅亡しまうから。」


    「スライス君、質問なんだけど、

     下の四部屋は仲間の部屋ではないのかい?」


    「皆さん、その質問をされますね 

     今言えることは、下の四部屋は、人間界であなた方とバディを

    組んでもらう人物を探して入居してもらいます。

    あなた方四人が組んでもいいと思える人間を探すところから

    このミッションは始まります。この戦いは、あくまで人間が主役の戦い

    なのです。」


    「へえ〜、想像につかないミッションだね、

     もうそろそろ教えてよ!敵は誰なんだい?」


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