第2話 ファントム事件簿①

「降霊術のエクステンダー、またも被害者の霊を降ろして殺人事件を解決。水流のエクステンダー、能力で近場にあった池の水を使い、工場火災を鎮火か」

ガタゴトと換気扇のファンが回る音が響くとある一室。窓際にあるデスクで新聞を読んでいた笠原雅也は立ち上がり、

「人類の新たなる可能性、進化の形。あぁすばらしきかな、エクステンダー。そうは思わないかい、理緒くん」

両手を広げ、まるで芝居がかったように、仰々しくそう宣う。

すると、雅也の対面、出入り口のドア近くのデスクでパソコンのキーボードを叩いていたメガネをかけた女性、切山理緒は、手を止め、ため息混じりに雅也に向き直った。

「所長。下らないこと言ってないで、依頼の一つでも取ってきたらどうですか?」

メガネの奥、心底呆れたような視線と言葉が雅也を射貫く。しかし、当の本人は気にした素振りもなく。いや、それどころか口許に笑みを湛え。

と、そんな時だ。

「あの~すみません。笠原相談所はこちらでしょうか?」

不意に事務所入口のドアが開かれ、セーラー服姿の少女ーー新たな依頼主が現れたのは。


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