第11話 ブラック&ホワイト(1)
サイコレンジャーのメンバーは、イエローの運転するミニバンで海に向かっていた。
助手席には「山岡お弁当店」の店長である、山岡紗耶香(やまおかさやか)が乗っている。彼女はイエローに誘われて一緒に来ているのだ。
「部外者の私が付いて来て良かったのかな?」
紗耶香が運転席のイエローに訊ねる。
「大丈夫ですよ! 紗耶香さんのお弁当には、いつもみんながお世話になっているんだから」
ブラックが紗耶香の言葉を聞いていて、後ろからフォローする。
「若葉ちゃんありがとう。今日もみんなの分、頑張って作ってきたからね。楽しみにしてて」
みんなから「オオー」と期待の声が上がる。
今日はオフの日曜日なので、メンバーみんなで海水浴に出掛けているのだ。
「俺も朝から手伝ったんだぜ」
イエローの言葉に「ええー」とみんなのテンションが下がる。
「なんでだよ!」
そんな和やかな雰囲気で、メンバー達は海水浴場までのドライブを楽しんだ。
海水浴場は多くの人で賑わっていた。快晴の日差しの中、家族連れやカップルなどが海で泳いだり、砂浜で寝そべったり、笑顔で休日を楽しんでいる。
「先輩のみなさーん! お待たせしました!」
みんな水着に着替えて砂浜に出ると、待ち合わせしていたグリーンが笑顔で駆け寄って来る。彼女は腕にかかえた可愛らしいカラフルな浮き輪に似合わぬ、大胆なグリーンのビキニを着ていた。
「円ちゃん、久しぶり! 今日は大胆なビキニね!」
「こんにちは! 若葉さんこそ、ブラックのビキニがカッコイイですね!」
二人とも迫力のボディとは言えないが、スレンダーで足も長くスタイルが良い。
「二人ともビキニなのね。私も大胆に責めれば良かったかな」
「ホントそうよね」
ピンクと紗耶香はそれぞれ、ピンクとイエローのワンピースの水着を着ている。だが二人はワンピースが地味に見えない程、ド迫力ボディだった。
「いやー、目の保養になりますな」
「全くだ」
ブルーとイエローが四人の水着姿に見惚れている。
「二人とも、目付きがいやらしいぞ!」
レッドは女性陣に目が釘付けになっている二人をたしなめた。
ビーチパラソルをレンタルして砂浜に場所を確保し、メンバー達は泳いだり豪華なお弁当を食べたりして海を満喫する。
午後になり、ブルーは喉が渇いたので海から上がって来た。ビーチパラソルの場所には、ブラックとグリーンが休憩している。
「もう飲み物のストックが少ないから、買いに行ってくるよ」
ブルーはクーラーボックスの中のスポーツドリンクを飲むと、そう言って立ち上がった。
「あっ、じゃあ私も一緒に行くよ」
ブラックもそう言って立ち上がる。
「ああ、それなら下っ端の私が行きますよ」
ブラックが立ったのを見て、グリーンが慌てて立ち上がる。
「えっ、良いよ。円ちゃんは荷物見ててくれれば。さあ、行こう大地」
「ああ」
ブルーとブラックの二人はパラソルの場所を離れ、売店に向かって並んで歩き出す。
何やら楽し気に話しながら歩く二人の後姿を、グリーンはしばらく眺めていた。
「ああ、喉が渇いたわ」
レッドとピンクが海から戻って来た。
「あっ、飲み物がこれで最後だな」
レッドはクーラーボックスの中身が、自分とピンクの分で最後だと気付く。
「あっ、今、大地さんと若葉さんが買いに行きましたよ」
「あっ、そうなんだ」
レッドはそう言って、ピンクと共にパラソルの下に座る。
「あの……もしかして大地さん達は付き合っているんですか?」
「ええっ、いやいや、それは無いだろ。だって大地と若葉君はいつも喧嘩ばかりしてるぞ」
グリーンの真剣な質問に、レッドは笑いながら答える。
「分からないわよ。喧嘩するほど仲が良いって言うからね」
ピンクは真顔で、声を潜めて二人に話す。
「何か知ってるんですか?」
「いや知らないわよ」
一転して笑顔になるピンク。
「でもね、そうなったら良いなって思ってるの。その方が二人は幸せになれるかなって感じてるから」
「そうですよね。今も仲良さそうに歩いてましたよ」
ピンクの言葉に、納得して頷くグリーン。
「そうなのか。全然そんな風に考えたこと無かったよ」
「ハヤテさん、それは鈍感すぎますよ」
グリーンは呆れたようにそう言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます