第15話
「…あ」
「あ」
「……」
「すまん、出て行くわ」
「うん、出てけクソ変態」
「後で覚えておけよ…」
「マジですまん」
「別にいいけどさー、ノックくらいはしようよ」
「まさか着替えてるとは思ってもいなかったな。それ以前に、休みだから寝てるなと思ってたんだよ」
「起きてましたー」
「掃除しに行ったら……あとさ、お前なんで扉の方を向いて着替えてたんだよ」
「悪い?」
「…いや、今のは俺が理不尽だったな」
「うん、理不尽。…まぁ、私もあんたが来る事予想出来なかったし。タイミングも悪かった。…まさか、下着着ようとしてる時に来るとは」
「…まぁ、無いから俺としてはただ単に申し訳ないと思っただけだけどな」
「おい」
「なんだ?」
「死ぬか?」
「断る。で、話変えて……取り敢えず。おはよう、緋奈」
「おはよっ、達也」
「朝ごはんは?」
「パン!」
「おーけー、待ってろ」
「あざー」
「ねぇ達也。慣れって怖いもんね」
「どした?急に」
「…さっき、あんたに見られても何も感じなかったもん。言葉としてはクソ変態って出たけど…」
「なるほどなぁ…」
「女として終わってない?」
「なんでだ?」
「だって裸…?というより、着替え中を見られても何も思わないんだよ?」
「別に良いじゃねぇか。そんなの人によるんだからよ」
「…うぅむ…」
「あと、俺だからじゃねぇのか?」
「…あー、そっか。付き合う前から下着は無かったけど普通に目の前で着替えてたし…付き合った事でってこと?」
「そう」
「…まぁ、それならいっか。…よし、切り替えてこ」
「そうした方がいいだろうな」
「これからまた見られたら…暴言言うからね?」
「わぁってるよ。俺だって気をつける」
「バリエーションは変態、クソ変態、スケベ、死ね、ぶち殺すぞ、さっさと出てけ、なに?見たいの?触りたい?です」
「バリエーション終わってんな…」
「ふふっ、最後の二つはご褒美でしょ?」
「はいはい、そうだな」
「む…冷たい」
「触りたかったら触る機会なんていくらでもあるしな」
「…変態、死ね」
「すまんすまん」
「…あっ、そうだった。この前久しぶりにする?って話あったのに結局忘れてたね」
「あー、そうだったな」
「する?」
「明日するか?どちらも休みだし」
「朝から?」
「ご自由に」
「したかったら私が襲うからね?いいでしょ?」
「………おう」
「…後、何故か少しお腹が疼いてきたんだけど」
「変態だからじゃねぇか?」
「……今から襲ってもいいんだよ」
「どちらも遅刻すんぞ」
「いいもん、別に……」
「そうか、お前はいいかもしれんが俺は困る」
「…少しはさぁ、乗ってほしいなぁ」
「乗ったら大変なことになることくらい分かってるからな」
「残念」
「おい」
「ふふふー。ーーご馳走様でした」
「早ぇなぁ…」
「まだ半分しか食べてないじゃん」
「俺は食パン2枚目だからな」
「食い過ぎ」
「やかましいわ」
「冗談冗談、マイケルジョーダン」
「そうか」
「それにー、私が早めに食べ終わったには理由あるんだよ?」
「ん?」
「こうやってさ、あんたの隣に座ってあんたが朝食を食べている所を見る事が可能になる」
「…食べづれぇな」
「ふふふっ」
「……ほれ。あーん」
「わーい、パクッ」
「…指まで食うな」
「おいひぃ。あむあむ……」
「甘噛みするな……口を開けて俺の指を解放しろ」
「?」
「…ったく、なら口を開けたくなるような事を口内でしてやろうか?」
「うん、はっへふぃへ」
「…ほれ」
「っ………っっ……っっっ!!!無理無理無理」
「ようやく解放したか……あぁ、もう。ベタベタじゃねぇか」
「指を私の口内で暴れさせないで…凄い変な感覚だった」
「お前が指を離さないのが悪いだろ」
「むぅ……でも、おいしかったよ?」
「お前、いつかカニバリズムに目覚めるんじゃねえのか?」
「目覚めたとしても私が食べるのはあんただけ」
「おい」
「…美味しいのかな?」
「おい」
「冗談よ。それより、その指どうするの?」
「拭うに決まってるだろ。ベタベタなんだから」
「それを自分の口に?」
「しないわ」
「…なんでよ」
「お前…考えたら分かるだろ」
「それもそうか」
「やけに素直だな」
「え?」
「…なんでもねぇ」
「……怒るよ?」
「怒っても直ぐに収めてやるよ」
「どんなふうに?」
「さぁな。その時によって変わる」
「…怒っていい?」
「期待してんな?」
「だって…」
「ガキか、てめぇは」
「…子供になりたい。昔に戻りたい」
「全員がそう言ってるぞ」
「あんたと初めて会った頃に戻って、あんたを頑張って洗脳して、私の事しか考えられないようにして……ふふ」
「お前がタイムマシンに乗るのだけは絶対に阻止しねぇとな」
「やだ、絶対に乗る」
「今の俺は一人ぼっちになるぞ?タイムマシンならな」
「っ!……やだ、あんたを悲しませたくない。一緒に居る」
「それは嬉しいな」
「だから、あんたも一緒に居よ?」
「おう、当たり前だろ。俺たちは一心同体だろ?」
「うんっ」
「…ところでさー、一心同体ってなんかエッチじゃない?」
「…死ねよ」
「なんで!?」
ーーオマケ
「ねぇねぇ」
「ん?」
「大好きって言って?」
「大好き」
「…躊躇いないね」
「そらそうだろ。お前も知ってる事なのに何を躊躇う」
「…かっけぇ」
「は?」
「ほんと、好き」
「お前、目が怖いぞ?」
「…そう?」
「…ジリジリにじり寄ってくんな」
「逃げないでよ」
「逃げたいわ。その目、明らかやべぇだろ」
「…ふふふ。好きだよ、ねぇ…達也」
「…おう」
「もっとさ、近寄ろ?」
「…悪いが今のお前は怖い」
「なんでよ。あなたの大好きな緋奈よ?ほら、ほら…」
「これは…相手しねぇと無理か。…ったく、これでいいか?」
「普通にハグ……でも、うん。少し物足りないけど今はこれでいいかな」
「最近お前、暴走する事多くなってきてんぞ」
「だめ?」
「いいや?もっと好きになる」
「っ!!…私も好き」
「あいよ」
「あったかいなぁ…えへへ、好き。好き、好き、好き……あなたに首輪でも付けたい」
「それは断る。見えない愛の鎖なら付けてもいいぞ?」
「それはもう沢山付けてる」
「おっと、いつのまに」
「私のだもん。だから、沢山付けちゃった」
「ははっ、そうか。嬉しいものだな」
「達也も私に何かしてる?」
「ん?…あぁ、俺はそうだな……色んなものをあげてるよ」
「例えば?」
「今みたいな事や、もっと甘い事…とかな」
「…甘い事……したい」
「今夜な?今夜、絶対に忘れないようにな」
「うんっ。楽しみ」
「そうだな」
腐れ縁の男女が送る甘いルームシェア生活 四葉のアミア @yotubanoamia
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