第13.5話
「うぅぅぅぅ……」
『…どしたの?今日変だよ?』
「ぅぅぅぅうう」
『なんか喋ろうよー、緋奈。ずっと、うぅぅうう。ばっか。何があったの?』
「……私の達也がほんとっ、酷いやつなの」
『…惚気ね。それはもういらないからこの話ここまででいい?』
「…聞いて欲しいなぁ。聞いてきたのはそっちなのに」
『うぐ………何があったの?』
「朝からね、ちょっと悪戯したら家を出る前に抱きついてきたの」
『……結局惚気じゃん』
「嬉しいんだけどさぁ、流石に遅刻はまずいから我慢したんだけど……それでね?帰ってきたら続きしよって言ってきたの」
『うん…』
「あと少しで終わるし、バイトもないし…帰ったらまた抱きついてくれるかな?」
『知らないわよ…』
「禁欲中だから深いことはしてこないと思うけど……してきたら、抵抗出来ないなぁ」
『……甘いわねぇ。…でも、なんで抵抗しないの?』
「だって、抵抗はなんか嫌じゃん。私からは誘うつもりは無いし、そもそも禁欲のせいか、誘うという気力すら起きないもん」
『そうなのね』
「うん…でも、もし達也が…私が帰ってきた瞬間抱きついて、キスしてきたらスイッチ入っちゃうかも」
『……私に彼氏が居なかったらあんたを殺してたわ』
「ねぇねぇ、それより私ってどう思う?」
『………親友?』
「…その間はなに?」
『なんで答えるべき分かんなくて』
「あ、そっか。えっと…人として」
『…むしろ難しい。…んー、んー、前はなんか狂ってたわねぇ』
「達也にも言われた」
『でしょうね。あと、ずっと幸せオーラが溢れ出てたわよ?気を抜くと顔も緩んでたし…』
「う…恥ずかしいなぁ」
『でも今はなんとか普通の状態に戻ってるから私としては一安心してるけど……家の中じゃどうせ甘えまくってるんでしょ?』
「最近はしてない」
『最近、は』
「うん。今は関係としては恋人だけど、腐れ縁時みたいな感じでもある。互いに馬鹿言って罵って、殺害宣言して、喧嘩して、笑って、愚痴言い合って、たまーに言葉だけだけど愛し合って、一緒にお風呂入ったりして、一緒に寝たりして、ゲームして、ブチギレて、ふふふっ、そーんな感じ」
『所々気になることが聞こえたけど…幸せそうね』
「うん、とっても楽しい」
『そっか』
□□□□□□
「さて、と…あいつも言ったことだし、今日は何しようか」
「……やってしまっか?まぁ、あいつもあいつで悪いしな。…まぁ、いいか」
「溜まってんのかな…俺も。あのままずっと抱きしめていたかったしな……帰ってきたら続きと言ったが我慢するか。まっ、今日は休みだがやることも多いしな」
「洗濯、掃除……やるとしようか」
□□□□□□□□□□□
「たっだいまー」
「お帰り」
「はいっ」
「…おう」
「あっ、分かってくれた」
「俺をなんだと思ってる。忘れるわけがないだろ」
「良かったー。私だけ勝手に盛り上がってるんじゃないかとヒヤヒヤしてたよ」
「ははっ、それはそれで面白そうだが」
「ちょっとー?キレるよー?」
「すまんすまん。ほれ」
「んっ……あぁー、癒される」
「俺もだよ。…あと、玄関じゃなくてソファーでな」
「はーい」
「もう、夜ご飯食べずにずっとこれでもいいんじゃないかと私は思ってるんだけど、君はどうかな?」
「そうだねぇ、餓死するから無理」
「…少しは乗ってくれてもいいんじゃないの?」
「口調変えただろ」
「……まぁいいや。私ね……なんでもない」
「なんだよその言い方。気になるだろ」
「だって、何も考えてなかったもん」
「考えてないんかい!!」
「えへへ」
「よし、ハグはここまでな?」
「それはやめて?今日はこれをされるために頑張ってきたんだから」
「おい。頑張る動機よ」
「文句ある?」
「こんなもんのために頑張るなよ」
「酷い」
「最後まで話を聞け。…こんなもんじゃなくてな、俺という存在と一緒に過ごすために日々頑張ってくれよ」
「…告白?」
「告白はもうしてるだろ。今のはただの願望、理解したか?」
「ふふっ、そんなのずっと前から理解してるよ」
「そうかい」
「っ…力強めたね?」
「痛いか?」
「丁度いいかな?圧迫されてた感じはするけど、心地いい」
「やっぱお前Mだろ」
「あんたのみに適用されるやつだから違う」
「いや…同じだろ」
「どこが同じなのよ。ただ、あんたにこうやって少し苦しいくらいに力強く抱きしめられたり、無理矢理キスされたりとか…それが嬉しいだけよ?」
「…病院、この時間はまだ空いてるな」
「ちょっとー?」
「…まぁ、まぁ、おん。あれだ、あれ。千差万別ってやつだからな」
「投げやりだし、幅広いよ」
「うるさい。…それに、さっき言ってたけど無理矢理キスされたりってのはなんだよ。したことねぇぞ」
「そう?気のせいかな」
「そもそも前提として、無理矢理なキスってお前の中ではどんなんなんだよ」
「んー、こう、絶対に抵抗できない状態…例えば、力強く急に押し倒されて、体の上に乗っかってきて…そのまま、有無を言わさずにキスしてきて、なんなら舌も入れるやつ?」
「よーし、お前やっぱヤベェやつだ」
「酷いっ。あんたが聞いてきたのに」
「思ってた答えと全く違う答えが返ってきたからなぁ!そらそうだろ」
「えー。全部あんた限定なのに?嬉しくないの?」
「俺はそこまで飢えてねぇ」
「それもそっか。そだね。あっ、あとこれもあんた限定だけど、無理矢理犯されるのもアリ」
「…どこでお前は道を踏み外した。教えてくれ、そこまで戻って本来のお前を掬い上げてくるからよ」
「失礼な!!いたって真っ直ぐで落ちないように落下防止柵が付いてる安全な道を歩んできたのよ!?」
「嘘つけぇ!」
「信じてよ!」
「さっきまでの言動を見返せ!」
「……私が間違ってました」
「よーし。馬鹿め」
「は?」
「あ?」
「……今、私たち抱き合ってるじゃん」
「おん」
「…いつでも殺す事可能なのよ?」
「どの口が言ってやがる。俺の方が先に殺せるからな?」
「それはどうかしら?」
「あん?」
「お前の首に回してる私の手、グーにしてからあんたの大事な股間に殴り落としてもいいのよ?」
「やれるもんならやってみろ。される前に、お前を本気で抱きしめてへし折ってやるからな」
「やる?」
「お?死ぬか?」
「「…………」」
「やれよ」
「そっちからやりなさいよ」
「…お前、まさかとは思うが…本気で抱きしめてへし折る。その本気の抱きしめってのに興味持ってねぇだろうな?」
「っ!?まっ、まっさかぁ」
「…てめぇ、やっぱドが付くMだな」
「っ!!」
ーーオマケ
「ねぇねぇ」
「あん?」
「取り敢えず話リセットして…新しい話をしていい?」
「いいぞ。会話内容最悪だったからな」
「今この状態で、私が体を前後に動かしたら…あんたは興奮する?」
「よし、一旦この話終わらせろ」
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